営業保証金制度 資料 宅地建物取引士試験
こんにちは。きりん(@kirinaccount)です。
宅地建物取引士 試験
営業保証金制度
宅建業の業務は「いつから開始」できる?
免許さえ受けていれば直ちに営業を開始してもよいのでしょうか?
答えは × です。
宅建業者と宅建業に関して取引した者を保護する為「営業保証金制度」を設けています。つまり、免許を受けても一定の「営業保証金」を「供託」しなければ、営業を開始することができないことになっています。
2. 宅建業の開始時期
① 免許を取得し、営業保証金を供託すれば、直ちに業務を開始でしょうか? 宅建業法では、営業保証金を供託し、その供託の記載のある供託書の写しを添付し、その旨を免許権者に届け出なければ、業務を開始できません。つまり、業務開始までは3段階ということです。
(1) 免許取得
(2) 営業保証金の供託
(3) 免許権者に届出 ⇒ 業務開始
② 免許を受けたにもかかわらず、「3カ月」経っても免許権者に供託書の写しの提出がない場合、免許権者は「催告」しなければなりません。
③ 催告が到達してから「1カ月」以内に届出をしない場合には、免許権者はその宅建業者の免許を取り消すことができます(=必ずしも取消しにならない)。
・業務停止・・・1年以内を定める
保証金制度 ② 営業保証金の供託
チェック項目
営業保証金は「どこに」「いくら」納める?
営業保証金の供託
① 「どこに」供託する ?
新たに宅建業を営もうとする者は、免許を受けた後、営業保証金を(すべて=従たる事務所分も)主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません。
②「いくら」 供託する?
供託額は主たる事務所(=本店)は1,000万円、従たる事務所(=支店は1カ所につき500万円です。この供託金は金銭だけでなく、有価証券による供託でもよく、また、金銭と有価証券で供託してもかまいません。 有価証券で供託する場合には、下記の点に注意する必要があります。
(評価額)
・国債・・・額面金額100%で評価
・地方債・政府保証債・・・額面金額の90%で評価
・政令で定める有価証券・・・額面金額の80%で評価
(有価証券の種類)
省令で定める有価証券には、株式や手形、小切手は含まれません。
(変換手続)
供託していた金銭を有価証券に、有価証券を現金にする場合の手続を 「変換」といいます。宅建業者は営業保証金の変換のため、新たに供託したときは、遅滞なく、その旨を免許権者に届出をしなければなりません。
③ 事務所を増設した場合
業務開始後に宅建業者が事務所を「増設」した場合には、その増設務所分に相当する額(=1カ所500万円)を供託しその旨を免許権者にけ出なければ、この事務所(=支店)で業務を開始することができません。
④ 国債は評価額100%
地方債・政府保証債に注意
・政府保証債・・・10%不足
・政令で定める有価証券・・・20%不足
保証金制度 ③ 営業保証金の「保管替え等」
チェック項目
・営業保証金の「保管替え等」と「還付請求」
1. 営業保証金の保管替え等(=移す)
営業保証金は、すべて(「主たる事務所の最寄りの供託所」に「供託」) します。
もし、主たる事務所の移転により最寄りの供託所が変わる場合、供託金を移転先の最寄りの供託所に移さなければなりません。これが営業保金の「保管替え等」です。また、営業保証金を移すといっても、営業保証金に有価証券が入っている場合は保管替えできず、営業保証金は移転先の供託所に「新たに供託」しなければなりません。
A. (営業保証金の保管替え等の事由)
営業保証金の保管替え等をしなければならないのは、主たる事務所が移転したため、最寄りの供託所が変更する場合だけです。
B. (保管替え等の方法)
1. 金銭のみで供託… 遅滞なく、従前の供託所に対し、移転後の供託所へ「保管替え」の請求を行う。
2. 有価証券で供託… 遅滞なく、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所(金銭と有価証券の場合含む)に対して、「新たに供託」を行う。
・ 有価証券を移転先の供託所に供託した場合、その後に従前の供託金を取り戻すので、一旦は二重供託の状態になる。
2. 営業保証金の還付の手続
宅建業法では、取引の相手方に不測の損害を与えるようなことがあった場合、一定額の損害(=供託している供託金の額を限度とする)を補えるように供託するよう定めています。この営業保証金から「還付請求」できる者とは、宅建業者との「宅建業に関する取引から生じた債権」を有する者とされており、この請求権がある者を「還付請求権者」といいます。
宅建業者は還付請求権者から除かれるので注意。
例えば、宅地や建物の取引による、宅建業者の債務不履行や不法行為などの損害賠償などによる債権を有する人です。したがって、広告会社の広告料金・銀行の融資債権などは対象とはなりません。
還付請求権者に還付した後は、再び営業保証金をもとの金額に戻す必要があります。これを補充供託といい、下頁のように行います。
1.宅建業者と還付請求権者間においてトラブル発生
2.還付請求権者が主たる最寄りの供託所に還付請求
3.主たる最寄りの供託所が還付請求権者に還付
4.主たる最寄りの供託所が免許権者に通知
5.免許権者が宅建業者に通知
6.宅建業者が免許権者に届出
・免許権者は宅建業者に営業保証金の補充通知をするよう通知する。
・宅建業者は通知書を受領した日から2週間以内に、不足額を(補充)供託しなければならない。
・宅建業者は補充供託した場合、供託した日から2週間以内にその旨を免許権者に届出する。
保証金制度 ④ 営業保証金の「取戻し」
チェック項目
・営業保証金の「取戻し」とは?
1. 営業保証金の「取戻し」
営業保証金は宅建業を行うために供託しているのです。したがって、業をやめるのであれば、供託しておく必要はありません。この供託金の返 事由が生じた場合の手続が営業保証金の取戻しです。
全部の取戻し
A. 免許の有効期間が満了したとき(更新しない場合)
B. 破産や廃業などにより免許が失効したとき
C. 個人の場合は死亡、法人の場合は合併により消滅したとき
D. 免許が取り消されたとき(取り消されても、取戻しはできる)
E. 主たる事務所が移転し、最寄りの供託所が変わったとき
F. 保証協会の社員となったとき
一部の取戻し
一部の事務所を廃止したとき(超過額を取り戻す)
2. 取戻しの手続
1. 営業保証金を取り戻す場合、還付請求権を有する者に対して6カ月以上の期間を定めて、その期間内に申し出るように「公告」しなければ、 営業保証金を取り戻すことはできません。これは、「全部の取戻し」だけではなく、「一部の取戻し」でもこの「公告」が必要です。
2.上記「E」「F」
および取戻し事由が発生してから「10年経過」したときは、6カ月以上の公告なしに「直ちに」取り戻すことができます。
<営業保証金を「直ちに」取り戻せるのは、下記の「3つ」!>
① 主たる事務所の移転(=新たな供託所で還付を受けられるから)
② 保証協会へ加入(=保証協会で還付を受けられるから)
③ 取戻し事由が発生してから10年が経過 (=時効により消滅するため)
比較しておぼえよう!
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