【永久保存版】見ているだけで参考になる宅建 資料 【民法】

宅建資料を作成した管理人です。

やや専門用語はございますが、実際のところまわりくどく解説することは合格までの近道とはいえないのではないでしょうか。

ところどころWikiPediaなど他社様から引用をしています。

誤字・脱字など、また、質問も受け付けています。

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宅建資料民法
目次

資料 区分所有法~区分所有建物の登記(不動産登記法) 宅建試験 対策  民法

資料 貸借・借地借家法~地代・家賃の増減額請求 宅建 民法

資料 時効/取得時効/消滅時効/時効の更新等 宅建 民法 民法時効

資料 不動産登記/登記簿/表示に関する登記/権利に関する登記 宅建 民法

資料 不法行為/不法行為の成立要件と工作物責任/使用者責任宅建 民法 民法改正宅建

資料 物権の対抗/登記の対抗力・公信力/物権対抗のパターン 宅建 民法

資料 相続~相続に関する民法の改正  民法改正宅建

資料 担保物件~質権・留置権・先取特権  宅建 民法

資料 物権総則/共有/用益物権/ 宅建 民法

資料 担保制度等/保証/保証債務の性質/連帯保証/連帯債務  民法改正宅建

資料 債権/債権譲渡/債権の消滅(弁済)/債権の消滅(相殺) 民法改正宅建 

資料 契約各論/契約不適合/贈与契約/委任契約/請負契約/請負人の「担保責任」宅建民法

資料 契約総論~危険負担 民法改正宅建

資料 代理の基本的事項~表見代理宅建 民法

資料 意思表示~取消または無効と第三者との対抗関係 民法改正宅建

民法 資料/序章/制限行為能力者/取消権/取消しの効果/ 宅地建物取引士 試験 民法改正宅建

 

 

区分所有法 ① 区分所有権

 

チェック項目

 「法定共用部分」と「規約共用部分」は何が違う?

 

  •   専有部分

通常、1つの建物には1つの所有権(一物一権主義)(いちぶついっけんしゅぎ)しかありません。 しかし、1棟の建物を区分して、その区分された各部屋ごとに所有権が認められることがあります。これが「区分所有権」であり、この対象となる部分を 「専有部分」と呼びます

・「専有部分」の要件は、「構造上の独立性」および「利用上の独立性」。

 

①  構造上の独立性

構造上の独立性とは、1棟の建物が構造上数個の部分に区分されていることです。ふすまや障子で仕切られている程度では、構造上の独立性とは認められません。壁扉床天井などによって、他の部分と遮断されていることをいいます

 

利用上の独立性

利用上の独立性とは、各部分が独立して、

(1) 住居・店舗・事務所または倉庫その他の建物としての用途に供することができること、

 

(2) その部分が隣室を通行することなく直接外部に出入りできることが基準となります。

 

 

 

  • 共用部分

① 「共用部分」とは専有部分以外の部分です。簡単に言えば、区分所有者がみんなで利用する部分です。

廊下や階段室など、当然に共用部分とされる

「法定共用部分」と、 本来は専有部分の対象となるのですが、規約により共用部分とする「規約共用部分」とがあります(下頁参照)。

②「共用部分」は区分所有者全員の「共有」に属します。なお、一部の区分所有者だけが共用する「一部共用部分」は、一部共用する区分所有者に属します

・ 共用部分は、持分に関係なく、その用方に従って使用する。

 

[試験の落とし穴]

専有部分と共用部分は分離処分できる?
 「専有部分」と共用部分の「共有持分」は、この法律で定めがある以外は分離処分することができない

(=規約で別段に定めてもできない)。

 

 

[区分所有建物]

エレベータ

(法定共用部分 )

301号室302号室

専有部分・区分所有権

201号室201号室
101号室集会室

規約共用部分

 

敷地(敷地利用権)

[専有部分]

用途・面積専有部分の用途は「住居」に限定されない。

つまり、事務所や店舗にするなどの目的で利用するものでもかまわない

 

② 専有部分の面積は、専有部分の壁その他の区画の

「内側線」で囲まれた部分の水平投影面積で測る

(内法計算)

 

対抗要件専有部分(区分所有権)は、登記をすることにより、第三者に対抗することができる

 

 

[共用部分]

法定共用部分

 

① 数個の専有部分に通ずる廊下または階段室、その他構造上区分所有者の全員またはその一部の共用に供されるべき建物の部分をいう

 

②  法定共用部分は登記できず規約により専有部分とすることもできない

規約共用部分①  本来、構造上も利用上も専有部分とすることができる建物の部分および附属の建物規約によって共用部分と定めた部分をいう

 

②「規約共用部分」は、その旨の「登記」をしておかなければ共用部分 であることを第三者に対抗できない

一部共用部分① 「一部共用部分」については、一部管理団体(一部管理組合)も構成される。この一部管理団体(組合)と全員で構成される管理組合はいずれも1つの区分所有建物に「併存する」ことになる

 

②  一部共用部分の「管理」については参照/③まで移動

 

 

区分情報 ② 共有持分

 

チェック項目

共有持分は「どのように定める」のか?

 

  1.  共有持分

専有部分とは異なり、共用部分は単独で所有しているのではないので、区分所有法では共用部分の「管理」について、「下頁」のように定めています。

①  共有持分は「専有部分の床面積の割合」とされています。

②  管理などに要した費用は、共有持分の「割合」で、各区分所有者が負担することになります。

③  建物の設置または保存に瑕疵(欠陥)があることにより、他人に指定を生じさせたときは、その瑕疵は、 「共用部分」の設置または保存にあるものと推定されます。

 

 

  1. 敷地利用権

建物にはその敷地に対して何らかの権利が必要です。「区分所有建物」 も敷地に対しての権利が必要であり、これを「敷地利用権」といいます。 区分所有建物は一般の建物とは異なるため、敷地に対する権利についても、民法とは異なり、下記のように定めています。

 

①   敷地利用権の割合

区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分の敷地利用権割合は、原則として、専有部分の「床面積の割合」となります。

 

②  専有部分と敷地利用権の分離処分禁止

専有部分を買ったが、敷地利用権は買わなかったということになれば、 敷地を使えないことになります。そこで、区分所有法では、区分所有者は原則として、「専有部分」と「敷地利用権」を分離して処分するこ とは「禁止」されています。

・「規約」で別段の定めをすることはできる。

 

③ 区分所有建物の「敷地」には、大きく分けて「法定敷地」と「規約敷地」があります(下頁)。

 

 

[共有持分と共用部分の管理]

「どのように」行う具体例規約による変更
保存行為各区分所有者は 「単独」でできる

 

修繕するなど

 

「規約」で別段の定めができる

 

通常の管理行為(普通決議)

区分所有者および議決権による

「各過半数」が必要

 

火災保険契約を結ぶなど

(損害賠償契約)

 

その形状または効用の著しい変更を伴わない変更行為(普通決議)

区分所有者および議決権による

「各過半数」が必要

 

改築や用途変更

 

上記以外の変更行為(=変更を伴う行為)(特別決議)

区分所有者および

議決権による

「各 3/4以上」が必要

 

「規約」に

より区分所有者の

「定数」 は過半数まで減ずることができる

 

・「変更行為」などをする場合に、特別の影響を受ける者がいる場合は、その者の「承諾」が必要

 

 

 

[法定敷地と規約敷地]

法定敷地
「法定敷地」とは、建物が建っている1筆あるいは数筆の土地をいい、1筆であればその1筆の土地全体を、

数筆の土地に建物がまたがっていれば、その数筆の土地をいう

規約敷地
「規約敷地」とは、区分所有者が建物および法定敷地と一体として管理または使用する庭・通路その他の土地で、「規約」により敷地としたものをいう

 

・ 規約敷地は、 必ずしも法定敷地に隣接していることを必要としない

 

 

区分所有法 ③ 管理組合

 

チェック項目

「管理組合法人」と「管理者」の役割とは?

 

  1.  管理組合

「区分所有者は、「全員」で、建物ならびにその敷地および附属施設の管理を行うための団体を構成し、集会を開き、規約を定め、および管理者を置くことができる」と定めています。

・ 区分所有者は「全員で管理組合を構成し、当然に団体の構成員」となる(賃借人などの「占有者」は、管理組合の構成員ではない)。

 

  1. 管理組合法人

管理組合のうち、下記の要件の「すべて」を満たしたものは、管理組合を法人化することができます。この法人を「管理組合法人」といいます。

①  区分所有者および議決権の各3/4以上の多数による「集会の決議」で法人となる旨の決議があること ② 名称・事務所を定め、主たる事務所の所在地で「登記」すること

この管理組合法人には必ず「理事」と「監事」を定めること

 

  1. 管理者

区分所有者は、「全員」で区分所有建物の共用部分、敷地、附属施設の管理などを行いますが、この管理のため、「管理者」を選任することもできます。

① 管理者には資格制限はなく、自然人または法人を問いません。また、区分所有者以外の者でもかまいません。

② 管理者規約に別段の定めがない限り、集会の「普通決議」により 「選任」や「解任」するなど、「下頁」 のような定めがあります。

 

[試験の落とし穴]

 

<一部共用部分の管理>
①  「一部共用部分」に関する事項で区分所有者「全員の利害に関係しないもの」は、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、一部共用すべき区分所有者が管理する。

 

② 「一部共用部分」の管理に関する事項で、「全員の利害に関係するもの」は、区分所有者「全員」の規約で定める。

 

 

 

[管理組合と組合員]

 

「管理組合の構成」

区分所有者

管理組合 →法人組織→理事(理事→管理者)

非法人組織

・管理者が置かれていない場合

管理者が置かれている場合 下記表参照

[管理者の選任・解任など]

要件ポイント
設置義務設置義務はない任意で設置
資格制限はない・個人(自然人)か

法人かを問わない

・ 区分所有者以外の

者でもよい

選任集会の普通決議規約で別段の定めを

してもよい

解任集会の普通決議管理者が不適任の場合、

各区分所有者は

裁判所に対し

解任請求をすることができる

管理者の権限
 「管理者」は、その職務に関し、

また共用部分の保険金の受領などに関し、

区分所有者を代理する。

また、規約で管理者の代理権に

制限を加えたとしても、これを善意の第三者に対抗できない

「管理者」は、

規約または集会の決議により、

その職務に関して区分所有者のために原告または被告となることができる

「管理者」がその職務の範囲内で行った第三者との行為の効果は、各区分所有者の持分に応じて区分所有者に「帰属」する

 

 

区分所有法 ④ 規約等

 

チェック項目

「規約」の設定や変更などは「どのように行う」?

 

  1.   区分所有者・占有者の「権利」

区分所有者には、一定の要件のもと、他の区分所有者の専有部分または自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができるなど、「下頁」のような「権利」があります(占有者にはない権利に注意!)。

 

・専有部分の賃借人には、立入請求権は認められていないので注意!

 

 

  1.  区分所有者・占有者の「義務」

「区分所有者」または「占有者」は、建物の保存に有害な行為や、その他建物の管理または使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないとされています。義務違反を行った場合には、区分所有者または占有者に対しては、「下頁」のような措置があります。

 

  1.  規約

規約の設定等

① 「規約」の設定、変更、廃止をする場合には、区分所有者および議決権の各「3/4以上」の多数で定めることができます。

②「規約」の設定、変更、廃止が一部の区分所有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その者の「承諾」を得なければなりません。

「規約」は原則として、管理者が「保管」し、その「保管場所」は建物内の見やすい場所に「掲示」しなければなりません。また、利害関係人の請求があった場合には、正当な理由がなければ、規約の閲覧を拒んではいけません。

 

  1.  公正証書による規約の設定

「最初」に建物の専有部分の「全部」を所有する者は、「公正証書」により、 下記の「4つ」の事項については規約を設定することができます(1人でも定めることができるということ)。

①     規約共用部分の定め

②     規約敷地の定め

③    分離処分禁止の例外

④ 専有部分と一体化される敷地利用権の割合

 

 

[区分所有者と占有者]

区分所有者占有者
義務

違反行為をした場合

 

建物の保存に有害な行為、または管理や使用に関して、区分所有者または占有者の共同の利益に反する行為をしてはならない
権利(立入請求)専有部分

・共用部分を保存や改良するために必要な範囲内で、他人の専有部分・共用部分の使用請求をすることができる

・ただし、損害が出た場合には償金を支払う義務がある

 

権利(集会の参加と議決権の行使)①  集会に参加し、意見を述べることができる

 

②「議決権」を行使することができる

 

①集会に参加し、

意見を述べることが

できる

(常にではない)

 

②「議決権」を

行使する

ことはできない

 

区分所有者差止め請求共同の利益に

反する行為をした、

または、

するおそれがある場合

区分所有者および

議決権の

各過半数

 

(=裁判外は

単独でできる)

 

使用禁止請求違反行為がかなりひどい(差止請求では困難な)場合区分所有者および

議決権の

各3/4以上、

必ず裁判

(=訴えによる)

競売禁止違反行為がひどすぎて

ほかに方法がない

(差止めや使用禁止では困難な)

場合

区分所有者および

議決権の

各3/4以上、

必ず裁判

(=訴えによる)

占有者差止め請求共同の利益に反する行為をした、

または、

するおそれがある場合

区分所有者

および議決権の各過半数

(裁判外は

単独でできる)

契約解除および引渡し請求違反行為がひどすぎて、

ほかに方法がない場合

区分所有者および

議決権の各3/4以上、

必ず裁判

(=訴えによる)

 

 

 

 

 

 

区分所有法 ⑤ 集会と規約

 

チェック項目

集会は「どのように行う」?また、規約は「どのように定める」?

 

集会(集会の流れ)

① 「いつ」集会を招集するのか?

集会の招集通知は少なくとも会日の1週間前「会議の目的たる時項」を示すとともに、建替えや一定の特別決議は「議案の要領」を示して通知を発します。この期間は規約で伸縮することができます。

 

②「誰が」招集するのか?

・管理者(または理事)は、毎年1回集会を招集しなければなりません。

・管理者がいないときは、区分所有者の1/5以上で、議決権の1/5以上を有するものが招集します。

定数は規約で減らすことができます。

・減らすことはできるが、増加はできないので注意!

 

③「誰に対して通知」するのか?

集会の招集は「通知」により行いますが、専有部分が「共有」の場合は議決権を行使すべき者1人を定めていればその者に通知し、定めていないときは、共有者の「1人」に通知すればよいとしています。

・占有者も集会に出席できますが、「占有者」には通知は「不要」です。

・規約に別段の定めがあれば、建物内に住所を有する区分所有者等への集会の招集通知は、建物内の見やすい場所に掲示することができます。

④「どのように決議」するのか?

・ 管理者(管理者がいないときは、集会を招集した区分所有者)の1人が議長となり、通知した議案について決議を行います。

・規約で別段の定めがあれば、通知した以外の事項も決議できます。

・区分所有者は、議決権の行使を「書面」または電磁的方法でもすることができます。また、代理人によっても行使することができます。

・集会の決議は下頁のように行いますが、区分所有者全員の承諾があれば、書面または電磁的方法による集会の決議をすることができます。

⑤「議事録」はどうするのか?

