歯型彫刻/カービング/歯科技工学/材料~完成まで/石膏形成/ワックス形成

こんにちは。きりん(@kirinaccount)です。

 

歯型彫刻(カービング)についてつづっています。

(参照文献・歯科技工学・歯の解剖学より)

        みだし

        1.歯型彫刻(しけいちょうこく)

        2.歯軸(しじく)

        3.歯の計測

        4.歯型彫刻・デッサン

        5.カービング・1・6・6

        6.カービング・ワックス・1・6

 

歯型彫刻(しけいちょうこく)とは


 「歯の解剖」における歯型彫刻(しけいちょうこく)は、 彫刻(ちょうこく)(carving)の技法(ぎほう)を取り入れているが、この技法(ぎほう)はいわゆる「芸術」の範囲に入るものではない。

歯型彫刻(しけいちょうこく)は、歯の形態の知識を生かし、天然歯(てんねんし)または等寸大の正確な歯の模型などの形を石膏(せっこう)その他の材料を用いて等倍あるいは適当な倍率に立体的に再現する方法である。このためには、歯科医院などから収集した多数の抜去歯(ばっきょし)である遊離歯(ゆうりし)(天然歯)(てんえんんし)のなかから選びだされた適切な歯や、あるいは正確につくられた歯の模型を、歯型彫刻(しけいちょうこく)の対象資料 (モデル)とする必要がある。


歯型彫刻実習(しけいちょうこくじっしゅう)に使用する器具と材料

歯型彫刻(しけいちょうこく)に用いる材料は,主として石膏(せっこう)やワックスである。

① 一般に石膏(せっこう)は角柱(かくちゅう)(石膏棒)(せっこうぼう)として用いるが、その大きさは天然歯の2~3倍ものである。石膏(せっこう)を歯型彫刻(しけいちょうこく)する際に用いる器具としては、鉛筆・ノギス・ 定規(じょうぎ)・彫刻刀(ちょうこくとう)・切り出しナイフ・スパチュラ・ゴム枠・石膏棒(せっこうぼう)・ラバーボールなどがある。

② ワックス棒を歯型彫刻(しけいちょうこく)する際に用いる器具としては、ペン・ ノギス・彫刻刀(ちょうこくとう)・ワックス形成器(けいせいき)・切り出しナイフ・バーナーなどがある。
また、用意するワックス棒の寸法は 15× 15 × 100mm の角柱である。


歯の計測

 歯の計測は歯の形態の基礎資料を得るために重要な事項である。歯の形には個体差があり、また、計測には計測者の個性が介入したり誤差が生じる。計測者による計測値のばらつきをできる限り少なくするためには、歯の計測基準を定めることが必要であり、そのためには、共通理解として歯軸(しじく)を定義しておく必要がある。(歯の計測基準について、人類誌,61:27 ~ 32, 1949.).

歯軸(しじく)

歯軸(しじく)は仮想線(かそうせん)であるが、おおよそ次のようにまとめられる。

1. 長軸(ちょうじく)

 一般に歯軸(しじく)とよばれているもので、唇側・頬側・舌側または近遠心面の各方向からながめたときに、切縁または咬頭側から歯頸部(近遠心径の1/2)付近を通り、さらに根尖側方向に縦に走る直線をいう。ただし、根尖の屈曲方向は考慮外とする。複根性(ふくこんし)の歯にあっては歯軸(長軸)(ちょうじく)は歯根の中央部を通るものとする。

 なお、歯頸部(しけいぶ)を水平位に置いた際に、歯冠の中央部を通りこれを2等分する軸を歯冠軸、歯根の中央部を通りこれを2等分するような軸を歯根軸というが、これらは必ずしも一致しない。大臼歯などの多根歯では根幹を2等分するのが歯根軸となる。また、下顎小臼歯などでは歯冠軸(しかんじく)が舌側に傾斜し歯根軸(しこんじく)と斜交するが、このような歯では歯根軸の延長線上に歯冠があるものとして歯軸(長軸)を考える。


