所得税~相続税 資料 宅建 免除科目
宅地建物取引士 試験 免除科目
目次
1.長期譲渡所得/短期譲渡所得
2.譲渡所得/課税標準の特例
3.譲渡所得/税率の特例
4.住宅ローン控除
5.贈与税/相続税
「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」とは?
1. 不動産の譲渡・貸付けによる所得とは?
所得税は私たちがよく知っている税金の1つです。この所得には10種類ありますが、そのうち不動産に直接関係のある所得は、「譲渡所得」と不動産の貸付けによる「不動産所得」があります。
2. 譲渡所得の種類
① 譲渡所得とは、売った金額から買ったときの金額と譲渡にかかった費用を課そうというものです。費用を控除した金額、つまり、不動産の譲渡による利益となった分に税金を課そうというものです。
② この譲渡所得には、不動産の譲渡だけでなく、絵画や機械など不動産以外のものを譲渡したときも譲渡所得となります。しかし、不動産渡所得は「分離課税」ですが、その他の譲渡による所得(株式を除く)は、他の所得と合算して計算する「総合課税」 となります。
③ 不動産の譲渡でも、個人事業者である不動産業者が土地や建物を販売(譲渡)した場合の所得は、「事業所得」または雑所得となります。
3. 長期譲渡所得と短期譲渡所得
譲渡所得には、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」があります。これは不動産の譲渡所得だけでなく、総合課税にもあります。しかし、長期と短期の区別には、下記のような相違があります。
① 「総合課税」の場合は、単に所有期間が5年を超えるかどうかで判断し、5年を超えれば長期、超えなければ短期となります。
② 不動産の場合は、譲渡した年の「1月1日」において、その不動産の所有期間が5年を超えるか否かで判断するので、譲渡した月が何月であろうと、譲渡した年の1月1日が5年を超えていなければ「短期」 となります。
取得費・・・取得費は、実際に取得したときにかかった金額であるが、不明な場合は譲渡金額の5%相当の金額が取得費とされる(=概算取得費) 実際の金額がわかっていても、この5%を取得費とすることができる。
讓渡費用
譲渡費用は、売却したときの仲介手数料や借地人に支払った立退き費用なども含む
*総合課税の譲渡所得を計算する場合、長期・短期の合計で最高50 万円の特別控除がある
(長期短期の両方があるときは、短期から先に控除される)
<不動産所得について、下記の「2点」を覚える>・参考
① 不動産所得とは、土地や建物などの貸付けから生じる所得となる。
② 土地を貸し付ける場合の「権利金」については、土地価格の50%を超える権利金は譲渡所得、50%以下の権利金は不動産所得となる。
[譲渡所得の計算式]
不動産の譲渡所得
・取得費
譲渡所得 ―(マイナス) = (イコール) 課税標準 × 税率
・譲渡所得 ・長期 ・長期
・短期 ・短期
チェック項目
譲渡所得の課税標準の特例には、「どのような特例」がある?
1. 通常の譲渡所得の計算
譲渡所得の計算も結局は、「課税標準×税率」で計算します。前項で見たように、譲渡価額から取得費等を引いた金額に、以下の税率を掛けて計算するのです。
① 長期譲渡の場合・・・課税標準×15%
② 短期譲渡の場合・・・課税標準×30%(長期譲渡の2倍)
通常は、上記の結果、出てきた金額を支払いますが、不動産の譲渡所得には、課税標準の「特別控除」と「軽減税率」の特例があります。
「課税標準」の特別控除
課税標準の特別控除には、「長期・短期」に関係なく控除される特例と、短期にはない特例の2種類があります。
① 長期・短期に関係なく受けることができる特例
長期・短期に関係なく適用される主な特例には、課税標準から控除される居住用財産の3,000万円の特別控除、収用交換等の5,000万円の特別控除があります。ここでは、居住用財産の特別控除について、要件を覚えてください(下頁)。
② 短期にはない特例(買換え特例)
買換え特例とは、簡単にいえば「不動産を売った金額から、次に買った不動産の金額を差し引いて、その差額分だけを課税標準とする」という特例です。これを「特定居住用財産の買換えおよび交換の特例」といいます。
この特例についての試験対策として、「譲渡する資産」と「買換えする資産」の要件について、(下表)を見ながら要件を正確に覚えるようにしてください。
[試験の落とし穴]
<収用等により受け取った補償金等で代替資産を取得した場合>
補償金の額のうち代替資産を取得した金額は譲渡益は課税される。 この制度は買換え特例のような「年数要件」はない。(=10年)
[居住用財産の特別控除(3,000万円控除)の要件]
① 居住用財産の譲渡であること
・現に居住している家屋だけでなく、居住の用に供さなくなって3年経過後の年の12月31日までに売却されたものであること。
② 譲渡した相手が配偶者、直系血族、生計を一にする親族等でないこと
・親族の場合は、「生計を一」にするか否かで判断する。
③ 前年または前々年にこの特別控除を受けていないこと。(3年に一度)
④ 本年、前年、前々年に居住用財産の買換え特例を受けていないこと。
[特定居住用財産の買換えおよび交換の特例の要件]
譲渡資産・特例の要件
1. 譲渡した年の1月1日における所有期間が、家屋とその敷地のいずれも10年を超えていること。
2. 次のいずれにも該当していること。
① 譲渡に係る対価の額が1億円以下であること。
② 国内にあるもので、居住期間が10年以上であること。
・居住期間が10年以上であれば、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものであればよい。