・ 議事録は議長が作成し、議長および出席した区分所有者2名が署名押印します。そして、管理者が保管し、保管場所を建物内に掲示します。

・議事録は、利害関係者の請求があれば、正当な事由がない限り、その者に「閲覧」させなければなりません。

 

[集会の決議]

 

用語  ・区分所有者・・・人数のこと(たとえ複数の専有部分を有していても1人)

・議決権・・・専有部分の床面積の割合 (広いほど議決権は多い)

事例

例えば、同じ「3LDK」であっても床面積が同じとは限らないし、また、複数の専有部分を1人で所有する場合もある。

普通決議を行う場合、区分所有者(=頭数)の過半数と議決権(=床面積の割合)の過半数との「両方の要件」を満たす必要がある

 

[特別決議が必要な事項]

「特別決議」の内容規約による変更
区分所有者および議決権の各3/ 4以上共用部分の変更

(その形状または効用の

著しい変更を伴うもの)

区分所有者の定数だけは、規約で「過半数」

まで減らせる

規約の設定・変更・廃止規約で別段の定めは不可

(できない)

 

使用禁止・競売請求

(区分所有者の義務違反)

引渡し請求

(占有者の義務違反)

 

大規模滅失の復旧
管理組合の法人化

 

[その他の決議等]

共用部分の保存単独でできる
集会の招集 区分所有者および

議決権の各1/5以上

建替え決議 区分所有者および

議決権の各4/5以上

 

 

 

区分所有法  ⑥ 復旧・建替え

 

チェック項目

「復旧」や「建替え」はどのように行う?

 

 

  1.   復旧(小規模滅失による復旧)

建物価格の1/2以下に相当する部分が滅失した場合(小規模滅失)です。

各区分所有者は、自己の専有部分だけでなく、滅失した共用部分についても、「単独」で復旧することができます。

・復旧決議により復旧する場合、区分所有者および議決権の各過半数の「普通決議」で行う。

 

  1.  復旧(大規模滅失による復旧)

①   建物価格の1/2を超える部分が滅失した場合(大規模滅失)です。

大規模滅失があると、各区分所有者は共用部分について復旧を単独では行えず、区分所有者および議決権の「各3/4以上」の「特別決議」が必要となります。

・この規定は、「規約」で別段の定めをすることはできない。

② 復旧決議に賛成しなかった区分所有者は、建物および敷地に関する権利を賛成した区分所有者に時価で買い取るべき請求をすることができます。これを「買取請求」といいます。

 

  1.  建替え

①   「建替え」について、当該建物の敷地もしくはその一部、または当該敷地の全部もしくは一部を含む土地に新たな建物を建築しようとするときは、集会で区分所有者および議決権の「各4/5以上」の多数で、 「建替え決議」をすることができます。

②    この規定は「規約」により別段の定めをすることはできません。

 

③ 建替え決議の集会を招集する場合は、下記のように行います。

  •   集会の招集通知は「2カ月前」に発しなければなりません。

この期間は「伸長」することができます(=短くすることはできない)。

  1.   議案の要領のほか建替えを必要とする理由なども通知します。
  2.   会日より「1カ月前」までに「説明会」を開催します。

④具体的な建替えの流れは、上記のような「集会招集」から始まり、そして、「集会の決議」を行い、下頁のような手続を経て、最終的には反対者に対する「売渡請求」を実行して行います。

[建替えの流れ]

建替え決議(各4/5以上の集会の決議)によって参加・不参加の賛否を問う

① 参加するか否かを催告

賛成者または参加者等      ――――――――――――――――→   反対者または不参加者等

反対者がいる場合には集会招集者は、再度、反対者に対して、 建替え参加するかどうかを

回答するよう、遅滞なく書面で催告する

 

② 回答する

賛成者または参加者等      ←――――――――――――――    反対者または不参加者等

2カ月以内に回答する。回答しなければ不参加とみなされる

 

③ 売渡請求権の行使

賛成者または参加者等     ――――――――――――――→     反対者または不参加者等

 

催告期間経過後2カ月以内に売渡請求権を行使する

大規模滅失と建替えの場合の相違

 

・大規模滅失の場合の買取請求・・・賛成者 行使―反対者 (行使)

・建替えの場合の売渡請求・・・賛成者 ―行使反対者

 

④ 買戻請求を行う

賛成者または参加者等      ←――――――――――――――――     反対者または不参加者等

・建替え決議の日から、正当な理由なく2年以内に取壊し工事に着工しない場合、2年の満了の日から6カ月以内に、その者が支払った代金と同額で現在の所有者に対して買戻しの請求ができる

 

 

 

区分所有法 ⑦ 区分所有建物の登記(不動産登記法)

 

チェック項目

区分所有建物の「登記の特徴」を押さえよう!

 

1.  区分所有建物の登記

区分所有建物は、一般の建物と比べ、構造や利用関係が異なるだけでなく、登記の手続等においても異なります。

 

2.表題登記の一括申請

表題登記は、本来その所有者が自ら行うものですが、区分所有建物に関しては、1棟全体の表題部と各専有部分(区分建物)の表題部があり、これらすべての表題登記の申請は、分譲業者などの「原始取得者」が、その所有権の取得の日から「1カ月以内」に 「一括して申請」しなければなりません。

3.区分所有建物の権利の登記

①  区分所有建物の表題登記は、分譲業者が一括申請で行いますが、 「権利の登記」は、分譲業者は全部の「専有部分」について、「保存登記」 を行い、その後、購入者に「移転登記」を行います。

② 区分所有建物の場合、原始取得者(分譲業者)から所有権を取得した者は、直接自己名義に建物の所有権 「保存登記」をすることができます。

 

 

③「規約共用部分」は、その旨を登記しなければ第三者に対抗することはできません。この登記を「共用部分である旨の登記」といい、この登記は、その専有部分の「表題部」に行います。

 

4. 「敷地権の表示」の登記と「敷地権である旨」の登記

①   専有部分と敷地利用権は、原則として分離処分することが禁止されています。その旨を登記簿に反映させることを「敷地権の表示の登記」といい、この登記は1棟全体の表題部と専有部分の表題部に登記します。

 

②  敷地権の表示の登記がなされれば、そのことを土地の登記記録にも登記する必要があり、これを「敷地権である旨の登記」といい、敷地権の目的となっている土地の権利部相当区に、登記官が職権で行います。

・相当区とは、甲区か乙区のことであり、敷地の権利が所有権であれば甲区に、地上権や賃借権のような所有権以外であれば乙区に登記される。

一般の建物区分所有建物
建物登記簿床面積は

壁心計算による

 

床面積は

内法計算による

 

ポイント① 表題登記をする場合、分譲業者等が一括して申請を行う

② 上記の区分所有建物で、例えば、101号室が管理人室などの規約共用部分であるときは、規約共用部分である旨の登記を専有部分に行う。

 

③ 上記の区分所有建物において、専有部分と敷地利用権の分離処分が

 

禁止されているものであれば、AとBに、敷地権の表示が登記される

 

土地登記簿土地登記簿は、一般建物の

区分所有建物も同じく

表題部・甲区・乙区から

編成されている

ポイント区分所有建物に敷地権の登記がされると、

① 敷地権が所有権である場合は、

権利部甲区に敷地権である旨の

登記がされる

②    敷地権が所有権以外(地上権や賃借権)

である場合は、権利部乙区に敷地権である旨の

登記がされる

③ 規約で敷地利用権の割合を、

専有部分の床面積割合と異なる割合で

定めた場合も、

その旨の登記申請ができる

 

 

貸借・借地借家法 ① 民法の賃貸借

 

チェック項目

民法の賃貸借の「存続期間」「終了原因」「対抗要件」は?

  • 賃貸借契約

「賃貸情契約」とは、賃貸人が賃借人に対して、目的物を使用- 収益させることを約し、賃借人がこれに賃料を支払うことを約する契約です(諾成契約)。

したがって、賃貸借契約も売買契約と同様、書面でなくても成立します。

  • 賃貸借契約の存続期間 法改正

賃貸借契約の存続期間は、民法において「最長50年」と定めており、これより長い期間を定めることはできません(更新後も50年が最長)。

  • 賃貸借の終了事由

①   期間の定めがある場合

賃貸借の「期間を定めた」ときは、期間が満了することによって、賃貸借の契約は「終了」します。しかし、賃貸借契約終了後、賃借人がその物の使用・収益を継続している場合、賃貸人がそれを知りながら異議を述べないときは、前契約と同一条件で「更新」したとみなされます。

 

・期間の定めがある場合、当事者は「中途解約」はできません。

ただし。 期間内に解約をする権利を留保したとき(=解約できる権利を残したとき)は、解約することができます。

 

②  期間の定めがない場合

賃貸借の「期間を定めなかった」ときは、当事者はいつでも解約の申入れをすることができます。

・土地は「1年後」、建物は「3カ月後」に契約は終了する。なお、賃貸借契約の解約の効果は将来に向かって生じ、遡及しない。

 

  •  賃貸借の対抗要件(不動産の場合)

不動産の「賃借人」が、賃借権を第三者に対抗するためには「登記」が必要です。また、不動産の「新所有者」(=新賃貸人)が、自分が新たな所有者であることを主張し、賃借人に賃料請求する場合も「登記」が必要となります。

 

  •  敷金の問題

権利金とは異なり、「敷金」は、賃料の滞納や賃借物の損傷を担保させるための金銭であり、賃貸人が賃貸借契約の終了時に返還すべき金銭です。

したがって「下項の図」のような問題が生じます。

 

 

[契約の当事者が変わると、「敷金」はどうなる?!]

賃貸借契約

A      ←―――――――→     B

 ←――――――――

敷金を入れる

↓  売買                           ↙     ↓  譲渡

C                 敷金の返還請求    D

 

A・Bの賃貸借契約の際、BがAに敷金を交付した。

その後AがCに建物を売却する場合、売却にあたり

AはBの承諾は不要である

敷金の承継    A·Bの賃貸借契約の「期間中」に

AがCに建物を売却し、Cが建物の所有者(=新家主)となった場合

・敷金は当然に新所有者であるCに引き継がれる。

A・C間で敷金の授受があったかどうかは関係なく

引き継がれる

②   A・Bの賃貸借契約の「終了後」、

Bが建物を明け渡す前にAがCに売却した場合

→敷金は新所有者Cに引き継がれない

   BからDに賃借人が代わった場合

→Dは賃貸人Aに対してBの支払った敷金の返還請求はできない

④   Bが、賃料を滞納した場合

→「賃借人」Bは、Aに対し賃料を敷金から

控除するように請求できない

⑤   Bが、賃料を滞納した場合

→「賃貸人」Aからは滞納賃料を敷金から控除することができる

(賃料債権が物上代位により差し押さえられても、

Aは未払賃料を控除することができる)

・賃貸借期間中の滞納賃料だけでなく、契約終了後から明渡しまでの賃料相当額も控除できる
同時履行賃貸借契約を終了する場合、Bは「建物を明け渡し」、Aは「敷金を返還」しなければならないが、この関係は「同時履行の関係」ではない

 

・明け渡した後に返還する敷金の額が定まるので、明渡しが先

 

 

 

 

 

貸借・借地借家法 ② 賃貸人と賃借人

 

チェック項目

 

賃借権を無断で「譲渡転貸」すると、どうなる?

 

  1.   賃貸人の義務

①   「賃貸人」は、賃借人に対し使用収益をさせる義務があります。使用させるためには、まず目的物を引き渡さなければならず、目的物に修繕が必要な場合には、「賃貸人」は「修繕」をしなければなりません。

②  「賃借人」も目的物の保存に必要な修繕を拒むことはできません。

修繕を賃借人が行った場合には、賃貸人はその費用を賃借人に償還する必要があります。

この費用には、「必要費」と「有益費」があります。 必要費・・・目的物の保存・修繕などに必要な費用は、賃借人は支出後、「直ちに」償還請求ができます。

有益費・・・目的物の価値を増加させる費用は、契約の「終了時」に償還請求ができます。この請求は、価格の増加が現存する場合には、「賃貸人」の選択により、その支出額または増価額の 「いずれか」を賃借人に償還します。

 

  1.  賃借人の義務

①   賃借人は、賃料を支払う義務があり、原則として、後払いとなります。 賃借物が「一部滅失」した場合、賃借人は賃料の「減額請求」をすることができる。

②  賃借物の使用方法については、賃借人には「善管注意義務」が課されており、契約が終了したときには、目的物を「原状に戻して返還」する義務があります。

 

  1.  賃借権の譲渡・転貸

①   賃貸人の承諾があれば、賃借権を第三者に譲渡したり、賃借物を転貸することができます。しかし、賃借権を無断で譲渡転貸した場合は、契約解除の原因となります。

「無断譲渡・転貸」しても、背信的行為にあたらない場合は、契約を解除することはできない(判例)。

 

②  賃借権の譲渡・転貸を「賃貸人」が承諾していない場合、賃貸人は賃貸借契約を解除しなくても、譲受人や「転借人」に対して「明渡し」を 求めることができます

 

[賃借権の譲渡・転貸]

 

譲渡

A(賃貸人)

↓     ↘

B(賃借人)→ C(賃借人)

譲渡

 

 

 

 

解説

BがAの承諾を得て賃借権をCに譲渡すれば、賃借権は、A・B関係からA・C関係となる

 

転貸

 

A(賃貸人)

B(賃借人)→C(転借人)

転貸

(賃借人)・・・Aとの関係

(転借人)・・・Cとの関係

解説

BがAの承諾を得て、Cに転貸した場合は、A・B関係とB・C関係は「併存」する・下図

 

[転貸の問題点]

 

事例

 

A(賃貸人)

↓ 賃料請求〇 ↘↖修繕請求×

B(賃借人)→C(転借人)

 

 

 

・適法に転貸すれば、A・B、B・C両方の関係が併存する。しかし、AとCは直接の関係にないので、A·C間では下記のような問題が生じる

 

 

転貸借ポイント AはCに「賃料」の支払を請求できるか?
「転借人」Cは「賃貸人」Aに直接義務を負う。

したがって、AはCに賃料の支払請求ができ、たとえCが転借料をBに前払いしていても賃貸人Aに対抗できない。

 

・このAからCへの賃料請求は、賃借料および転借料の範囲内しかできない。

つまり、賃借料と転借料の「低いほう」の金額となる

CはAに「修繕」の請求ができるか?
「賃貸人」は転借人に直接義務を負わない。

例えば、家屋の修繕が必要となった場合、

CがAに直接請求できるかというと、請求は直接Aにすることはできないことになる。

CはBに請求することになる

 

 

 

 

 

貸借・借地借家法 ③ 民法の使用貸借等

 

チェック項目

「使用貸借」は、「賃貸借」とどこが異なる?

 

1. 使用貸借契約

「使用貸借」とは、当事者の一方が「無償」で使用および収益をしたあとに返還することを約して相手方から物を受け取る契約です。つまり、この契約は無償の「諾成契約」ということです。

2. 担保責任 法改正

使用貸借の貸主は、原則として担保責任を負いません。しかし、貸主が瑕疵を知りながら借主に告げなかった場合は責任を負います。

 

3. 使用貸借の終了(=いつ、目的物を返還するのか?)