歯軸(長軸)は、前歯や小臼歯ではこれらの歯の長径(全長)に一致するが、大臼歯では歯軸(長軸)の性格上、これがただちに長径を意味するものではない。

2. 唇舌軸(しんぜつじく)・頬舌軸(きょうぜつじく)


唇舌軸・頬舌軸とは歯軸を垂直に保ち、歯を切縁または咬合面からみたときに、
歯頸部での水平断面を近心半と遠心半に2等分する唇舌側(頬舌側)方向に走る直線のことである。

3. 近遠心軸 (きんえんしんじく)


近遠心軸とは、歯軸を垂直に保ち、歯を切縁または咬合面からみたときに歯頸部での水平断面を唇頬側半と舌側半に2等分する近遠心方向に走る直線であり唇舌側(頬舌軸)と直交する。

歯の計測

歯の計測には通常1/10mm 副尺付きのノギス・1/20mm 副尺付きのノギスを用いる。


近年では精度の高いデジタル式のノギスも使用される。

歯の計測方法


1.  歯冠長(しかんちょう)(冠長) (かんちょう)


前歯や小臼歯では、切縁尖頭(せつえんせんとう)あるいは頬側咬頭頂(きょうそくこうとうちょう)から唇頬側の歯根歯頸部に至る直線径であり、大臼歯では、近心頬側咬頭頂からその咬頭の歯頸線までの直線径である。


これらの径は歯軸(しじく)(長軸)(ちょうじく)に平行に計測するものとする。

2. 歯根長(しこんちょう)(根長)(こんちょう)

歯冠長計測(しかんちょうけいそく)時の 歯頸線の計測点から根尖に至る直線径である。小・大臼歯にあっては、頬側根の根尖を、頬側根が複根の際には近心根を用いる。これらの径も歯軸(しじく)(長軸)(ちょうじく)に平行に計測する。

3.  全長(ぜんちょう)

全長(ぜんちょう)の切縁側(せつえんそく)および咬頭側(こうとうそく)の計測点から歯根長(しこんちょう)の根尖側(こんせんそく)の計測点に至る。歯軸に平行な直線径である。全長は理論的には歯冠長(しかんちょう)と歯根長(しこんちょう)の合計値に等しいが、実際には計測の際の誤差などにより理論どおりの合計値にはならない。全長は歯冠長(しかんちょう)や歯根長(しこんちょう)から算出するのではなく、別個に計測する。

4. 歯冠(しかん)の唇舌(しんぜつ)(頬舌)(きょうぜつ)径(厚さ)

歯軸(しじく)を垂直に保った際に,歯冠(しかん)の唇頬側面(しんきょうそくめん)と舌側面(ぜっそくめん)のそれぞれの最大豊隆部(さいだいほうりゅうぶ)をはさんだもので、近遠心軸(きんえんしんじく)に直交し、唇舌軸(しんぜつじく)(頬舌軸)(きょうぜつじく)に平行な直線径である。 


5.   歯冠の近遠心径(きんえんしんけい)(幅)


歯軸を垂直に保った際に、歯冠の近心面と遠心面のそれぞれの最大豊隆部をはさんだもので、唇舌軸(しんぜつじく)(頬舌軸)(きょうぜつじく)に直交し、近遠心軸(きんえんしんじく)に平行な直線径(ちょくせんけい)である。


歯のデッサン

デッサンとは絵画や彫刻(ちょうこく)の着想の大体をかき表す下絵すなわち素描(そびょう)のことである。 歯のデッサンは歯の形を正しく理解し、表現することにある。

そのためには対象歯の切縁・咬合面・唇頬舌面(しんきょうぜつめん)・舌側面(ぜっそくめん)および近遠心面(きんえんしんめん)の各面を正確に描き出さなければならない。