③ 譲渡した相手が配偶者等ではないこと。
買換え資産・特例の要件
1. 国内にあるもので、次のすべてに該当するもの
① 家屋の居住用部分の床面積(登記簿の面積)が50㎡以上であること(=上限なし)
② 家屋の敷地の面積が500㎡以下であること。
③ 既存住宅である中高層耐火建築物の場合、取得の日以前25年以内に建築されたもの、または新耐震基準等に適合していること。
2. 譲渡年の前年、譲渡年、または一定の場合は翌年の12月31日までに取得すること。
(=譲渡年の前年や翌年でもよいということ。)
チェック項目
譲渡所得の「税率の特例」の要件は?
税率の特例
この税率の特例は短期譲渡には適用されません。また、長期であってもすべてに適用されるわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。
① 居住用財産の軽減税率の特例
(要件)
・居住用財産の譲渡であること(居住の用に供さなくた日以降になくなった日以後「3年経過」する12月31日に譲渡したものも含む)
・個人が譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超えていること
・譲渡した相手が、配偶者・直系血族などでないこと
・居住用財産の買換え特例の適用を受けていないこと (控除の方法)
・譲渡益の6,000万円以下の部分・・・税率は10%
② 優良住宅地造成等のために土地を譲渡した場合の特例
(要件)
優良住宅地造成等のための譲渡とは、国・地方公共団体への譲渡や収用などによる譲渡をいいます(=国などに協力したら税金を控除するということ)。
・土地(=建物は適用なし)であること。
・譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えていること
・居住用財産の買換え特例の適用を受けていないこと
・譲渡益の2,000万円以下の部分・・・税率は10%
[試験の落とし穴]
試験で最も重要なことは、「特例の重複復適用ができるか否か?」 ということなので、下頁を見て確実に覚えよう!
[特例の重複適用ができるか否か?]
特例の重複適用ができるのは、下記の「2つ」の場合のみ !
① 居住用3,000万円の特例+居住用の軽減税率の特例=できる
② 収用5,000万円の特例+居住用の軽減税率の特例=できる
上記の「2つ以外」の特例は重複できないと覚えよう!
例1) 居住用3,000万円の特例+買換え特例=できない
例2) 特定居住用の買換え特例+居住用の軽減税率の特例=できない
例3) 収用5,000万円の特例 +優良住宅地の特例=できない
所得税/住宅ローン控除等
チェック項目
住宅をローンで買えば「どんな所得税の控除」が受けられる?
1. 住宅ローン控除
住宅ローン等を利用して、住宅を建てたり購入したりする場合または増改築する場合には、10年間所得税が安くなります。
これを「住宅借入金等を有する場合の所得税の特別控除」(=住宅ローン控除)といいます。この控除を受けるためには、下記のそれぞれの要件をクリアしなければなりません。
(人の要件)
① 住宅ローン控除を受ける人の年間所得は合計が「3,000万円以下」でなければなりません。もし、控除適用を受けている間に退職金等の所得があり3,000万円を超える場合、「その年だけ」 適用されません。(=以降は適用される)。
② 新築・購入・増築後6カ月以内に居住すること。
したがって、平成30年に未完成のマンション等を購入し平成31年に完成し入居した場合、平成30年度は住宅ローン控除は受けられません。
住宅の要件
「新築住宅」だけではなく、「中古住宅」を購入した場合でも対象となります。また、住宅ローンを組んで「増改築」したときも対象となります。
ただし、下記の要件をすべて満たす住宅でなければなりません。
① 家屋の床面積が50㎡以上あること
② 床面積の2分の1以上が自己居住用であること
③ 中古住宅の場合、耐火建築物の場合は建築後25年以内、その他の建物の場合は建築後20年以内、または新耐震基準に適合していること。
借入金・その他の要件
① 借入金は償還期間が10年以上の分割払いであること
・10年以上の住宅ローンということ
② 増改築の場合は、工事費が100万円超であることも要件となります。
住宅ローン控除の控除額・控除期間等
① 控除期間は「10年間」です。
② 所得が3,000万円を超える年は受けられない。
③ 控除額は住宅ローンの年末借入残高の「1%」です。
[住宅ローン控除と他の特例の重複適用]
「住宅ローン控除の特例」を受けるにあたっては、「どの特例」とは重複適用でき、「どの特例」とは重複適用できないのかについて押さえておこう。
・できる
① 住宅ローン控除+特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例は重複して適用できる。
② 住宅ローン控除+収用関係の特例も重複適用できる。(収用の5,000万円、優良住宅地の特例)
・できない
「住宅ローン控除」と「他の住宅に関する控除」に関しては、居住した前年,前々年および翌年、翌々年において、下記のような特例を受けていた場合、重複して適用を受けることができない。
①「居住用財産の3,000万円控除」
②「居住用財産の軽減税率の特例」
③「居住用財産の買換え特例」
暗記
住宅ローン控除 → 居住用関係の特例→重複適用できない
住宅ローン控除 →収用関係の特例→重複適用できる
住宅ローン控除 →特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例→重複適用できる
贈与税・相続税
チェック項目
相続時精算課税とは「どのような制度」か?