使用貸借契約は、「借主」の死亡によって終了します(貸主ではない点に注意!)。

また、下記の場合も使用貸借契約は終了します。

 

 (期間を定めた場合)

期間を定めた場合、借主は契約で定めた時期に返還しなければなりません。

 (期間を定めなかった場合)

期間を定めなかった場合は、下記の「2種類」に分けられます。

  1.     期間は定めなかったが、使用収益の「目的を定めた」場合

 

契約で定めた目的に従って使用収益を終えたときに、返還します。

ただし、その使用収益を終わる前であっても、使用収益をするに足りる期間が経過したときは、貸主は「直ちに返還請求することができます。

  1.   期間だけでなく、使用収益の「目的も定めなかった」場合

 

貸主は「いつでも」返還請求ができます。

 

[試験の落とし穴]

<土地や建物を使用貸借契約で借りても、借地借家法は適用されない>
・建物を「賃貸借」で借りていた場合、建物が譲渡されても「引渡し」があれば第三者に対抗できる。

・建物を「使用貸借」で借りていた場合、「引渡し」をもって第三者に対抗することはできない。

 

 

 

 

[使用貸借と賃貸借の相違]

使用貸借賃貸借
担保責任原則として負わない負う
相続しない

(借主の死亡で終了)

する

(借主の権利を引き継ぐ)

必要費・有益費貸主に「有益費」は請求できる

(通常の必要費は借主負担)

貸主に必要費・有益費ともに請求できる

 

 

 

 

[「いつ」目的物を返還するのか?]

事例.

貸主

(使用貸借契約)

A―――――――――――→B借主

 

 

返還時期・返還時期を定めた=Bは定めた時期に返還する

 

・返還時期を定めなかった=下記2種

目的を定めた(下記参照)

・目的を定めなかった(Aはいつでも返還請求できる)

 

  ↓

 

「目的を定めた」とは?
 「使用貸借契約」で返還時期は定めなかったが

「目的を定めたとき」とは、例えば、災害等で住居を失い、

新たな住居が見つかるまで住居を借りる場合などである。

この場合、借主は新たに住居が見つかれば返還しなければならない

使用収益をするに足りる期間が経過したときは?
① 使用貸借契約で「目的を定めた」場合、目的を達成しなければ、いつまでも借主は目的物を返還しなくてもよいということになる

②  上記の例でいうと、新たに住居を探しているけれど「いい物件が見つからない」と言えば、いつまでも返還しなくてもよいことになってしまう

③  そこで、その「使用収益を終わる前」であっても、使用収益をするに足りる期間が経過したときは、貸主は「直ちに」返還請求することができると定めている

 

 

 

貸借・借地借家法 ④ 借地権

チェック項目

民法の「賃貸借」と「借地借家法」の関係は?

 

  1.   民法の「賃貸借」と「借地借家法」の関係

民法の「賃貸借」の規定は、不動産、動産を問わず、すべてについて適用されます。しかし、「借地借家法」の貸借は、借地権、借家権のある不動産に限られます。

 

 

したがって、民法の賃貸借と借地借家法の関係は、借地権、借家権がある賃貸借は、借地借家法が優先され、借地権、借家権のない賃貸借は、原則のとおり、「民法」の規定が適用されます。

・借地人や借家人に「不利」な特約は「無効」となる。

 

  1.  借地権

①   通常、土地を借りれば、その土地を借地と呼びます。しかし、借地であっても「借地権」がなければ、借地借家法は適用されません。

②  借地権とは、「建物所有」を目的とする「地上権」と「賃借権」をいいます。したがって「借地権」とは、 下記の要件を満たすものです。

  1.  建物所有が目的であり、露天駐車場などとする場合には適用されない。
  2.  地上権・賃借権であり、無償である「使用借権」には適用されない。

・「賃借権」であっても、臨時施設などの「一時使用」の場合、存続期間・更新・再築・定期借地権などの一定の規定は適用されない。

 

  1.  借地権の存続期間と更新期間

①    民法の賃貸借契約の存続期間は最長50年であり、また、賃貸借の期間が満了し、合意により更新する場合、更新後も最長50年です。

②   借地借家法(借地)の場合、賃貸借契約の「期間を定める場合」と 「期間を定めない場合」、それぞれ下記の期間となります。

当初の期間期間を定める場合30年以上(30年より短く定めても30年となる)
期間を定めない場合30年となる
更新後の期間期間を定める場合1回目の更新は20年以上(2回目以降は10年以上)
期間を定めない場合1回目の更新は20年(2回目以降は10年)

 

 

 

 

 

[民法と借地借家法との関係]

賃貸借によるトラブル

|          ↓(借地権・借家権がある場合)

(借地権・借家権がない場合) |         借地借家法

|          |(借地権・借家権に規定がない場合)

↓                                      ↓

                  民法(賃貸借)

 

 

[地上権たる借地権・賃借権たる借地権]

↓―A(建物)―↓

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

B(土地)

 

重要  ・土地に対する使用借権 (賃借権)は借地借家法の適用はないので注意!

地上権(物権)

・地主に登記協力義務あり

・借地権は自由に譲渡

賃借権 (債権)

・地主に登記協力義務なし

・地主の承諾を得て借地権を譲渡

 

[借地権の存続期間と更新]

期間を定めない → 30年                更新        20年         更新     10年

  Ι――――――――――――――――|――――――――――――|――――――――――――|――――――――→

期間を定める→          30年以上                  20年以上            10年以上 

 

・「借地権」の場合、後述する「借家権」とは異なり、期間を定めなくても、当初は30年、更新後は20年(2回目以降は10年)と期間は定まります (=したがって、借地権には「期間の定めのない」ということはない)

 

 

 

 

 

貸借・借地借家法 ⑤ 借地権の更新

 

チェック項目

借地権の「期間が満了」や「建物が滅失」すればどうなる?

 

  •  借地権の更新

借地権の存続期間が「満了」して更新すれば、「年数」は前項のようになりますが、そもそも更新するにはどうすればよいのでしょうか?

当事者 「合意」して更新するのであれば問題はありませんが、賃貸人が更新を拒めば、下記のように更新することができます。

 

①   借地権者(土地の借主)の「更新請求」による更新の場合

a.

借地権者が更新請求をするときは、借地上に建物が残っている場合に限り更新請求ができ、原則として、前契約と同一条件で更新されます

b. 更新する場合の「期間」は、前述どおり1回目は20年、それ以降は10年となります(それより長い期間を定めた場合はその期間となる。)

 

c. ただし、借地権設定者(地主)が「正当事由」をもって「遅滞なく異議」を述べれば、更新されません。

d. 更新しない場合、「借地権者」は地主に対して「建物買取請求権」 を行使することができます(「建物を買え!」ということ)。

 

 

 

②  借地権設定者(地主)が何も言わない場合(法定更新)

 

借地上に建物が残っていれば、期間満了後も借地権者が使用を継続し、借地権設定者が「正当事由」をもって「遅滞なく異議」を述べなければ更新されます(更新期間や条件なども上記①と同じ)。

 

「正当事由」とは、下記の「すべて」を総合して考慮される。

 

・借地権者と地主との土地の使用の必要性・従前の経過

・土地の利用状況・地主の立退き料の申出など

 

  •   建物が「滅失」した場合、借地権は消えるのか?

①   借地権の存続期間中に建物が「滅失」すれば、借地権はどうなるのでしょうか?

もし借地権が消えるのであれば、その土地を使用することはできなくなり、借地権者は建物を再築することはできません。

 

 

「借地借家法」では、下記 a.、b.のように「いつ」「建物が滅失」したかにより、下頁のように異なります。

 

  1. 「当初期間内」に建物が滅失した場合
  2. 「更新した後」に滅失した場合

 

 

[借地権の更新]

期間満了

・(原則)前契約と同一条件で更新する(期間は④のとおり・④まで移動)

 

・(例外)地主が(正当な事由) +(遅滞なく異議) = 更新しない

 

[契約期間中の建物滅失と再築]

                    借地契約        最初の期間満了                   次の期間満了

―――――――|――――――――|―――――――――|―――――――→

                  ・ 「当初」期間内に建物が滅失  ・「更新後」に建物が滅失

 

当初期間内に滅失更新後に滅失
通知再築の申出を地主に通知する

(注)

地主とは「借地権設定者」のことをいう。

 

地主の返事がなければ承諾したことになる

・再築できる

 

地主の返事がなかったと

しても承諾したことにならない

・承諾がなければ

再築できない

 

 

建物を再築する場合

 

地主の承諾

(ある場合)

「承諾のあった日」または

「再築された日」の早いほうの日

から20 年間延長される

地主の承諾

(ない場合)

 

地主が承諾しなくても、期間満了まで借地権は消滅せず存続する

期間満了時に更新するかどうかは、更新の定めに従う

借地権設定者

(=地主)が

主張できること

①承諾なしに再築した場合、

地主は借地権者に「解約」の

申入れ等をすることができる

② 解約の申入れ等をすると、

「3カ月後」に借地契約は

終了する

借地権者が

主張できること

地主が承諾しなければ

借地権者は地主の承諾に代わる

「裁判所の許可」の申立て

をすることができる

 

(裁判所の許可⑦まで移動)

・ 借地権者も解約の申入れを

することができ、

借地権を消滅させることができる。

 

(申入れから3カ月後に

終了する)

 

 

 

 

貸借・借地借家法 ⑥ 定期借地権等

 

チェック項目

借地権の「対抗要件」と「定期借地権」の特徴

 

1. 借地権の対抗要件

地主が土地を譲渡する場合、借地権者(借主)の同意は不要です。しかし、新地主が「土地を貸さない」と言った場合、新地主に「対抗」するためには 下記の「いずれか」の要件を満たせば対抗することができます。

 

①  「借地権」の登記(土地に対する地上権・賃借権の登記)

② 借地権「建物」の登記

(特に下記の「判例」は覚えておこう!)

a.「建物の登記」で対抗する場合、その建物の登記は「表題登記」や「保存登記」でも構いません。しかし、妻や子などの「他人名義」の登記であれば、認められないので対抗することができません(判例)

  1.   「建物の登記」があった建物が「滅失」した場合、再築するまでの間はその土地に一定の事項を記載したものを「掲示」すれば、滅失の日から「2年間」、第三者に対して対抗できます。

 

 

  1.   借地権の譲渡・転貸(下頁上図借地権の譲渡・転貸)

建物を譲渡する場合、土地を利用する権利も譲渡しなければ、 譲り受けた者は、建物を使用することができません。借地権が「地上権」のときは自由に譲渡できますが、借地権が「賃借権」のときは、下記のように行います。

 

①  借地権が「賃借権」のときは、地主の承諾が必要となります。

② 地主の承諾を得られないときは、下記の方法で地主に対抗します。

  •   「借地権者」の申立てで、地主の承諾に代わる「裁判所の許可」をもらうことができます。

・ 「競売」は、 第三者である「競落人」の申立てで行う。

 

  •  「建物を買い受けた者」が地主に「建物買取請求権」を行使します。

・借地上の「建物」を第三者に賃貸する場合、土地の賃借権の譲渡・転貸ではないので、地主の承諾は「不要」(判例)。

 

 

 

2. 定期借地権(下図定期借地権の種類)

通常の借地権は期間が満了しても、地主に「正当事由」がなければ契約は更新されます。しかし、「定期借地権」の場合は、地主に正当事由がなくても、期間満了をもって「終了」します。この定期借地権には下項のように 「3種類」あります。

 

[借地権の譲渡・転貸]

借地権の譲渡・転貸ーー→借地権が地上権ーー→自由に譲渡・転貸できる

借地権が賃借権

自由に譲渡・転貸できない (地主の承諾を得て行う)

↓            ↓ 「承諾しない場合」

① 借地権者       ② 建物譲受人

 

① 借地権者 

「借地権者」の申立てにより裁判所の許可をもらう

 

② 建物譲受人

建物の「譲受人」が地主に建物買取請求権を行使する

 

[定期借地権等の種類]

 

定期借地権建物譲渡特約付借地権事業用定期借地権
期間

 

50年以上30年以上10年以上50年未満
特約書面で行う(公正証書でなくてよい)書面でなくてもよい必ず公正証書で行う
利用目的

 

特に限定しない事業用 (居住用は不可)

 

終了地主に「正当事由」がなくても終了する
ポイント 上記 ① ③ の場合、「定期借地権」・「事業用定期借地権」によって契約が終了すると、建物買取請求権は「排除」され、「更地」にして返還する
 上記②の場合、「建物譲渡特約付借地権」の場合は、

地主が「建物を買い取る」が、建物の所有者(借地権者)や

賃借人は、下記の権利がある

 

 

借地権消滅後に建物を使用継続している者が

建物の使用を請求した場合

(使用継続している者とは、借地権者または建物の賃借人をいう)

この請求をした場合、請求した時から

「期間の定めのない」賃貸借がなされたものとみなされる

 

 

 

 

 

 

貸借・借地借家法 ⑦ 建物買取請求権・裁判所の許可

 

チェック項目

地主の承諾に代わる「裁判所の許可」の申立てとは?

 

  1. 建物買取請求権

「建物買取請求権」とは、請求権となっていますが、形成権といって「買ってくれませんか?」ではなく、「買え!」という一方的に定める権利です。 簡単にいうと、地主に対して「この建物を買え!」という権利です。 建物買取請求権は、下記の場合に行使することができます。

① 更新拒絶の場合

借地契約が「満了」したとき、借地上に建物などが残っており、地主が正当事由をもって異議を述べ、契約更新ができなかった場合、「借地権者」 は地主に対し、その建物を時価で買い取るように請求することができます

 

②   第三者に建物を譲渡した場合

第三者建物を譲渡したが、土地の賃借権の譲渡または転貸について地主が承諾しない場合、第三者(譲受人)は地主に対して、建物を時価で買い取るように請求できます。

 

  1.  地主の承諾に代わる「裁判所の許可」

地主の承諾に代わる「裁判所の許可」とは、地主が承諾を渋っている場合、裁判所が地主に代わってその行為を許可するというものです。また、借地条件を変更する場合も、裁判所に仲裁を求めることができます。

・この裁判所の許可は、「借地権」の場合であり、「借家権」にはこのような規定はない

 

 

 

3. 借地条件の「変更」

法令などの規制変更等のため借地条件を「変更」することが相当と認められるときは、裁判所は「当事者の申立てにより、その借地条件を「変更」 することができます。

 

[試験の落とし穴]

「誰が」行えるのか?

「建物買取請求権」や「裁判所の許可」に関しては、試験対策としては、「どんな場合」に、「誰が」申し立てるのかを覚えること!

 

 

[地主の承諾に代わる裁判所の許可等のまとめ!]

 

建物の増改築無断増改築を禁止している場合は、地主の同意や承諾がなければできない。

もし、地主が承諾しなければどうする?

①土地の通常の利用上相当と認められる増改築について、当事者間の協議が調わないときは、

裁判所は「借地権者」の申立てにより、地主の承諾に代わる許可を与えることができる

借地条件の変更 

建物の種類・構造・用途などを制限する借地条件がある場合(例えば、木造に限る等)、

地主の同意や承諾がなければ、借地条件の変更をすることはできない。

もし、地主が承諾しなければどうする?