前述の歯の計測方法以外に、時には歯冠長(しかんちょう)や歯根長(しこんちょう)などを何等分かして、それらの部位の近遠心径(きんえんしんけい)などを測定する方法を試みるのも必要であろう。
用紙は画用紙(がようし)か方眼紙(ほうがんし)を使用する。方眼紙は計測値などに合わせて外形や輪郭をとりやすく、また各面の外形や輪郭を比較しやすいといった利点がある。
各面のデッサンは線描き(せんがき)のままにするか、 あるいは陰影(いんけい)の濃淡をつけて立体的に表現する方法もある。その大きさは天然歯の2~3倍大ぐらいが適当である。  

 歯のデッサンを歯型彫刻(しけいちょうこく)の前準備として取り扱う際には、石膏棒(せっこうぼう)に刻まれた像が対象歯(たいしょうし)に対して等倍または適切な倍率になるような立方形の石膏棒などを用意し、
それに合わせて方眼紙上の描写倍率を定める。歯型彫刻では歯の全体像を少なく、多くは歯冠全体と歯根の一部である。

直彫法(じかぼりほう)と計測法(けいそくほう)の併用による歯型彫刻

ここでは石膏棒を使った歯型彫刻について述べる。ワックス棒についてもほぼ同様である。

切り出しナイフや彫刻刀の使い方 
 切り出しナイフや彫刻刀の使用時には、左の拇指(ぼし)を必ず石膏棒に添えて支点をつくり、決してフリーハンドの状態にしないように努める。 このような処置を講じることによって、刃の方向が定められるとともに、削りすぎも防止することができる。


なお、石膏棒が乾燥して硬く削りにくいときには、水に少し浸すと削りやすくなる。

歯型彫刻の順序

歯型彫刻は直彫法(じかぼりほう)とノギスなどによる計測法を併用して行うが、本書では下記の順序および要領ですすめる。ただし順序および方法などは必ずしも一定したものではない。

1. 前準備

対象歯の歯冠と歯根に対して適切な倍率になるような石膏棒を選定する。なお,石膏棒の各面はペーパーコーンで滑沢(かったく)にする。

2.外形の記入
 対象歯の歯冠と歯根を計測し、石膏棒(せっこうぼう)の各面にそれぞれ描写する。その際には方眼紙上の描写図を利用することもできよう歯冠長・唇舌(頬舌)径および近遠心径それぞれの比率、さらに彫刻される歯根の大きさの割合を、実際の計測値から入念に検討する。

3.歯面の外形形成(がいけいけいせい)と粗彫り(あらぼり)


各歯面の外形形成は次の順序で行う。


① 隣接面の形成を行う。近心面や遠心面の外形に沿って、余分な部分を削除する。

② 唇側面や舌側面の外形に沿って、余分な部分は削除するとともに、歯頸部の近遠心的な狭窄状態も形成するようにする。

③ 切縁の方向からみて彎曲徴(わんきょくちょう)などに注意しながら、各歯面の特徴を表現するように余分な部分を削除する。


 各歯面の外形形成は、各歯の歯面を完全に近い形まで仕上げるつもりで行う。 モデル歯の形態的特徴をよく把握してその歯の全体像をつかみ、最後に仕上がる形を念頭において、各歯面の形のバランスを考えながら全体の形を整える。


このような手順で歯型彫刻を進めるためには、各歯の近心面と遠心面・唇頬側面・舌側面および咬合面の形態的特徴を、歯科形態を参考にして再度確認するように努める。

 

その際、各歯面の近心半と遠心半または唇頬側半(しんきょうそくはん)と舌側半(せっそくはん)の形態差も比較して理解しておくことが必要である。


石膏棒の各面に描いた歯の外形に沿って粗彫りをする際には、幅の広い鋭利な切り出しナイフを使用すると便利である。

4. 細部の仕上げ

 各歯面の形が整うまでは、溝・小窩および隆線などの細部の形をつくらないのが歯型彫刻の鉄則である。功(こう)を急ぐあまり 粗彫りの状態から局部のみの完成を急いではならない。各歯面の細部の形成の余地を残し、 彫刻のモデルとなる歯の全体像のバランスをとりながら石膏棒に順次、各歯面各部の細部の形を表現するよう努力すべきである。