1. 暦年課税
贈与税は、「個人」が「個人」から財産をもらったときにかかる税金です。この贈与税の計算は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の価額の合計した額から110万円(基礎控除額)を控除して課税価額を求めます。つまり、年間110万円までは非課税ということです。 また、 配偶者が不動産の贈与を受ける場合には、下頁のような配偶者の2,000万円性除も受けることができます。
2. 相続時精算課税
贈与税は暦年課税ですが、一定の要件を満たせば暦年課税に代えて「相続時精算課税制度」が利用できます。この制度は相続税と贈与税を1つにして、生前に受けた贈与財産と相続時に受ける相続財産を合算して、最終的に相続時に精算する制度です。この制度には2種類ありますが、ここでは住宅取得等資金に係るものの要件を覚えてください。
3. 住宅取得等資金贈与の非課税の特例
両親や祖父母の「直系尊属」から「金銭」の贈与を受け、一定の住宅を取得し居住の用に供した場合、令和2年3月まで(消費税が10%の場合)一般住宅は2,500万円(省エネ性住宅や耐震性住空は3,000万円)まで贈与税が「非課税」となります。
この特例を受けることができる要件は下記のとおりです。
① 贈与者・・・直系尊属(父・母・祖父・祖母) であること。
② 受贈者・・・1月1日で20歳以上の子・孫等であること。
贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下であること。
③ その他・・・1/2以上が居住用であること。贈与の年の翌年3月15日までに贈与を受けた「金銭」の全額を住宅等の取得に充当し、居住すること。
[試験の落とし穴]
<特例は「重複適用」できる?>
① 「暦年課税制度」(1年間110万円非課税)と「相続時精算課税制度」とは「選択適用」である。
② 住宅取得等資金の非課税特例は上記①の「いずれの特例」(暦年課税制度(1年間110万円非課税)/ 相続時精算課税制度) であっても「重複適用」できる。
【配偶者2,000万円の控除要件】
① 婚姻期間が20年以上である配偶者からの贈与であること。
② 居住用不動産の贈与または居住用不動産を取得するための「金銭」の贈与であること。
③ 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みがあること。この特例は同一の配偶者からは一度しか適用されない (つまり、同じ配偶者からは一生に一度だけ!)
住宅取得等資金の場合
贈与者の要件
「父」「母」「祖父」「祖母」であること
・年齢を問わない
相続時精算課税の要件として、父母等の年齢は60歳以上でなければならないが、住宅取得の場合は、この要件は除外される。
受贈者の要件
贈与を受けた年の1月1日で20歳以上の「子」「孫」であること
(贈与を受ける子の所得要件はない点に注意!)
贈与物の要件
① 住宅取得等の「金銭」による贈与であること。
(住宅用家屋そのものの贈与はダメ!)
② 下記の要件を満たす一定の住宅であること。
A. 1/2以上が居住用である
B. 床面積が50㎡以上
C. 中古住宅にあっては、築20年(耐火建築物25年)以内、または一定の耐震基準に適合
③ 増改築の場合、工事費が100万円以上であること。
その他の要件
資金贈与を受けた年の翌年の3月15日までに一定の家屋を取得または増改築資金に充て、その家屋に居住するか、または同日後遅滞なく居住の用に供すること
非課税枠
2,500万円
非課税枠を超えた場合
超えた部分に対して「20%」が課税される
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