②   法令などの規制変更等のため借地条件を変更することが相当と認められるときは、

裁判所は「当事者」の申立てにより、その借地条件を変更することができる

更新後の建物の再築借地契約の「更新後」、建物が滅失した場合や再築する場合、地主の承諾が必要(民法の使用貸借等)。

もし、地主が承諾しなければどうする?

③ 再築するのにやむを得ない事情があるにもかかわらず、地主が承諾しなければ、

裁判所は「借地権者」の申立てにより、地主の承諾に代わる許可を与えることができる

賃借権の譲渡・転貸 建物の譲渡に伴い、土地の賃借権を譲渡(または転貸)するには地主の承諾が必要。もし、地主が承諾しなければどうする?

 

土地の賃借権の譲渡などにより地主に不利となるおそれがないのに地主が

承諾しなければ、裁判所は「借地権者」の申立てにより、地主の承諾に代わる許可を

与えることができる

競売等による譲渡抵当権の実行により、土地の賃借権を譲渡する場合にも地主の承諾が必要。

もし、地主が承諾しなければどうする?

⑤土地の賃借権の譲渡により地主に不利となるおそれがないにもかかわらず、

地主が承諾しなければ、裁判所は「競落人」(=第三者)の申立てにより、

地主の承諾に代わる許可を与えることができる

 

 

 

 

貸借・借地借家法 ⑧ 借家権

 

チェック項目

借家権の更新は「どのように行う」?

 

  1.    借家権

「借地借家法」の適用のある建物の貸借は「賃貸借」です。したがって、無償である「使用貸借」にはこの法律の適用はありません。また、たとえ有償でも、催事場や別荘などの「一時使用」も適用されません。

 

  1.  借家権の存続期間

民法では賃貸借期間の最長は50年ですが、借家権は50年を超えることもできます。ただし1年未満の期間を定めた場合は、「期間の定めがないもの」 とみなされます(「無効」ではない点に注意!)。

 

3. 借家権の更新・終了

借家権は期間が満了しても、借地権と同じように「更新」するのが原則です。しかし、下記の要件を満たせば、賃貸借契約は終了します。

①  期間の定めがある場合

期間満了の1年前から6カ月前までに、「正当事由」をもって、賃貸人が更新しない旨の「通知」、または条件を変更しなければ更新しない旨の 「通知」をした場合は、賃貸借契約は「終了」します。

・「通知」をしなければ期間が満了しても更新する。また、更新を拒絶 した場合でも、「賃借人」や「転借人」が使用継続している場合、賃貸人が「遅滞なく異議」を述べなければ、賃貸借契約は前契約と同条件で更新したものとみなされる。

・更新した後の賃貸借期間は、期間の「定めのない」 ものとなる。

 

②  期間の定めがない場合

当事者は「いつでも」「解約」の申入れをすることができます。しかし、「賃貸人」からの解約の申入れは「正当事由」が必要です。

賃貸人からの

解約の申入れの場合

 

 

正当事由が必要6カ月後に終了
賃貸人からの

解約の申入れの場合

 

 

正当事由は不要3カ月後に終了

 

・期間の定めがない場合、賃貸人から解約の申入れをして「6カ月」を 経過しても、賃借人や転借人が使用継続しているのを賃貸人が遅滞なく異議を述べなければ、契約が更新されたものとみなされる。

 

[賃貸借契約が終了した場合、転借人はどうなる?]

(賃貸借契約が終了した場合、転借人の立場は、賃貸借の終了原因により異なる)

A―――――×―――――B―――――――C

(賃貸人)                     (賃借人)             (転借人)

 

期間満了・解約の申し入れの場合A・B間の賃貸借契約が

「期間満了」や「解約申入れ」によって終了する場合、

賃貸人は転借人にその旨を「通知」しなければ、その終了を転借人に対抗できない

 

 

・通知すれば転貸借契約は6カ月後に終了する

法定解除の場合Bの債務不履行(賃料不払いなど)で解除する場合、

AはBに催告すればよく、Cに対して通知は「不要」である

 

・転借人に対して、弁明の機会

(賃借人に代わって賃料を支払う機会)を与える必要もない

合意解除の場合合意解除しても、転借人に対抗できない

 

・これを認めるとA・B間に解除する問題がなくても、合意で解除し、

Cを追い出せることになるから

 

 

 

貸借・借地借家法 ⑨ 造作買取請求・定期建物賃貸借

 

チェック項目

「定期建物賃貸借」は「どのように」行う?

 

  •  「借家権」の対抗力

家主が代わった場合、親家主が借家契約を拒否した場合、「借家人」の要件のいずれかを満たせば、その「新家主」に対抗することができます

①  借家権の「登記」(賃借権の登記のこと)←民法の規定

② 建物の「引渡し」(カギをもらっているなど)←借地借家法の規定

 

 

 

  •    造作買取請求権

賃借人(転借人を含む)は、賃貸借契約が「期間満了」または「解約の申入れ」により終了する場合、次のいずれかの要件を満たせば、建具やエアコンなどの造作を、契約終了時に、賃貸人に買い取らせることができます。

① 賃貸人の「許可」を得て造作した場合

② 賃貸人から「買い受けた」造作の場合

 

・「造作買取請求権」を行使しないという特約は「有効」。

 

 

 

  • 定期建物賃貸借(定期借家権)

借地借家法では、建物賃貸借は、賃貸人に「正当事由」がなければ、期間が満了しても更新するのが原則です。しかし、「定期建物賃貸借」の場合は 「賃貸人」に「正当事由がなくても」期間満了をもって終了します。

 

 

 

  •  取壊し予定の建物の賃貸借

 

定期建物賃貸借のほか、法令または契約により、一定期間後に「建物を取り壊すことが明らかな場合」は、取り壊すまでの賃貸借契約をすることができます。この契約は取り壊すべき事由を記載した「書面」で行います。

 

 

 

  • 「借地権」が消滅すれば、「借家権」はどうなる?

① 借地権が「期間満了」により終了した場合、建物の所有者は土地を利用する権利がなくなり、その結果、建物の賃借人(借家人)も土地を明け渡さなければなりません。この場合、建物の「賃借人」には、下記の ②の規定があります。

② 建物の賃借人がそのことを1年前までに知らなければ、建物の賃借人の請求により、裁判所はそれを知った日から1年を超えない範囲内で期限の許与をすることができます(下頁表参照)。

 

 

 

[定期建物賃貸借のポイント]

契約 定期建物賃貸借の契約は「書面」で行う必要があり、建物賃貸借契約に更新しない旨の特約を入れることにより行う

 

・利用目的は特に制限されていないので、居住用でなくてもよい

期間期間の定めをする必要はあるが、この期間に制限はなく、1年未満であってもよい
説明 賃貸人が賃借人に対し、期間満了とともに契約は終了し、更新しない旨を書面を交付して説明することが必要

 

・この書面は契約書とは別の書面で行う

 

中途解約「賃借人」からであれば、下記の要件をすべて満たせば、期間中であっても解約できる。

 

そして、賃貸借は解約申入れから1カ月後に終了する

 

① 居住用建物であること

② 200㎡未満であること(=199㎡まで)

③ 転勤・療養など、やむを得ない事情で自己の生活本拠として使用することが困難である場合

 

・賃貸人からは中途解約できないので注意!

 

 

終了 1年以上の期間を定めた定期建物賃貸借は、期間満了の1年前から 6カ月前までの間に、

賃貸人が賃借人に対し終了する旨の「通知」をしなければ、終了を賃借人に対抗できない

 

・期間満了後に「通知」すれば、通知の日から「6カ月」経過後に対抗できる

 

 

【借地権が消滅すれば、借家人はどうなる?】

A.(地主)

B.(借家権者+大家)

C.(借家人)

 

BはAから土地を借りている借地権者である。この借地権が「期間満了」により終了する場合、「借家人」Cも土地を明け渡す必要がある

 

この場合、「借家人」であるCがそのことを1年前までに知らなければ、Cの請求により、裁判所はそれを知った日から1年を超えない範囲内で期限の許与をすることができる

 

 

貸借・借地借家法 ⑩ 地代・家賃の増減額請求

 

チェック項目

「地代」や「家賃」の増減額の請求は「どのように行う?」

 

1.  「民法の賃貸借」と「借地借家法」の学習方法

民法の賃貸借と借地借家法は、毎年2~3問出題されています。しかし、この問題を苦手にしている受験生が多くいます。そこで、細かい内容は後にして、下頁の対比表を確認してから再度見直してください。

 

2. 地代・家賃の増減額請求

借地借家法の適用のある地代・家賃について増減額の請求をする場合、下記のような流れで行います。

①     地代・家賃が経済事情などの変動により、「使用収益開始後」において不相当となった場合には、当事者は「将来に向かって」地代・家賃の 増額・減額の請求ができます

・賃貸借契約において「増額しない」という特約があれば、その特約は「有効」となるので、増額することはできない。逆に、「減額しない」という特約は「無効」であり、減額することができる。

 

② 家賃(または地代)について、協議が調わない場合は、その請求を受けた者は、増減額の裁判が確定するまでは、相当と思う額の地代や家賃を支払えば賃料の不払いになりません(債務不履行とはならない)。

 

③ 借地・借家の増減額請求は、いきなり裁判になることはなく調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)がとられています(先に裁判を行う前に調停を行う)。

 

④    調停でもまとまらなければ裁判となります。裁判が確定した場合、その効力は「意思表示したとき」にさかのぼり、不足額が生じたときは、その不足額に「年1割」の利息を付して返還しなければなりません。

 

 

[試験の落とし穴]

<増減額しない「特約」は有効?>
・「増額しない」特約→「有効」(増額することはできない)

・「減額しない」特約→「無効」(減額することができる)

 

 

[民法の「賃貸借」の規定]

存続期間期間を定める最長50年 (=50年を超える定めをしても50年となる)
期間を定めない期間を定めなかったことになる
更新後の期間最長50年(=更新後も同じ年数)
期間満了

 

終了する(=賃貸借契約が終了する)
第三者対抗賃借権の登記 (=登記があれば第三者に対抗できる)

 

[借地権の規定][借家権の規定]
借地権借家権
存続期間当初30年(以上)最短・最長の規定なし

ただし、1年未満の期間を定めると、期間の定めのないものとなる

最初の更新

 

20年(以上)
2回目以降

 

10年(以上)
期間満了 (法定更新の場合)

借地権設定者が「正当事由」をもって遅滞なく異議を述べない場合、建物が存在する限り更新する

 

(法定更新の場合)

借地権設定者が「正当事由」もって遅滞なく異議を述べない期間満了1年前から6カ月前までの間に更新しない通知などをしなければ更新する

 

第三者対抗 借地権の登記

または

借地上の建物の登記

 

借家権の登記

または 建物の引渡し

裁判所の許可等①  借地条件の変更

②  建物の増改築

③  更新後の建物の再築

④  譲渡・転貸

⑤  競売等による譲渡

①なし (裁判所の許可制度はない!)

 

 

時効 ①  取得時効

 

チェック項目

 取得時効が「成立する要件」と「年数」は?

 

民法の時効制度には、「取得時効」と「消滅時効」の2種類があります。

 

 

  • 取得時効

取得時効とは、「一定の事実状態」が「一定の期間継続」することにより、一定の財産権を取得することをいいます。

① 取得時効は所有権だけでなく、地上権、地役権も一定の要件を満たせば取得することができます。

・ 判例では「賃借権」であっても、時効により取得できるとしている。

② 地役権を時効取得する場合、「継続的に行使され」かつ「外形上認識することができるもの」であることが要件となります

 

 

 

  •  取得時効の成立するための要件

①  取得時効に必要な「3つ」の「占有」とは

取得時効は、 「所有の意思」をもって、「平穏」であり、かつ、 「公然」と他人のものを一定期間「占有」することが必要です。

(時効取得するためには、「3つの占有」が必要である)

・ 所有の意思を持った占有を、「自主占有」という。賃貸借契約に基づく賃借人のような「他主占有」は認められない。

 

 

 

② 取得時効に必要な年数

取得時効が「成立」するためには、上記①の占有だけでは成立しません。その状態を「一定期間継続」する必要があります。この期間は下記の「いずれか」 になります。

  1.  占有の始めが「善意無過失」の場合→10年が必要となる
  2.  占有の始めが「悪意」または「有過失」の場合→20年が必要となる

・善意か悪意かの判別は、下頁事例(2)のように「占有の始め」で判断する。

 

 

 

 

 

 

[試験の落とし穴]

<占有は「間接占有」でもよい!>

占有する者は、所有者自身が占有する「直接占有」だけではなく、賃借人などによる「間接占有」(=代理占有)の期間も算入することができる。

 

 

 

 

[取得時効の年数]

事例1.

 

年数は前主の者の年数も加えられるが、善意・悪意も承継する

(8年間占有)   (7年間占有)    (6年間占有)

A―――――――――→B―――――――――→C

悪意        善意無過失       善意

|          ↳CがBのときより主張→10年必要→OK!

↳CがAのときより主張→悪意で20年必要→OK!

解説

①  10年、20年の年数は自己の占有期間だけではなく、前主の年数も加えることができる

② 前主A・Bの年数を加える場合には、A・Bの善意、 悪意なども引き継ぐことになる

 

 

 

 

 

 

 

[「占有の始め」で判断する]

事例2.

(6年間占有)       (5年間占有)

善意無過失              悪意

A―――――――――→B = BがAのときより主張すると、 Bが悪意でも「10年」でよい

 

善意無過失

A―――――――――→A    = Aは占有の始めが善意無過失で、途中から悪意に変わったとしても、「10年」でよい

↑_ 悪意(=知った)

 

解説

①  占有の始めで判断するのであるから、占有の始めが善意無過失であれば、次の承継人が悪意や有過失であっても善意無過失と判断する(=10年となる)

② 占有の始めが善意無過失であれば、後で悪意になっても、善意無過失と判断する(=10年となる)

 

 

 

 

 

 

時効  ② 消滅時効

 

チェック項目

消滅時効が成立する「要件」とは?

 

1. 消滅時効

「消滅時効」とは、「権利行使ができるにもかかわらず、一定期間権利を行使しない場合に認められる制度」です。

①  消滅時効は一般の「債権」だけではなく、地上権や地役権なども消滅時効にかかります(使ってないのであれば消える)。

② 「所有権」は、その年数に関係なく、絶対に「消滅時効」にはかからない(問題文に所有権が消滅するという記述があれば誤り)。

 

2. 消滅時効の成立要件

消滅時効が成立する要件は、「権利行使ができるにもかかわらず」「一定期間権利を行使しない」ことです。 ここで問題となるのは、下記の「2点」です。

① 「権利行使ができるとき」とは「いつ」をいうのか?