石膏棒の各面や各部の外形がモデルの歯とほぼ同じ形状になれば、彫刻刀を静かに使い歯型彫刻の最後の仕上げに入る。石膏棒の各面や各部の形とモデルの歯のそれら比較し、彫刻刀を細かく使いながら、各歯面の豊隆や彎曲の状態・各咬頭の形状・面の隆線・ 溝や小窩および唇舌側面の隆線や溝などの位置や発達状況を表現するとともに、不要な小さい凹凸や傷を丹念に削り、歯型彫刻の最後の仕上げを終える。

歯型彫刻に関する一般的な注意事項

① 歯の全体像を正確に把握する。「歯の解剖」の知識を十分に生かし各歯の形態的特徴の表現に努めることが必要である。
石膏棒の粗彫り(あらぼり)の段階でモデルになっている歯の全体像が、外形として的確につくられていることが大切である。

②  細部の形成を急がない、最終の彫刻像(ちょうこくぞう)を念頭において、石膏棒の粗彫りから徐々に細部の形成に移ることになる。 各歯面の外形がそれぞれバランスがとれた状態になるまで局部的に咬頭・隆線・溝や小窩(しょうか)などの細部を形成しない。

③  完成した歯型彫刻像はモデルの歯の形態的特徴を備える。
最終の歯型彫刻像は上下顎の歯種、それぞれの歯の形態的特徴ならびに近遠心的形態差などが十分に再現されなければならない。また対合歯や隣在歯との関係も機能的に考慮されたものである必要がある。

④  歯型彫刻時には常に彫りすぎないようにする。 石膏棒の粗彫り(あらぼり) あるいは細部の形成時には彫りすぎないように注意し、フリーハンドの状態で切り出しナイフや彫刻刀を大振りに使わないように努める。


歯型彫刻の再現法


正確に早く彫るためには以下の点に留意するとよい。

① 最終の形を覚える。


② モデルの歯軸を固定する。


③ 細部の形成時はモデルと比較できるようにする。

④ 石膏棒を使用する場合は、軟かくして彫りやすくする。


⑤ 切り出しナイフを多用し、 細部に入ってから彫刻刀を使用する。


石膏棒とワックス棒の基本的な違いは、石膏は削る一方なのに対し、ワックスでは不足部分を形成することが可能なところである。


形成にあたっては、まず投影法(とうえいほう)により余剰部分の面取り、ステップが進んだところで直彫法(じかぼりほう)を取り入れながらバランスのよい形態を完成させる。

 上顎右側中切歯(じょうがくうそくちゅうせっし)

1.モデルと同寸の角柱をつくる。
 その際、唇舌側面・近遠心面を決めておく。
石膏棒が硬いときは水に浸し軟かくしてから彫る。最初は角柱の角から切り出しナイフの先の薄いところで彫り始めるとよい。(刃が厚いと角柱が欠けやすい)

2.次いで平面を削る


【隣接面を彫る】

3.モデルの歯軸に気をつけ石膏棒に近心面・遠心面の形態を描く。外形は近遠心面とも二等辺三角形である。切縁の位置は唇舌径のほぼ中央とし、唇側縁は3面形態、舌側縁は切縁の薄さ・辺縁などの曲線・基底結節部の豊隆を正しく描く、最大豊隆部を記入することで削りすぎを防止できる。

4.面積の大きい近心面から余剰部分を彫った後、唇側を3面形態に彫る。歯冠のみでなく歯根部も彫る。初心者は破折させることもあるが、歯冠と歯根の一体感が得られる。また、このほうが早く彫刻できると思われる。

5. 舌側も切縁の薄さ、辺縁の曲線、基底結節部の豊隆をつけ、歯根に移行する。その後、遠心面も彫る。


わずかに遠心面が小さいこと、豊隆の位置が多少違うことなどを認識できると思う。

【唇側面を彫る】

6.モデルの歯軸に気をつけ唇側面の形態を描く。


近心縁は直線的、遠心縁は曲線的に描く。近遠心の最大豊隆部(接触点)の位置の違いを正しく描く。
近心接触点(きんしんせっしょくてん)は遠心接触点(えんしんせっしょくてん)より切縁寄りにある。 切縁の走行状態はほぼ水平でわずかに遠心側に傾斜しており、近心隅角(きんしんぐうかく)は遠心隅角(えんしんぐうかく)より鋭角的である。

7.余剰部分を削る。

8.歯頸部の狭窄状態や隅角徴(ぐうかくちょう)も再現する。


切り出しナイフを使用するほうが早い。切縁の走行状態・遠心隅角・歯頸部付近・歯根の削り過ぎに気をつける。


【固有咬合面を彫る】

9.モデルの唇側面に近遠心のラインアングルを描き固有唇側面を再現する。 このラインは近遠心面隆線(きんえんしんめんりゅうせん)の最突部である。歯頸線は歯根側に凸彎する。

10.石膏棒にも同じラインを描く。

11.ラインに沿って余剰部分を削る。

12.モデルの唇舌軸・近遠心軸と一致させ、切縁側から固有の唇側面を認識しながら余剰部分を削る。切縁からは4面見える。近遠心の彎曲徴(わんきょくちょう)の違いをを再現する。これにより歯の奥行きが再現される。
 


13.歯頸部の狭窄状態を再現する。


固有の唇側面の外径・凹凸も再現する。切縁から見ただけでは再現不可能であるため各方向からみる必要がある。

14.斜め方向からも確認する。


【固有舌側面を彫る】
15.モデルの舌側面にも近遠心のラインアングルを描き、固有舌側面を再現する。
このラインは辺縁隆線の最突部で、合流部はわずかに遠心寄りの基底結節上にある。次に石膏棒にも同じラインを描き、唇側面同様、各方向から観察しながら削る。
彎曲徴、歯頸部の狭窄状態も再現する。
歯頸線は歯根側に凸彎する。

16.斜め方向からも確認する


17.舌側面形態の確認をする。歯頸部付近では隣接面が多く見える部分も再現する。歯根は単根、 三角錐状で舌側では細くなっており、根の中心は遠心に位置する。 舌側面窩の細部の形成はまだ行わず、外形のみに留める。

【固有隣接面を彫る】

18.近心面のラインアングルを描き、接触点の位置、4つの鼓形空隙(こけいくうげき)(歯冠側・歯頸側・唇側・舌側)を再現する。歯頸線は歯冠側に凸彎し、遠心より彎曲度が強い。

19.遠心面にもラインアングルを描く。近心面より、豊隆が強いなど近遠心面の形態差を再現する。歯頸線は歯冠側に凸彎し、歯根には縦走する溝がある。

【歯頸線を整える】


20.全周の歯頸線を彫る。歯冠と歯根の境界を描き、彫刻刀で歯面に対して直角に入れる。

21.まず歯冠から歯根側方向に削る。

22.次いで彫刻刀の刃を逆にし、歯根から歯冠側方向に削る。


【外形の形態確認】
23.各面がモデルと同じ外形になっているか、彫刻した歯にもラインアングルや最大豊隆線を描いて確認する


【唇側面の細部を彫る】


24.外形が整ったら細部の彫刻に移る。近心・ 中央・遠心の3本の唇側面隆線と,近心・遠心の2 本の唇側面溝(しんそくめんこう)を彫る。


25.歯頸側から見上げると唇側面隆線の走行・ 形がわかりやすい。唇側面隆線は、近心では鋭角・ 遠心では丸くなる。

【舌側面の細部を彫る】

26.辺縁隆線・副隆線・基底結節・棘突起などを描き、舌側面窩を彫る。


27.舌側面窩を彫るときはスプーン状の彫刻刀で彫ると軟かな曲面が再現できる。

28.スプーンの方向を変えることで細かい溝・隆線を表現しやすい。


29.舌側面窩の深さ加減も斜め方向からみるとわかりやすい。

30.唇側面のさらなる表面の細かい凹凸、周波条(しゅうはじょう)などを再現する。

31.完成(唇側面)