起算日は「確定期限付債権」「不確定期限付債権」「期限の定めのない債権」によって異なります(下頁参照)。

② 「一定期間権利」を行使しないこと(=期間の問題)  法改正

この期間は権利を行使できることを知った時から5年間、権利を行使できる時から10年間です。

 

 

 

 

3. 時効の利益の放棄

時効の要件を満たしても、時効を主張しなければならないわけではありません。例えば消滅時効の場合、「自分は借金を支払う」というのであれば、それを法が妨げる理由はありません。これを「時効の利益の放棄」といいます。この内容については、下記の点に注意しましょう。

 

①  時効の利益を放棄できるのは、「時効完成後」のことであり、時効が完成する「前」にすることはできません。

 

②  時効完成した「後」に、その事実を「承認」したときは、時効の援用をすることはできなくなります(時効の利益の「喪失」という)。

 

 

 

 

 

[消滅時効の「起算日」と「年数」]

「起算日」①   確定期限付債権の場合→期限到来のとき
10月8日に代金を支払うとした場合 →10月8日が起算日となる 。
②  不確定期限付債権の場合→期限到来のとき
父が死んだら代金を返済するとした場合 →父が死んだ日が起算日となる

(履行遅滞との相違に注意)

 

③  期限の定めのない債権の場合→債権成立のとき
売買の目的物の引渡し時期を定めていない場合 →契約成立時が起算日となる
「年数」・通常の債権・・・権利行使できることを知ってから5年間、権利行使できる時から11年間

 

・地上権・地役権等・・・権利行使できる時から20年間

・確定判決により確定した権利は、10年より短い時効期間であっても10年となる

 

  ↓

[消滅時効の流れ]

図1.

[権利行使できることを知った時] + [通常の債権・・・5年] + [・援用・放棄]

 

 

図1・時効を更新させる場合→通常の債権・・・5年 

①  更新事由

・裁判上の請求(確定判決等)

・強制執行等

・承認

 ② 効果

それまで進行していた時効期間が新たに振り出しに戻る

 

 

 

 

図1・時効が完成した場合・・・放棄

時効が完成し、「援用」すれば時効の利益を受けることができる。

①   時効が完成し、援用するとその効果は起算日にさかのぼる。

②  時効期間満了後に「放棄」や債務負担を「承認」した場合、もはや援用することはできない。

 

 

 

 

 

 

時効 ③ 時効の更新等

 

 

チェック項目

時効の「更新事由」と「効果」は?

 

 

1. 時効の援用

時効の要件を満たしても、時効によって利益を受ける旨の意思表示をしなければなりません。これを「援用」といいます。

①  この「援用」がなければ、裁判所はそれに基づいて裁判をすることができません。

②  援用ができる者とは、時効完成により「直接利益」を受ける者をいい、「保証人」・「物上保証人」・「連帯債務者」・抵当不動産の「第三取得者」 などをいいます。

 

 

2. 時効の援用の効果

①   時効の援用をすれば、時効による効果が発生します。この時効の効果は「起算日」にさかのぼります(=時効が完成した時からではない)。

② 「取得時効」の場合、その物は最初から時効取得者の物となります。 これを「原始取得」といい、たとえ時効取得した不動産に抵当権がついていても、その抵当権は消滅します(抵当権がつかない不動産を取得することになる)。

③ 「消滅時効」の場合は、その債権は初めからなかったことになり、その結果、その時効期間中の利息も支払う必要はなくなります。

 

 

 

 

3. 時効の更新と「完成猶予」事由(下頁)

時効が完成すると、元の権利者は最初からその権利がなかったことになります。これを阻止するためには、時効を「更新」させる必要があります。

 

 

①  「時効の更新」とは、一定期間継続している状態を「振出しに戻す」 ことをいいます。更新事由が「終了」した時より時効は「新たに進行」 します。

②  「時効の完成猶予」とは、時効期間の進行は止まりませんが、本来の時効期間が過ぎても、一定期間が経過するまでは、時効は完成しないという制度です。

 

 

 

 

 

 

 

 

[時効の更新事由と完成猶予事由]

時効は「下記の事由」により「更新」する
請求

 

裁判上① 「裁判上の請求」「支払督促」「和解・調停の申立」「破産手続きの参加など」
ポイント

・「裁判上」の請求の場合、時効完成が猶予されるが、訴えを提起しても、却下されたり、取り下げられた場合は更新したことにならない

・裁判が確定した時より新たに時効が進行する

承認②「承認」とは、「債務があることを知っている」と認めたことである
ポイント

「利息だけ支払っておく」「一部だけ弁済する」などの行為は承認したことになり、時効は更新する物上保証人が金銭債務の存在を承認しても、消滅時効は更新しない

時効を完成猶予する事由
仮差押え等仮差押えや仮処分した場合、その事由が終了した時から6ヶ月経過するまでは、時効は完成しない
催告催告した場合、催告してから6ヶ月を経過するまでは、時効は完成しない

 

 

 

                 

 

 

 

時効の更新と完成猶予

更新

(裁判上の請求)   (時効)   (確定判決)

――――↑―――――――↑――――――↑―――――→

↳新たに進行

・(時効) から(確定判決)まで時効は完成しない

 

 

 

完成猶予

 

(裁判上の請求)  (時効)        (時効完成)

――――↑―――――――↑――――――↑―――――→

・(時効)から(時効完成)まで6か月時効は完成しない

 

 

不動産登記 ① 登記簿

 

チェック項目

「表示の登記」と「権利の登記」の相違は?

 

 

  • 登記記録

①     不動産登記法は、不動産の物理的な現況(所在や面積等)および不動産の権利関係(所有者、担保権の有無など)を公示し、円滑に取引ができるように様々な規定を設けています。

② この記録を「登記記録」といい「1筆」の土地「1個」の建物ごとに作成されています。

③  登記記録に記録されている事項を証明した書面を「登記事項証明書」 といい、請求に係る不動産の管轄登記所以外の登記所の登記官に対して請求することもできます。また、送付請求することもできます。

④    登記記録の概要(現在の情報のみ)を記載した書面を「登記事項要約書」といいます。この書面は、「誰でも」「登記官に対して」「収入印紙」で手数料を納付すれば交付してもらえます。

 

 

  •  登記記録の編成

①   登記記録には、土地の登記記録と建物の登記記録があります。 いずれも表題部、権利部があり、権利部は甲区と乙区に分けられます。

②  表題部には、その不動産の物理的な現況が記載されており、これを「表示に関する登記」といいます。 権利部には、甲区に「所有権」に関する事項、乙区に「所有権以外の権利」(抵当権や賃借権など)が記録されており、甲区、乙区を合わせて「権利に関する登記」と呼びます。

 

  • 「表示の登記」と「権利の登記」の相違

登記の申請は、原則として、当事者(代理人でもよい)の申請または官公署の嘱託(しょくたく)によってなされます。また、本人が死亡すれば代理権も消滅しますが、不動産登記の申請手続の代理権は、「本人」が「死亡」しても消滅しません。

①   登記を申請する場合、「表示の登記」と「権利の登記」には、下頁のような相違があります。

②  オンラインで申請情報を送信することができます。しかし、登記の申請に疑いがあると認められる相当の理由があるときは、登記官は出頭を求めて調査しなければならないとされています。

 

[不動產登記簿]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

登記簿     全部時効証明証(土地)

〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇-〇

 

【表題部】(土地の表示)調製 余白地図番号△△△
【所在】〇〇市〇〇町〇丁目余白
【地番】【地目】【地積】【原因及びその日付】【登記の日付】
〇番〇宅地〇〇〇⋮〇余白令和〇年〇月〇日

 

権利部【甲区】(所有権に関する事項)
【順位番号】【登記の目的】【受付年月日・受付番号】【権利者その他の事項】
所有権保存令和〇年〇月〇日

第〇〇〇〇号

所有者〇〇市〇〇町〇番地

山口智一

所有権移転令和〇年〇月〇日

第〇〇〇〇号

原因 令和〇年〇月〇日

売買

所有者〇〇市〇〇町〇番地

鈴木一郎

 

権利部【乙区】(所有権以外の権利に関する事項)
【順位番号】【登記の目的】【受付年月日・受付番号】【権利者その他の事項】

 

 

 

 

 

抵当権設定

 

 

 

 

 

令和〇年〇月〇日

第〇〇〇〇号

 

 

 

 

原因 令和〇年〇月〇日

金銭消費貸借設定

債権額 金〇〇万円

利息 年〇. 〇〇%

債務者 〇〇町目〇番地

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

[表示の登記と権利の登記の相違]

表示の登記権利の登記
対抗力なしあり
記載表題部権利部(甲区・乙区)
申請義務あり(1か月以内)なし
申請人単独申請共同申請

・登記権利者と登記義務者

 

郵送郵送でもよい郵送でもよい
職権登記官が職権で行える登記官が職権では行えない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不動産登記法 ② 表示に関する登記

 

チェック項目

登記の申請は「誰が」「いつまでに」する?

  1.   「表示に関する登記」

①    不動産登記で最初に行うのは「表題登記」です。これは「表示の登記」であり「申請義務」があります。

②  表題登記の後に行うのが、「権利の登記」です。この登記には、「申請義務」がありません。もし、所有権の登記がなされないときに表題部に所有者の氏名・住所が記録されます。その後に、甲区に所有権の 「保存登記」がなされると、 表題部の所有者の記録が「抹消」されます。

 

 

  1.  表題登記は「いつまでに」行うのか?

 

表題登記には申請義務があり、この申請時期は下記のようになります。

①    新たに土地が生じた場合や、建物を「新築」した場合

→所有権を取得した者は、「1カ月」以内に表題登記の申請を行う。

②  土地・建物が「滅失」した場合 →表題部所有者または所有権の登記名義人が「1カ月」以内に申請を 行う。

③   地目または地積に変更が生じた場合 →表題部所有者または所有権の登記名義人が「1カ月」以内に申請を行う。

 

④   登記名義人の「氏名・名称」や「住所」についての変更の登記または更正の登記の場合 →登記名義人が単独で申請することができる。

 

 

 

  1.  合筆・分筆の登記

「合筆」の登記とは、複数の筆の土地を1筆の土地にすることをいいます。 また、「分筆」の登記とは、1筆の土地を分割して数筆の土地にすることをいいます。ここでは下記の点について押さえておきましょう。

①   「分筆または合筆の登記」は、いずれも「表題部所有者」または「所有権の登記名義人」が申請します。

②    所有権の登記がある土地の「合筆」の申請には、「いずれか1筆」の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報を添付します。

③  「合筆」の登記ができないのは、下頁中図のような場合です。

 

[登記の流れ]

①    表題登記・・・新築した場合など、最初にする登記であり、 登記簿の表題部に行う

②   所有権の保存登記・・・表題部が作成された後、権利部に最初に行う登記であり、甲区になされる

③   所有権以外の権利の登記 (所有権の移転登記等)・・・保存登記が終わった後、他の権利の登記がなされる

 

[合筆の登記の制限]

土地の合筆の登記ができないもの

 

①    地目または地番区域が異なる土地の合筆

宅地+山林―×→1筆の土地

 

②   表題部所有者または所有権の登記名義人が異なる土地の合筆

Aさん+ Bさん ―×→1筆の土地

 

③   所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆

 

表題部 +/表題部+ 権利部 /―×→1筆の土地

 

④   所有権以外の権利の登記がある土地の合筆

抵当権あり+抵当権なし―×→1筆の土地

(担保権の登記で、登記原因、登記目的、申請受付の年月日などが同一ならできる)

 

 

 

 

[職権で行う分筆の登記]

職権で行う

 

 1筆の土地の一部が別の「地目」になった場合、「地番」や「区域」が異なることになった場合には、

登記官は職権で分筆の登記をしなければならない

登記官は「地図」を作成するために必要があると認めるときは、表題部の所有者等の異議がないときに限り、職権で分筆の登記ができる

 

 

 

 

 

不動産登記法 ③ 権利に関する登記

 

チェック項目

「権利の登記」の申請は「誰が」行う?

 

  1.  「権利に関する登記」は「誰が」申請できるのか?

 

① 「権利の登記」で最初にする登記は、所有権の保存登記」です。

この登記の申請人は通常は「表頭部の所有者」またはその「相続人」です。しかし、その他にも確定判決で所有権を証明できる者、収用により所有権を取得した者などもすることができます。

・区分所有者(=マンション)の登記については後述(区分所有法⑦区分所有建物の登記)

②   この「保存登記」がなければ、いいかえれば表題登記しかない場合、移転登記など、他の権利の登記をすることはできません。

③  この権利に関する登記の申請は、下記の場合を除いて、登記権利 (=買主など)と登記義務者(=売主など)が「共同」で行わなければなりません。

  1.  合併による登記・・・新会社が単独で申請を行う
  2.     判決による登記・・・登記手続をすべき旨の確定判決がある場合

c.    所有権保存登記・・・最初の権利の登記なので単独で行う

  1.     相続の登記・・・被相続人は死亡しているので当然単独申請
  2.    表示の変更登記・・・表示(=住所、氏名など)の変更は単独申請
  3.    仮登記で一定要件を満たすもの・・・(原則は共同申請) (「仮登記」については、下項下表の内容も併せて覚えよう!)

 

 

 

 

 

 

  •  登記申請に必要なもの

登記申請では、申請情報のほかに下記のような添付情報も必要です。

①  申請情報・・・不動産を識別するための事項や申請人の氏名、登記目的などが記録されているもの

② 登記原因・・・権利の登記は登記申請することになった原因 (例えば、証明情報、売買の概要)などが記録されているもの

 

③ 登記識別情報・・・権利の登記は登記名義人自らが申請していることを確認するための情報などが記録されているもの

 

⑤ 添付情報・・・第三者が許可・同意・承諾したことを証する情報や登記手続をすべき旨の確定判決の判決書の正本等

 

 

 

 

 

 

 

 

[仮登記とは]

 

売買契約

事例.

 

A―――――――→B 仮登記 10月8日

本登記 翌年の1月21日

 

C 本登記 12月28日

 

解説①   Bは「仮登記」のままではCに対抗できない。

②  Bが翌年の1月21日に 「本登記」を備えた場合、Bの本登記の効力が仮登記を行った10月8日に

あったものとして、BはCに対抗できる

・所有権の仮登記を本登記にする際、登記上の利害関係人の「承諾」を証する情報を添付する

必要がある(所有権以外はこの承諾書は不要)

 

 

 

 

 

 

[仮登記]

仮登記には、下記の「2種類」がある
種類①     物権変動は生じているが、本登記をするのに必要な手続要件が備わっていない場合に行うのが「1号仮登記」
②    物権変動は生じていないが、将来における請求権が発生しており、その権利を保全する場合に

行うのが「2号仮登記」

記載仮登記は、将来本登記がされることを予定しているため、仮登記と同じ順位番号で本登記できるように「余白」があり、

その場所に記載する

申請(原則)

仮登記の申請も共同申請

(例外)

下記の場合は「単独」で申請することができる

①    仮登記義務者が承諾した旨を作成した情報を

添付して行う場合

②    仮登記を命ずる処分の決定書の正本を添付する場合

③    判決があるとき

抹消①  仮登記の「抹消」は、仮登記名義人が「単独」申請することができる

②  仮登記の登記名義人の「承諾書」があれば、仮登記上の利害関係「単独」申請することができる

 

 

不法行為  ① 不法行為の成立要件と工作物責任

 

チェック項目

「工作物責任」とは「どのような責任」?

1.  不法行為責任とは?