32.完成(舌側面)

33.完成(隣接面)

上顎右側第一大臼歯

1.モデルと同寸の石膏棒をつくる(角柱に対して彫刻する歯が大きいので、この作業は省いてもよい)
頬舌側面、近遠心面を決める。

【隣接面を彫る】

2.モデルの歯軸に気をつけ、隣接面の形態を描く。頬側縁は3面形態ではあるが直線に近く、舌側縁は豊隆し頬側に傾斜している。咬合縁は中心咬合面隆線と辺縁隆線の尾根に相当し凹彎する。歯頸線の彎曲は弱い。


3.歯冠の外形は台形に近い。最初に面積の大きい近心面から余剰部分を削る。歯根部も削る。

【頬側面を彫る】

4.モデルの歯軸に気をつけ頬側面の形態を描く。
近心縁は直線的、遠心縁は曲線的である。外形は台形で小臼歯が2つ結合した形態である。咬合縁はM字形で2咬合あり、ほぼ中央に頬側面溝がある。

5.余剰部分を削る。
 
6.隅角部も少し削る。削りすぎに気をつける。


【咬合面を彫る】

7.モデルの頬舌軸・近遠心軸に気をつけ咬合面の形態を描く。外形は菱形か平行四辺形で、中心溝を境に頬舌側を分ける。いずれも遠心が低い。頬側溝は頬側面溝につながり頬側の2咬頭を分ける。舌側溝は舌側面溝につながり舌側の2咬頭を分ける。舌側溝と舌側面溝は遠心側に位置している。

8.近心隅角は鋭角的、遠心隅角は鈍角的にして彎曲徴を再現する。咬合面から彫るのがむずかしいときは,外周(頬側面・舌側面・隣接面)から始めるのもよい。


【固有頬側面を彫る】

9.頬側面の細部を掘り始める。
近遠心のラインアングルを描き固有の頬側面を再現する。歯冠の近遠心径・歯頸部の狭窄状態も再現する。歯頸線の歯根の分岐部に向かって突起を出す。咬頭は遠心がわずかに低い。

10.モデルのラインアングルと同じになるように削る。
斜め方向からも観察し余剰部分を削る。遠心頬側咬頭は舌側寄りに位置するため、遠心頬側 面は舌側に傾斜している。頬側面溝は歯冠の約 1/2 の高さで浅い小窩をつくり終わる。その下縁には歯帯に近遠心方向に走る。

11.再度、咬合面からも確認する。遠心頬側咬頭は近心頬側咬頭より舌側寄りに位置している。

12.モデルと一緒に回転させ歯頸側の狭窄状態も再現する。


【舌側面を彫る】

13.頬側方向からみて舌側咬頭の位置・辺縁隆線の走向状態を描き、彫刻を行う。反対方向からみることにより位置が確認しやすくなる。

14.舌側面の外形は頬側面とほぼ同様であるが、面積は狭い。豊隆は強く、隣接面と自然に移行し丸みを帯びる。舌側咬頭は頬側咬頭より低く咬頭頂は鈍円である。遠心舌側咬頭は低く小さい。舌側面溝は遠心に片寄っている。近心舌側面にはカラベリー結節がみられることがある。

【固有舌側面を彫る】

15.まず歯頸線を描き、歯冠の幅・咬頭の高さ・位置を再現する。この際、咬合面から彫ってもよいが、複雑なため舌側面から削り始めるとよい。次にラインアングルを描き固有舌側面を再現する。
咬合面や斜め方向からも観察し辺縁部の余剰部分を削る。歯頸部の狭窄状態も再現する。

16.歯冠の最大豊隆部の位置を決め、同じラインが描けるように斜め方向からも観察し、余剰部分を削る。舌側面溝も遠心方向から近心に向かっているのを再現する。


【固有隣接面を彫る】

17.固有近心面を形成する。歯冠長より頬舌径が大きい長方形である。ラインアングルを描き確める。

18.接触点の位置・4つの鼓形空隙の再現・一線の形成・歯根形成を行う。歯根は3根で頬舌怪の広い近心根と、舌側に流れる舌側根がある。

19.斜め方向からも狭窄状態を確認し削る。

20.次に遠心面も同様に行う。近心面より狭く、豊隆が下方にある。


【固有咬合面を彫る】

21.各咬頭の位置・高さの順位を確認し、固有咬合面を描く。カラベリー結節・頬側溝・舌側溝も描く。常にモデルと比較しながら行う。

22.遠心舌側咬頭を除く3咬頭からは咬合面中央に向かって中心咬合面隆線が走り、その両側に副隆線がある。頬側咬頭と舌側咬頭間には中心溝(近心溝,遠心溝)があり、近遠心の頬側咬頭間には頬側溝・近遠心の舌側咬頭間には舌側溝がある。遠心頬側咬頭の中心咬合面隆線と近心舌側咬頭の遠心副隆線が結合して斜走隆線をつくり、中心溝が分断することもある。

23.隆線の走行状態・溝の深さなどを再現する。
位置・走行状態・深さの差をよく観察し、溝・窩の深さは徐々に深く形成していく。

24.彫刻刀の刃は鋭い部分の形成に、スプーン状のものは副溝などの形成に使用するとよい。


25.不要な傷は丁寧にとる

26.歯頸線・歯根の形を整える


27.斜め方向からも確認する

28.完成


 下顎右側第一大臼歯


1.モデルと同寸の石膏棒をつくる。(この作業は省いてもよい)
頬舌側面・近遠心面を決める。

【隣接面を彫る】

2.モデルの歯軸に気をつけて隣接面の形態を描く。歯冠の外形は、歯頸線を底辺とする頬舌径に長い台形である。頬側縁は歯頸側 1/3が突出し、舌側に傾斜する。舌側縁は舌側に軽度に凸彎する。
咬合縁は凹彎する。歯頸線の彎曲は弱い。


3.面積の大きい近心面から余剰部分をカットする。歯根部も削る。

【頬側面を彫る】

4.モデルの歯軸に気をつけて頬側面の形態を描く。外形は咬合縁が最も長い台形である。比較的鈍円な3咬頭があり、近心側から頬側面溝と遠心頬側面溝の2溝で分割している。
近心頬側面溝が面積・高さともに優れ、次いで遠心頬側咬頭・遠心咬頭の順になっている。頬側面溝は歯冠の1/2で小窩をつくって終わる。その下縁には歯帯が近遠心方向に走る。
歯頸線は根尖側に傾斜し中央部から根分岐部に向かって根間突起を出す。近心隅角は鋭く、遠心隅角は丸みを帯びている。

5.余剰部分を削る。

【咬合面を彫る】

 
6.モデルの頬舌軸・近遠心軸に気をつけて 咬合面の形態を描く。外形は頬舌径より近遠心径が長い角のとれた長方形である。


頬側縁は舌側縁より長く彎曲の程度も強い。近心縁は直線的・遠心縁は曲線的である。


近心頬側隅角は遠心頬側隅角より鋭く頬側に突出している。固有咬合面は舌側に位置し長円形に近い。
中心溝を境に頬側咬頭と舌側咬頭に分ける。頬側の3咬頭は頬側溝と遠心頬側溝が分ける。舌側の2咬頭は舌側溝が分ける。

7.余剰部分を削る。
咬合面から彫り始めるほうが早く彫れると思われるが、難しい場合は彎曲徴を削った後に外周から始めるとよい。

【固有頬側面を彫る】

8.頬側面の細部を彫る。近遠心のラインアングルを描き固有頬側面を再現する。咬頭頂から頬側面隆線のラインを引き豊隆の確認もする。

9.立体な、頬側面だけでなく咬合面からも同時に観察し彫っていく。

10.咬合面側から舌側方向に回転させ、歯頸部の狭窄状態も再現していく。


【固有舌側面を彫る】
11.舌側の外形は、頬側面より幅が狭く咬頭は高い。面全体の豊隆は弱く、平坦に近い。両咬頭を分ける舌側面溝は、遠心咬頭がみえるためやや近心に位置する。