「不法行為責任」とは、「故意・過失」により、他人の権利や利益を侵害した者に「損害を賠償」させる制度です。

 

例えば、居眠り運転していた者に車ではねられ大ケガをした場合、この被害者は、加害者に対して「損害賠償」の請求をすることができます。

 

これが不法行為責任です。

 

①  前述の例で、もし、被害者が「死亡」した場合、不法行為により生命を侵害された者の父母、配偶者および子も損害賠償の請求ができます。

② 「即死」した場合、相続人に損害賠償の請求権が「相続」されます。

 

 

 

2. 不法行為の基本的事項 法改正

 

① 不法行為の損害賠償は「金銭賠償」が原則です(原状回復等もある)。

②  被害者にも損害の発生の原因があれば、それに相当する額は、損害賠償額から控除されます(過失相殺)。

③ 正当防衛や緊急避難行為を行った者は、損害賠償責任を負いません。

④ 損害は財産的損害だけではなく、精神的損害も含みます(=慰謝料)。

⑤ 不法行為の損害賠償義務は、不法行為の時から「遅滞」となります。

⑥  損害賠償の請求は、被害者またはその法定代理人などが損害および加害者を知った時より「3年(ただし、人の生命または身体を害する不法行為の時は5年)」、または不法行為の時から「20年」を経過したときは時効により「消滅」します。

 

 

 

[不法行為と債務不履行]

不法行為債務不履行
立証責任被害者にあり債務者にあり
故意・過失が必要か必要必要
効果損害賠償請求損害賠償請求・解除
その他 不法行為責任と債務不履行責任が同時に成立

両者は選択適用の関係になるのではなく、

それぞれ 「別に」、あるいは「同時」に

責任を追及することができる

 

 

 

 

 

 

3. 工作物責任

「工作物責任」とは、例えば、ビルの外壁が崩れ落ちて通行人にケガをさせた場合など、建物などの土地の工作物の瑕疵により、他人に損害を与えたときの責任をいいます。

 

この責任の追及は、下記の順で行います。

①   一次的には「占有者」が責任を負い、この占有者が損害発生を防止するのに必要な注意をしたことが認められれば、占有者は責任を免れます。

②  占有者が免責された場合、 二次的に 「所有者」 が責任を負うことになります。所有者は免責されることはなく、「無過失責任」を負います。

③ 損害賠償をした所有者または占有者は、その損害の原因について責任がある者(請負人など)に「求償」することができます。

 

[工作物責任]

事例

通行人Dが、A が占有する建物の外壁が崩れてケガをした場合

 

二次的   一次的

C (請負人)  B  ←   A    ← 追及  D(被害者)

↲     ↲(A・B)・求償

 

 

 

 

 

1. A が損害発生防止のため、必要な注意をしたか?(注意をはらったことを証明しなければならない)

 

No.  → 占有者 A が責任を負う

 

Yes.

2. B が損害発生防止のため、必要な注意をしたか?

 

No. →  所有者 B が責任を負う

・瑕疵の原因が前の所有者が所有しているときに生じたものであっても、現所有者であるBは、工作物責任を負う

 

 

Yes.

3. 所有者 B が責任を負う(無過失責任)

損害賠償をした所有者または占有者は、その損害の原因について責任のある者 Cに「求償」できる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不法行為 ② 使用者責任

 

チェック項目

使用者責任は「どのような場合」に認められるのか?

 

1.  共同不法行為

数人の者が共同して不法行為をし、他人に損害を加えた場合には、加害者各自が連帯して損害賠償をしなければなりません。

被害者は、「全員」に対し「全額」の損害賠償を請求できるのです。

・債務者の1人に生じた事由は、他の債務者に影響しない。例えば、使用者に賠償の請求を行い、時効が更新しても、被用者の時効は更新しない。

 

 

 

2. 使用者責任の「成立要件」

従業員と事業者のように、被用者と使用者が密接な関係にあるときは、使用者に対しても損害賠償の請求を行えます。これを「使用責任」といいます。使用者責任を追及するためには、下記の要件を満たす必要があります。

①  被用者が故意過失により他人の利益を侵害したこと (被用者に不法行為がなければ、当然使用者に責任は追及できない)

②  被用者が事業の執行により他人に損害を加えたこと (被用者の日常個人的なものまで、使用者は責任を負う必要はない)

  1.   「事業執行であるか否か?」は、事業の範囲内であり、職務の範囲内であることが必要です。この「職務の範囲内か否か?」については、行為の外形を基準」にして客観的に判断します。
  2.   職務権限外の行為であることについて、被害者が「悪意」または 「重過失」の場合は、その被害者は使用者責任を追求できません。

 

 

 

3. 使用者責任の「効果」

①  使用者責任が認められると、被害者は、使用者、被用者のどちらにも「全額」の損害賠償を請求することができます。

②  使用者が被用者の選任監督につき相当の注意をしたとき、相当の注意をしても損害が発生したであろうことを証明したときは、使用者責任を負いません(加害者だけ責任を負う)。

③  使用者が被害者に損害賠償した場合、使用者は被用者に「信義則相当と認められる限度」で求償できます(=全額とは限らない)。

 

 

 

[注文者の責任]

「請負人」の行為に対しては、原則として注文者は責任を負わない。

ただし、注文者が請負人にした指図や注文に過失があり、それが原因で損害を与えたときは、注文者は責任を負う。

 

物権の対抗  ① 登記の対抗カ・公信力

 

チェック項目

 登記の「対抗力」と「公信力」

 

 1.   登記の対抗力

契約などが成立するための法律要件を「成立要件」といいます。

この関係は当事者間の要件であり、この権利関係を「第三者」に対抗できるための要件が「対抗要件」です。対抗要件は「動産」と「不動産」では異なります。

 

 (動産の場合)

「動産」を占有している無権利者を真の権利者と過失なく信じて取引した者(善意取得者)は、その動産の引渡し」を受けていれば、第三者にも対抗できます。これを即時取得(または善意取得)といいます。

(不動産の場合)

① 「不動産」の場合、動産のような即時取得の規定はありません。つまり、不動産の「引き渡し」があっても、第三者には対抗できません。

② 不動産の場合、下頁事例1)のように、ABとACの「二重売買」 が行われた場合、どちらが先に「登記」したかで決着をつけます。

 

2. 「登記」が「必要」な第三者とは?

事例②のように、Cは第三者には違いないが、Cが不法占拠者であっても、登記がなければ「第三者にも対抗できない」というのはおかしな話です。

そこで、第三者を、下記の2つに分けています。

① 「登記」がなければ「対抗できない第三者」→登記が「必要」な第三者

②「登記」がなくても「対抗できる第三者」→登記が「不要」な第三者

この第三者の分類は下頁参照。

 

3. 登記の「公信力」

①   実際の所有者ではないが、偽造により登記をしていた場合、実体はともあれ登記を信じて購入した者が保護されることを「公信力」といいます。わが国では、この公信力は認められていません。

② 上記①のように偽造した登記名義人に対して、真の所有者は、「登記」がなくても「この建物は自分のものだ!」と主張することができます 逆に登記があっても「無権利者」やその無権利者から取得した者は、真の所有者に対抗することはできません。

 

 

 

[登記が「必要」な第三者]

事例(1)

10月1日契約

A――――――――→B 売買契約のみ

↘11月1日契約

C 売買契約+登記

 

 

 

登記を「必要」とする第三者

(正当な権利を有する者)

 

解説上記のBおよびCは、

どちらも「正当な権利」がある者といえる。

正当な権利のある者同士の場合は、

先に「登記」した者が取得する。

上記の場合、登記のあるC はBに対して、

所有権を主張することができる。

 

具体例「登記が必要な第三者」の具体例

 

① 「第二の譲受人」

 

② 譲渡された不動産の「賃借人」など

 

 

 

 

[登記が「不要」な第三者]

事例(2)

A――――――――→B

C 不法占拠者

 

 

登記が「不要」な第三者

(正当な権利を有しないもの)

 

解説

 

第三者Cに登記があっても、

Cが下記の①~⑤に該当 するときは、

Bは登記がなくてもCに対抗できる

 

①  不法占拠者や不法行為者
②  詐欺·強迫により登記の申請を妨げた者
③  他人のために登記申請義務のある者
④ 背信的悪意者・・・単なる「悪意者」に対しては「登記が必要」
⑤ 無権利者・・・偽造により登録名義人になった者など

・無権利者とは、正当な権利のない者から取得した者など

 

 

 

物権の対抗   ② 物権の対抗のパターン

 

チェック項目

AB間の契約において、「C」は対抗関係になるのか?

 

詐欺・強迫・制限行為能力者などの「取消し」のパターン

 下頁ア. 取消し「前」の第三者(対抗の関係ではない)
・BがCに売却後にAが取り消した場合、取消し前のCとAとは、二重売買の形にならないので、取消事由により、

善意か悪意かでAC関係に決着をつけます!

下頁イ. 取消し「後」の第三者(対抗の関係)
・Aが取り消した後にBがCに売却した場合、CとAとは二重売買と同じでありこれは善意・悪意などは

関係なく、先に「登記」を備えたほうが勝ちます。

 

 

取消しと登記

ア. 取消し「前」の第三者との関係

①売買

――――――→     ②売買

A           B―――――→C

←――――――

③取消し

イ. 取消し「後」の第三者との関係

① 売買

――――――――→

A           B

←――――――――

② 取消し  ↙③ 売買

C

 

 

解除の場合のパターン

下項ウ.  解除「前」の第三者(対抗の関係ではない)
・ BがCに売却後にAが解除した場合、解除前のCとAは二重売買の形になりませんが、判例によりCの保護要件として

登記が必要なので「登記」で決着します

下頁工. 「解除後」の第三者(対抗の関係)
・ Aが解除した後にBがCに売却した場合、解除後のCとAは二重売買と同じであり、これはイと同じく「登記」を

備えたほうが勝ちます

 

解除と登記

ウ.   解除「前」の第三者との関係

①売買

――――――→     ②売買

A           B―――――→C

←――――――

③解除

 

 

エ.  解除「後」の第三者との関係

① 売買

――――――――→

A           B

←――――――――

② 解除    ↙③ 売買

C

 

 

 

 

 時効の場合のパターン

下頁オ.  時効完成「前」の第三者(対抗の関係ではない)
・ AがCに売却した後にBの時効が完成した場合、BとCは二重売買の形にならないので、Bが時効により

現在の取得者Cから取得できます

下頁カ. 時効完成「後」の第三者(対抗の関係)
・ Bの時効完成後にAがCに売却した場合、Cと時効取得者Bは二重売買と同じ形となり、イ.エ. と同じく対抗関係になり、「登記」を備えたほうが勝ちます

 

時効と登記

オ. 時効完成「前」の第三者との関係

 

①売買      時効完成時点

A ――――――→ C―――|――→ B   ②時効により取得

 

カ. 時効完成「後」の第三者との関係

売買

A―――|――→C ② 売買による取得

 

|     ↘

時効完成時点          B ① 時効により取得

 

 

 

 

 

相続の場合のパターン

 相続人と第三者(キ. は対抗関係ではない、ク. は対抗関係)
下頁キ.  CはAの相続人であり、AとCは同じと考え、

CはBとの間では二重売買とはならず、Bは登記がなくても、

不動産の取得をCに主張できます

・下頁ク.キ. のようにAとCは同じと考えますが、

BとDは二重売買の形となり、「登記」を備えたほうが

勝ちます(対抗の関係)

・下頁ケ. 遺産分割前にABが共同相続した

不動産をAが単独名義で登記をし、Cに売却した場合、Bの持分に関してはAは無権利者であり、

Bは自己の相続分を登記なくしてCに主張できます。

なお、遺産分割後も同様です。

 

相続・遺産分割と登記

① 売買

キ.  ②(死亡)A ―――――――→ B

||

C(相続人)

 

 

① 売買

ク. ②(死亡)A―――――――――→B

||    ③売買

C(相続人)――――→D

AがBの分も売却

 

 

ケ.(相続人)1/2 A―――――――――→C

|

(相続人)     1/2 B(相続人)・・・→ 〇←この部分は無権利者からの取得となる

 

 

相続 ① 相続人

 

チェック項目

法定相続人は「誰が」なれるの?

 

1.  相続とは

「相続」 とは、「自然人(人間) が死亡した場合、その者が有していた権利や義務を包括的(=財産も借金も)に承継すること」をいいます。この場合、死亡した者を「被相続人」といい、その権利義務を承継する者を「相続人」といいます。

 

2. 法定相続人(下項)

相続人は「誰が」 なれるのか?この相続人には、「配偶者相続人」 「血族相続人」の2種類があり、これらの者を「法定相続人」といいます。

① 「配偶者」は「常に」相続人となる配偶者は他の相続人がいても、自分は常に相続人の1人になります。

②「血族相続人」は下記の「順位」で相続する

・ 第1順位は子

・第2順位は直系尊属

・第3順位は兄弟姉妹。

 

③「子」については、下記の点に注意!

  1.  胎児はまだ生まれていませんが、相続・遺贈などの権利は有するので、相続人です。死産の場合は存在しなかったものとなります。
  2. 実子、養子、嫡出子、非嫡出子に関係なくすべて第1順位の子です。
  3. 離婚すれば元配偶者は相続人ではありませんが、子は離婚した配偶者が扶養している場合でも、相続人となります。

「嫡出子」とは、正式の婚姻上の子をいい、「非嫡出子」とは正式の婚姻上の子ではなく、「認知」した子をいいます。

 

  •  代襲相続

相続人が相続開始前に、死亡・欠格・廃除があった場合は、その相続人に代わって、「その子」が相続します。これを「代襲相続」といいます。

代襲相続については、下記の点に注意!

①    代襲相続の原因に「放棄」は入っていないので、放棄した相続人の子には代襲相続は認められません。

② 代襲相続は第1順位の「子」については可能な限り認められますが、 第3順位の「兄弟姉妹」はおい・めいの一代限りに認められます。

 

 

 

【相続人の覚え方】

(「被相続人」と「相続人」の関係図)

第二順位

祖父母  ・親・祖父母など(直系尊属)

父母

常に配偶者|

配偶者―被相続人―兄弟姉妹 第三順位

|      |

第一順位代襲相続は無限に続く  →   子     おい・めい 第三順位

|    ・代襲相続は一代限り

第一順位    孫

・子など(直系卑属)

 

「誰が」相続人になるかは、下記の「2段階」の手順を押さえる

第一段階

①    配偶者は常に相続人となるので、配偶者がいれば、まず配偶者は相続人となる

② ただし内縁の配偶者は、法律上の配偶者ではなく、相続人ではない

第二段階

血族者がいる場合、すべての血族者がすべて相続人ではなく、この代表グループとなる血族が相続人となる。 相続人から見て、下(=第1順位)→上(=第2順位)→横(=第3順位)の順で見ていき、最初の血族グループである

 

[相続欠格と相続廃除]

相続欠格相続欠格とは、故意に被相続人を死亡させたとか、遺言書を偽造したなど、法律上当然に相続人になれない者をいう

 

 

相続廃除相続廃除とは、著しい非行があったような場合、家庭裁判所の審判によって、あらかじめ相続権を

失わせる制度である

 

 

 

 

 

相続 ② 法定相続分

 

チェック項目

「配偶者」と「血族相続人」の相続分は?

 

相続分

①  配偶者と血族との配分

相続財産は遺言がなければ、まず「配偶者」と「血族相続人」で配分します。配偶者が死亡などにより存在しない場合、血族相続人だけで配分します。

  1.    配偶者と子の場合・・・配偶者1/2と子1/2
  2.  配偶者と直系尊属の場合・・・・・・配偶者2/3と直系尊属1/3

 

②  血族相続人間における配分

  1.  血族相続人の相続分は上記①のように決まりますが、血族相続人が複数人いる場合、各血族相続人はその配分された相続分を「均等」に配分します。
  2.   下事例 (1)のように「代襲相続」がある場合は、本来の相続人Dが受けるべき相続分を「均等」にE、Fが相続します。

③ 兄弟姉妹が相続人で、「半血」と「全血」がいる場合

a.  同順位の血族間の相続分は「均等」ですが、下頁事例 (2)のCのように被相続人Aと両親が「同じ」兄弟姉妹(=全血)と、Dのように両親の「片方だけが同じ兄弟姉妹(=半血)がいるときは、「半血」 のDは「全血」Cの1/2の相続分となるので注意が必要です。

b. 下事例(2)の場合、半血Dは「1つ」の権利、全血のCは「2つ」 の権利があると考え、Dは合計3つの権利のうち「1つ」を、Cは3つ の権利のうち「2つ」を取得します。

したがって、Cは1/4×2/3 =1/6となり、Dは1/4×1/3=1/12となります。

 

[試験の落とし穴]

<「配偶者」と「血族」の相続分の覚え方!>

 

 

① 「血族相続人」の配分は、分子は「1」、分母は「順位 +1」と覚える!

 

②   血族相続人の配分がわかれば、残りは配偶者分となる。

 

 

 

 

 [配偶者と子の事例]

 

事例(1)「代襲相続人」がいる場合

 

 

A―――――――――B      ①

被相続人 |    配偶者

| ̄  ̄  ̄  ̄|             ②

C          D・死亡

| ̄  ̄  ̄  ̄|

E        F   ③

 

 

計算の方法

①   配偶者Bの相続分は1/2

② 子CとDの相続分は1/2である

・CとDは1/2×1/2=1/4ずつ相続する

 

③ Dが死亡しているため、EとFが Dの相続分1/4を代襲相続する

・1/4×1/2=1/8となり、 E・Fは1/8ずつとなる

 

事例 (2)「半血」と「全血」の場合

 

 

(Dの母)E―――父(死亡)――――母(死亡)

|            |

|            |

D (弟)②      | ̄  ̄ |

C(兄)      A(被相続人

―――――B(配偶者)①

 

 

 

 

 

計算の方法

 

① 配偶者は3/4

 

 

② 血族相続人は兄弟なので兄弟 C Dの相続の合計は1/4となる

 

③    この1/4を2人で分けるが、半血は全血の1/2で計算する

・   兄弟全体で持分は3つあり、そのうちCは2つ、Dは1つということになる

・  Cは1/4×2/3=2/12=1/6

・  Dは1/4×1/3=D1/12となる

・「全血」の持分は「2つ」あり、

・「半血」は「1つ」 と覚えればよい

 

 

相 続 ③ 相続の手続

 

チェック項目

相続の「承認」「放棄」はどのように行う?

1.相続の承認と放棄・下項参照

相続人は、自己の相続開始があったことを知った時(死んだ時ではない) より、3カ月以内に「家庭裁判所」に相続の「承認」または「放棄」の申出をしなければなりません。

この期間を「熟慮期間」といいます。この熟慮期間は知った時から起算されるので、各相続人で起算点が異なることがあります

(熟慮期間内であっても、一度した承認放棄は撤回できない)。

 

2. 遺産分割のポイント

①  遺産分割は、遺産分割の協議を行い各相続人の相続分を決めます。それまでは、相続財産は相続人の「共有」になります。

②   各共同相続人は、相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します。 したがって、各共同相続人は、遺産分割される前であっても、各々の相続分に応じた弁済請求をすることができます。

③   被相続人の金銭債務についても相続分に応じて、分割承継されます。

④   共同相続人は、いつでも遺産の分割請求をすることができます。また、遺言で5年以内であれば遺産分割を禁じることもできます。

⑤   遺産分割の協議が調わない場合には、相続開始地の家庭裁判所に分割請求をすることができます。

⑥   共同相続人は、遺産分割の協議がすでに成立しているときであっても、「全員」の合意によって解除し、改めて分割協議を成立させることができます。

 

3. 相続人の不存在

相続人がまったくいない場合には、その相続財産は「国庫に帰属」します。 ただし、下記の「2点」に注意してください。

①    相続人がいない場合でも、被相続人と生計を同じくしていた者、療養・看護に努めていた者などは「特別縁故者」とみなし、家庭裁判所の審判により相続財産を承継することができます。

相続する順序は「相続人」 → 「特別縁故者」→「国庫」

②   相続財産が「共有物」の場合、共有者の1人が死亡し相続人がいない場合、その共有持分は他の共有者に帰属します(国庫には帰属しない)。

 

[承認と放棄]

 

被相続人が死亡

自己に相続の開始があったことを知った時より

3カ月以内

↙  ↓ ↘

単純承認 限定承認 放棄

単純承認 無限に被相続人の権利義務を承継する(=プラス財産もマイナス財産もすべて承継すること)「単純承認」は「単独」でできる
下記①または②の場合、単純承認したとみなされる

これを法定単純承認という

暗記

①相続財産の全部または一部を処分した

② 熟慮期間内に、限定承認・放棄などをしなかった

限定承認相続財産の限度でのみ(=プラス財産)、被相続人の債務および遺贈義務を負担する「限定承認」は、共同相続人「全員」が共同して行う
暗記

限定承認については、下記の点に注意!

①   相続人の1人が単純承認すれば、もはや、 限定承認はできない

②  1人が放棄したときは、残りの相続人「全員」で限定承認することができる

③ 熟慮期間内に「家庭裁判所」に申述する必要がある

放棄 相続放棄をした者 は、はじめから相続人とならなかったものとみなされる

 

「放棄」は各相続人が「単独」でできる
暗記

熟慮期間内に家庭裁判所に申述する必要がある

 

ポイント

「熟慮期間内」とは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内の期間をいう

 

 

 

相 続 ④ 遺言と遺留分

 

チェック項目

「遺言」や「遺留分の請求」は、どのように行う?

 

1. 遺言

「遺言」とは、「死亡のとき」に法律効果を発生する目的で、一定の方式に従って行う一方的にする意思表示です。「遺言の方式」については下頁参照。

①  遺言は「誰が」できるのか?

遺言は制限行為能力者でも、下記の要件を満たせばすることができます。

  1.  未成年者の場合・・・ 15歳になればすることができます。
  2. 被保佐人,被補助人の場合・・・保佐人等の同意なく単独で行えます。
  3. 成年被後見人の場合・・・ 事理を弁識する能力が一時的に回復しているときは、医師2人以上の立会いのもとですることができます

② 遺言は「撤回」できるのか?

a.   遺言者は「いつでも」遺言を撤回することができます。

  1.  遺言の撤回は遺言の方式でしなければなりません。しかし、この撤回の方式は、前とは異なる方式でも構いません。
  2.  遺言書が複数発見された場合、異なる部分については、「後」の遺言で「前」の遺言を撤回したとみなします(=後の遺言内容となる)

 

2. 遺留分

遺留分とは、一定の「法定相続人」に、一定の「相続分」を保護する制度です。遺留分については、まず最初に遺留分権利者と遺留分を覚えてください。

① 遺留分権利者

兄弟姉妹以外の法定相続人(=配偶者、子、直系尊属) ②遺留分の割合

  1.   直系尊属のみが相続人の場合→相続財産の1/3
  2.  その他の場合→相続財産の1/2

 

3. 遺留分の放棄と相続の放棄の相違

①  この「遺留分の放棄」は相続開始前でも家庭裁判所の許可を受ければできますが、「相続の放棄」は相続開始前はすることができません。

② 相続の放棄とは異なり、遺留分を放棄した者がいても、他の遺留分権利者の遺留分は増加しないので注意!

また、遺留分を放棄しても、被相続人の遺言等がなければ相続人になることはできます。

 

 

[遺言の方式]

自筆証書遺言遺言者が遺言の本文・日付・氏名を自分で書き、印を押して作成

・検認が必要であり、また、

日付のないものは「無効」となる

・ただし、財産目録等は自書でなくても、ワープロやパソコンでもよいが、

すべての書面等に記名押印が必要

公正証書遺言証人2人以上の立会いのもと、公証人が遺言者の口述を筆記し、公正証書で行う(検認が不要)。
秘密証書遺言封印した遺言書を公証人に提出し、公証人・遺言者・証人2人 以上が封書に

署名押印して申述する(検認が必要)

 

[遺留分]

事例

 

A―――――――――B

被相続人 |    配偶者

| ̄  ̄  ̄  ̄|

C           D

子        子

 

・遺留分が確定すれば、後は通常の法定相続分を乗じればよい

 

 

配偶者と子が相続人になるので、 遺留分は1/2となる

 

Bの遺留分は、1/2×1/2(法定相続分) = 1/4となる

 

 

 

C・の遺留分は、それぞれ 1/2×1/4(法定相続分) =1/8となる

 

 

遺留分侵害額 請求権

①  被相続人の財産処分(=遺言)が遺留分を侵害したとしても、その処分が無効となるわけではない。遺留分権利者から遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる

 

② 遺留分侵害額の請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する遺贈等があったことを知った時より「1年」または相続開始より「10年」経過すれば消滅する

 

相 続 ⑤ 相続に関する民法の改正

 

チェック項目

民法改正で「相続の規定」はどう変わったか?

 

1.「相続」に関する民法改正の概要

今回の民法改正では、様々な改正が行われました。既に2019年1月から施行されているもの、同年7月から施行されているもの、更に2020年4月から施行されるものもあります(2020年4月以降の物ありますが、今年度の宅建試験の範囲ではないので、省略します)。

主な内容は、下記の通りです。

①      自筆証書遺言における、財産目録は自筆でなくてもよくなった

②  配偶者への自宅の生前贈与が遺産分割の対象外になった

③  預金の仮払制度ができた

④  遺留分減殺請求は、原則として金銭で解決することになった

⑤  介護した親族の相続人に対する、金銭的請求権を認めた

⑥  相続分を超えた不動産持分は、登記なしければ、第三者に対抗できない

⑦   配偶者居住権が創設された(2020年4月1日より)

 

  1.  配偶者居住権

上記①は、昨年度の試験から適用されています(本書では相続の参照)。②~⑥については、2019年7月1日から施行されているので、右ページのポイントを 押さえてください。⑦の「配偶者居住権」については、下記のような「2つ」の権利があります。

どちらも自宅を所有せず、自宅に住む権利です。

①   配偶者短期居住権

「配偶者短期居住権」とは、遺産分割協議がまとまり、配偶者以外の者が自宅を相続するときでも、配偶者は「6ヶ月間」は「無償」で自宅に住み続けることができる権利です

この間は退去をせまられても、退去しなくてもよいことになります。

②  配偶者居住権

「配偶者居住権」とは、配偶者が「一生」その自宅に住み続けられる権利です。 配偶者居住権は財産的価値がありますが、この価値は所有権より低く評価さ れるので、他の遺産も相続できるという効果があります。

例) 配偶者の相続分が2,000万円で、相続する自宅が2,000万円のとき

自宅の所有権を取得すれば、他の遺産は0円になるが、配偶者居住権が 1,000万円とすると、他の遺産1,000万円取得することができる。

 

 

[「相続」に関する民法改正のまとめ]

ポイント
自宅の生前贈与が遺産分割の対象外 婚姻期間「20年以上」の夫婦間で「生前贈与」を

受けた自宅等は、相続時に持ち戻しせず

(=相続財産に入れず)

配偶者が住み続けられる。

配偶者居住権とは 異なり、自宅の「所有権」を持つ

預金の仮払制度被相続人が死亡すれば、被相続人名義の銀行口座は

凍結されるが、相続開始時の口座残高×法定相続分× 1/3が

引出せる(葬式費用等に使えるということ)

遺留分減殺請求は、金銭で解決 相続財産が不動産の場合、遺留分減殺請求すると、

その不動産は共有となっていたが、

遺留分に相当する 部分は「金銭」で

支払ってもらえるようになった

 

介護した親族の相続人に対する金銭的請求権相続人でない親族(例えば長男の妻)は無償で

被相続人の生前介護に努めていた場合、

相続人に対して、「金銭」の要求ができる。

請求してもまとまらなければ、裁判所に処分の請求ができる。

 

相続分を超えた不動産 持分は、登記が必要法定相続分と異なる割合で不動産を取得した場合

法定相続分を超える分は「登記」をしなければ、

第三者に「対抗」することはできない

 

配偶者居住権と配偶者短期居住権の相違

配偶者居住権配偶者短期居住権
対象相続開始時に「居住していた建物」相続開始時に「居住していた建物」
権利の内容無償で「使用」「収益」できるが、権利の譲渡はできない無償で「使用」できるが、収益・権利の譲渡はできない。
期間終身

(配偶者が死ぬまで一生)

遺産分割により居住用建物の帰属が確定した日、又は相続開始時から6ヵ月を経過するいずれか遅い日まで
登記できるかできるできない

 

 

 

担保物権  ① 総 則

 

チェック項目

担保物権には「どのような性質」がある?

 

  •  担保物権の種類

「担保物権」とは、所有権の処分権を主に制限する下記のような権利をいいます。この「4つの担保物権」を大別すると、留置権や先取特権のように、法律上当然に成立する「法定担保物権」と、質権や抵当権のように、当事者の契約により成立する「約定担保物権」とに分類されます。

  •    担保物権の共通の性質

各担保物権を学習する前に、これらの権利に共通する下記の「4つの性質」について、理解しておく必要があります。これらの性質については、抵当権の事例を用いて下頁で説明しているので、確認してください。

 

 

①    付従性

債権が消滅すれば、担保物権も消滅するという性質

② 随伴性

債権が移転すれば、担保物権も移転するという性質

 

③ 不可分性

債権の全額の弁済を受けるまでは、その担保となる物の全部に担保物権が存続するという性質

 

④ 物上代位性

担保目的物に滅失などがあっても、債務者の受けるべき金銭などに対して担保物権の効力を及ぼすことができるという性質

 

 

 

3. 物上代位性についての注意点

上記2.の担保物権の性質については、特に物上代位性が重要です。

ここでは物上代位性について、下記の内容を覚えておきましょう!

 

① 「4つの担保物権」のうち、「留置権」については、物上代位性はありません。

②   物上代位を行使する場合、保険金等が支払われる前に「差押え」が必要となります。

③  物上代位の対象となるものは、 「保険金の請求権」だけでなく、「売買代金」や「賃料」の請求権、不法行為に基づく「損害賠償請求権」など も判例で認められています。

 

 

 

 

 

 

[付従性]

事例1.    1,000万円

――――――――→

A            B 抵当権

←――――――――

1、000万円弁済

 

解説AがBに1,000万円を貸し付けている場合、

Bが全額1,000万円を弁済すれば、

Bの建物に設定されている抵当権は消滅する

 

 

 

 

 

[随伴性]

事例2. 