【固有隣接面を彫る】

12.固有近心面を形成する。外形は台形で接触点が高位にある。近心面は遠心面より大きい。 凹彎の咬合縁を再現する。


13.接触点の位置・4つの鼓形空隙を再現する。

14.遠心面も同様に行う。頬側寄りにある遠心咬頭も再現する。

15.外形の確認として最大豊隆部を描いてみる。モデルのラインと同じであればよい。

【固有咬合面を彫る】


16.各咬頭の位置・高さの順位・外形を整えることで固有咬合面が明確になる。頬側溝は頬側面溝に遠心頬側溝は遠心頬側面溝に、舌側溝は舌側面溝にそれぞれつながる。


17.咬合面形態を再現するために溝・隆線などを描く。上顎右側第一大臼菌は5つの咬頭の集まりで、また、それぞれに小さな副隆線を兼ね備えている集合体である。遠心咬頭以外の咬頭には中心咬合面隆線が走り、 その両側には副隆線が存在する。遠心咬頭は鈍円な低い咬頭で、隆線は不明瞭である

18.隆線の走行状態・溝の深さなどを再現する。
位置・走行状態・深さは徐々に深く形成していく。


19.鋭い形成には彫刻刀の刃のほうを、副溝などの浅い形成にはスプーン状のものを用いるとよい。

20.不要な傷は丁寧にとる。

21.全周の歯頸線を整える

22.歯根形態を整える。近心根と遠心根の2根があり、ともに近遠心的に圧平されている。
圧平度は近心が強い。


23.斜め方向からも確認する

24.完成


上顎右側中切歯(ワックス棒)

1.モデルの近遠心径と唇舌径の寸法をもとにワックス棒をカットする。

2.唇側面からみて近心面と遠心面をカットする。


3.隣接面からみて唇側面と舌側面をカットする。

4.彎曲部をカットする。

5.切縁・唇舌側面・近遠心面の各部からみて、外形を整える。

6.歯頸線を形成する。

7.さらに細部の唇側面隆線・基底結節などの外形を整える。

8.モデルと見比べ、形態をチェックする。


9.不足部分があれば ワックスの追加を行う。
バーナーでワックス形成器を温める。

10.温めたワックス形成器でワックスをとる。

11.ワックス形成器にとったワックスを不足部分に盛る。

12.不足部分の追加を行い、外形を完成させる。

13.舌側面窩・舌側面辺縁隆線の形成をする。

14.モデルと見比べ、形態などを再チェックする。

15.不足部分があればワックスの追加を行い完成させる。

16.ワックスの切削片を筆で清掃する。


17.同様に唇側面も清掃し、完成させる。

18.完成


下顎右側第一大臼歯(ワックス棒)

1.モデルの近遠心径と頬舌径の寸法をもとにワックス棒をカットする。

2.咬合面からみて各部の彎曲部をカットする。

3.隣接面からみて頬側面と舌側面をカットする。

4.頬舌側面からみて、咬合面・近遠心面をカットする。

5.モデルと見比べ、咬頭と溝の位置を確認する。

6.各咬頭の高さ、頬側面の外形を整える。

7.モデルと見比べ、形態をチェックする

8.不足部分があれば, ワックス形成器を温め、ワックスの追加を行う。


9. 不足部分にワックスを追加し、外形を完成させる。

10. 歯頸線を形成する。

11. モデルと見比べ、形態などを再チェックする。

12.不足部分があれば、ワックスの追加を行う。

13.さらに溝を形成する。

14.ワックスの切削片を筆で清掃し、完成させる。


15. 完成

体調に気を付けて

合格まで頑張って下さい。

応援しています。

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