1、000万円

―――――→

A          担保権   B 抵当権

(債権譲渡) ↓↗ 1、000万円    担保権

C

解説AがBに1、000万円を貸し付けている場合、

Aの債権1、000万円をCに譲渡すれば、

それとともに抵当権もCに移転する

 

 

 

 

[不可分性]

事例3.    1,000万円

――――――――→

A              B 抵当権

←――――――――

500万円

解説AがBに1,000万円を貸し付けている場合、

Bが債務の一部である500万円 を弁済しても、

建物に設定された抵当権の効力は、

建物全部に及んでいる

 

 

 

 

[物上代位性]

事例4. 

 

A ――――――→ B 抵当権 ← 担保滅失

↘差押え       ↑

保険金

 

解説AがBに1,000万円を貸し付けている場合、

Bの建物が消滅すれば、

抵当権は消滅する(債権は消滅しない)。

しかし、その建物に火災保険金が

発生するのであれば、

その火災保険金(=担保物権)に効力が及ぶ

 

 

 

 

 

担保物権 ② 抵当権の基本的事項

チェック項目

抵当権とは「どんな権利」?

  • 抵当権

「抵当権」とは、債権者が債務者または第三者(物上保証人)が担保に供したものについて占有を移転せず、弁済がなされない場合に、その目的物から他の債権者に優先して弁済を受けることができる約定担保物権です。 優先弁済を受けることができるのは、抵当権を設定した目的物からのみ。

また、抵当権は、現に成立している債権だけでなく、将来発生する債権のためにも設定することができる(判例)。

 

  •  抵当権の特徴

 

ここでは、まず抵当権の「基本的」な下記の事項を押さえてください。

① 占有の移転・・・目的物の占有はそのまま設定者にあります。

② 諾成契約・・・登記は抵当権の成立要件ではありません。 (ただし、第三者に対抗するためには登記が必要)

③ 優先弁済権・・・元本以外に利息は最後の2年分に制限されます。

(他に債権者がいない場合は2年分に制限されません)

④ 抵当物件の譲渡・・・抵当物件を譲渡するとき、抵当権者の同意は不要です。

⑤ 目的物・・・抵当権を設定できるのは、不動産に限られます。 (土地・建物の所有権・地上権・永小作権です)

 

  •  抵当権の効力

①  土地のみに抵当権を設定した場合、「土地」と「建物」は別々の不動産であり、その土地上の「建物」には抵当権の効力は及びません。

② 「付加一体物」(増築部分や樹木等)については、抵当権設定前後を問わず、抵当権の効力が及びます。

③  抵当権設定当時の「従物」(建具等)や、「従たる権利」(賃借権等) については、抵当権の効力が及びます。

④ 被担保債権に不履行があった場合、不履行後に生じた果実(天然、法定)に抵当権の効力が及びます。

・「法定果実」は物上代位により、払渡し前に「差し押さえること」により抵当権の効力が及ぶ。

 

 

 

 

 

(債権者)

(=抵当権者)  A――――――――――――――→B (債務者)

 

C (物上保証人)

 

[抵当権で登場する用語]

抵当権者・抵当権設定者「抵当権者」とは、抵当権を実行できる者である
①    AがBに1,000万円を貸した場合、

債権債務の面から見ればAは債権者であり、

Bは債務者である

② この債権の担保のために抵当権を設定した場合、

Aが「抵当権者」、 Bが 「抵当権設定者」である

物上保証人「物上保証人」とは、債務者のために担保を提供した

者である →この者を「物」の上の保証人なので

物上保証人という

抵当権の担保目的物は債務者B自身の土地や建物と

するのが通常であるが、例えば、

上図債務者Bに担保目的物がないときは、

第三者Cの土地や建物を担保目的物とすることができる

被担保債権抵当権付債権は、抵当権により担保されているので、

この債権を「被担保債権」という

判例)抵当権は現に成立している債権だけでなく、

将来発生する債権のためにも設定することができる

 

 

 

 

 

担保物権  ③ 抵当権の特質

 

チェック項目

抵当権の「4つの特質」とは何?

 

1. 抵当権の特質

① 「抵当権」も他の担保物権と同様に、付従性、随伴性、不可分性、物上代位性があります。特に物上代位性が重要です。 物上代位する場合、払い渡す前に「差押え」が必要となる。

②  抵当目的物の譲渡など

抵当権設定者は、抵当権の目的物を抵当権者の「承諾」を得ることなく、 自由に使用・収益・処分することができます。

③ 抵当権侵害

抵当権の目的物を債務者がどのように使用するかは自由ですが、通常の利用方法を逸脱して滅失や損傷などの行為を行う場合、抵当権の被担保債権が弁済期前であっても、「抵当権者」はその妨害の排除を求めることができます。

④ 転抵当

抵当権者が持つ抵当権を他の債権の担保とすることができます。これを 「転抵当」といいます。例えば、土地に1番抵当を持っている人が、1番抵当を担保として、他の者から金銭を借り入れるというような場合です。

 

 

 

2. 抵当権の順位

①  抵当権は、他の債権者に優先して弁済を受けることができますが、抵当権が1つの不動産に複数設定されている場合、その優先弁済権を有する者の間では、その優先順位は「登記」の先後によって決めます。 (先順位の抵当権者の承諾があれば、順位を変更することができる)

② 例外として、不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権は、登記をしていれば、先に登記された抵当権があっても優先して弁済を受けることができます(不動産売買の先取特権は、登記の先後です)。

③ 先順位の抵当権が弁済などにより消滅した場合は、後順位の抵当権の順位が自動的に繰り上がります。これを自動昇進の原則といいます。

 

 

 

[抵当権の順位の変更は、 どのように行うのか?]

 

事例Aが1番抵当3、000万円、

Bが2番抵当2、000万円の債権を有し

登記をしていた場合、

競売による配当が3、000万円の場合

      3、000万円

1番抵当 A――――――→

C 配当3、000万円

2、000万円

2番抵当 B――――――→

 

<事例の場合、Aが3、000万円を先に配当され、

Bの配当は0円になる>

順位の「譲渡」抵当権の「順位の譲渡」がなされると「どうなるのか?」
      3、000万円

1番抵当 B―――――→

C 配当3、000万円

 

2、000万円

2番抵当 A―――――→

 

 

「順位の譲渡」とは、先順位の抵当権者と後順位の抵当権者の「順位が入れ替わる」ことをいう。

つまり、 譲渡人と譲受人との間で優先順位の交換が生じ、両者の受けられる配当額の合計額から譲受人が

まず優先弁済を受け、残預金を譲渡人が受ける

(事例の場合)

1番抵当権者のAが2番抵当権者Bに対して

「順位を譲渡」すると、順位はBが1番抵当権者、

Aが2番抵当権者となる。

したがって、Bは2,000万円を先に配当され、

Aは残りの1,000万円の配当となる。

順位の「放棄」     3、000万円

1番抵当 A――――――→

C 配当3、000万円

2、000万円

2番抵当 B――――――→

 

(A・Bどちらも1番)

・Aは競売代金の60%/3、000万円×60%=1、800万円

・Bは競売代金の40%/3、000蔓延×40%=1、200万円

「順位の放棄」とは、先順位の抵当権者と

後順位の抵当権者が「同順位となる」ことをいう

(事例の場合)

1番抵当権者のAが2番抵当権者Bに対して

「順位を放棄」すると、A とBは同順位となるので、

A・Bの債権の合計額(5,000万円)に対して

それぞれの債権額の割合で優先弁済を受ける

 したがって、A・Bの債権の合計金額5,000万円のうち、

Aは60%の3,000万円の債権があるので、

配当も3,000万円の60%である1, 800万円が配当され

Bは40%分の1,200万円の配当を受けることになる

 

 

 

 

 

 

 

担保物権 ④ 抵当権(一括競売と法定地上権)

 

チェック項目

 

「一括競売」と「法定地上権」の成立要件とは?

 

  •    抵当権の実行

これまでは、抵当権の基本的事項を学習しましたが、ここからは抵当権の 「実行」について見ていきます。抵当権の実行とは、借金などの返済ができなくなり、抵当目的物が競売されることをいい、次のような問題が生じます

  •  一括競売(下頁上図)

①  土地と建物は「別々」の不動産です。したがって、土地に抵当権を設定し金銭を貸し付けていた場合、競売できるのは土地だけであり、その上の建物は「競売」することはできません。

②  しかし、土地に抵当権を設定した「後」にその土地の上に建物を築造した場合、土地とともに建物を一括して競売することができます。これを「一括競売」といいます。

③  一括競売がなされた場合、競売代金から優先して受け取ることができるのは、「土地」の代金からであり、「建物」の代金からは優先弁済を受けることができません。

 

  • 法定地上権

① 「地上権」は、他人の土地に建物等を建てようとするときに、土地の所有者と地上権設定契約により行います。

②  しかし、抵当権設定当時に「同一」の所有者のものであった土地と建物が、抵当権の実行の結果、「別々」の所有者になれば、建物所有者は その土地に対する利用権がなくなります。 そこで、このような場合、地上権設定契約などがなくても、当然にその土地を利用できるようにしたのが、「法定地上権」です。

 

  • 法定地上権の成立要件

法定地上権が「成立」するためには、下記 1・2・3 の「すべての要件」を満たさなければなりません。ここでは、「法定地上権が成立するか否か?」 について、右頁の「判例」も交えて必ず覚えるようにしてください。

  1.      抵当権設定当時から「建物が存在」したこと
  2.    抵当権設定当時に土地と建物の所有者が「同一」であったこと
  3.   競売の結果、土地と建物が「別々」の所有者に帰属したこと

 

 

 

[一括競売]

① Aの更地

② A(抵当権)土地←抵当権設定

③ A(建物)(後に建てる)

A(抵当権)土地

④ A(建物)   →・建物の代金/優先弁済なし

A(抵当権)土地→・土地の代金/優先弁済あり

 

 

(公式)

「更地に抵当権設定」+「建物を建築」=「一括競売」

・土地から優先弁済

 

[法定地上権]

A 建物

A 土地

②            ③

A 建物      →   A 建物      → A 所有の建物に法定地上権成立

A 土地(抵当権)     B 土地(競落人)

②            ③

A 建物(抵当権) →   B 建物(競落人)  → B所有の建物に法定地上権成立

A 土地              A 土地(抵当権)

 

[法定地上権]

a.    抵当権の「設定当時」から土地に建物が

存在していたこと

判例 「更地」に1番抵当権設定後、建物が築造

されてから2番抵当権が設定されても、

2番抵当権者のために法定地上権は成立しない

b.   抵当権の「設定当時」に土地と建物が同一の

所有者であったこと

判例抵当権設定当時は土地と建物が

同一所有者のものであったが、

抵当権設定後、土地と建物の所有者が別々に

なった場合でも法定地上権は成立する

c.   競売の結果、土地と建物が別々の

所有者に帰属したこと

判例土地と建物が競売され、土地と建物が、

どちらも元の所有者以外のものになった

ときでも、法定地上権は成立する

 

 

 

 

 

 

 

担保物権 ⑤ 抵当権(第三取得者の保護)

 

チェック項目

抵当権設定後の「買主」や「賃借人」はどうなる?

 

1.  第三取得者の保護

抵当権設定後であっても、抵当権設定者は抵当不動産を自由に「使用」し、さらに「賃貸」や「売却」をすることができます。しかし、抵当権が実行されれば、抵当不動産は競売され、その結果、抵当権設定後の買主は所有権を失います。そこで、民法ではこれらの者に対して、一定の要件のもとにおいて保護する規定を定めています。それが「第三取得者」の保護規定です。

 

① 代価弁済

抵当不動産について、抵当権設定後、所有権、地上権を買い受けた第三取得者が「抵当権者」の請求に応じて、その代価を弁済して抵当権を消滅させる制度です。

・「代価弁済」を行う場合、この代価が債務金額を満たさなくても、第三取得者のために抵当権は消滅する。

 

 

② 抵当権の消滅請求

抵当不動産について、「抵当権設定後」に所有権を取得した第三者は、抵当不動産を自ら評価し、その評価額を抵当権者に提供して、抵当権の消滅請求をすることができます。この抵当権消滅請求の手続が終わるまで、 買主は代金支払を「拒絶」することができます。

・抵当権の消滅請求を行う場合、抵当権の実行としての競売による差押えの効力発生前までに行わなければならない。

「債務者」や「保証人」は抵当権消滅請求をすることはできない。

 

 

 

③「買主」の費用償還請求

買った不動産に抵当権等が設定されており、その抵当権を消すために「買主」が費用を出し所有権を保存した場合、 買主は善意悪意にかかわらず、売主に対して、その「費用を出した分の償還」と「損害賠償の請求」をすることができます。

 

 

 

 

2. 賃借人の保護

抵当権が設定されている不動産の「賃借人」も、上記の取得者などと同様 に保護する規定があります。この規定は、下記の「2つ」に分けられます。

①  抵当権設定前の賃借権(下頁(1))

②  抵当権設定後の賃借権(下頁(2))

 

 

[賃借人の保護]

 

(1) 抵当権設定登記前の賃借権

←1番 賃借権(A)

建物

←2番 抵当権(B)

解説

抵当権設定登記前からその土地または建物を賃借しているA (対抗要件を備えている者)は、その賃借権をもって抵当権者B や競落人に対して対抗できる

 

 

(2)  抵当権設定登記後の賃借権

←1番 抵当権(B)

建物

←2番 賃借権(A)

解説

抵当権設定登記後に賃借権を取得したAは、抵当権が先に登記されているので、その賃借権の 「期間の長短を問わず」、原則、抵当権者Bおよび買受人に対抗できない

 

 

抵当権設定登記後の賃借権・・・

 

(a)   対抗できる賃借人

賃借権の登記前に登記した抵当権者のすべてが同意し、その同意について登記がなされたときは、その同意した抵当権者や競売における買受人に対抗できる

 

(b)  対抗できない賃借人

(a) の要件を満たさない賃借人は、抵当権者等に対抗することはできない

・この場合、賃借人は、競売の買受人が買い受けたときから6カ月は建物を明け渡さなくてもよい (=6ヶ月間猶予されるということ)

 

 

 

 

 

 

担保物権 ⑥ 根抵当権

チェック項目

「根抵当権」と「抵当権」はどこが違う?

 

1.  根抵当権

① 「根抵当権」とは、「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額まで担保する抵当権」です。

つまり、通常の抵当権のように「○月○日の債権」を担保するのではなく、決められた「一定の範囲」の債権であれば極度額まではいつでも借入れできるようにしておくのであり、将来は発生する可能性がある債権のためにも設定することができるのです。

ここでは「下項」の根抵当権の「特徴」を覚えてください。

 

 

②  根抵当権を設定する場合には、根抵当権者と根抵当権設定者の間において、下記の事項を定める必要があります。

 

  1. 債 務 者・・・「誰との間で生じた債権か?」
  2. 被担保債権の範囲・・・「どのような債権か?」
  3. 極度額・・・  「どこまで担保するのか?」

 

2. 根抵当権の問題点

①  被担保債権・債務者の変更

「被担保債権の範囲や債務者の変更」は元本確定前に限り変更することができます。この場合、後順位抵当権者の承諾は「不要」です。

②  極度額の変更

「極度額の変更」は元本確定前後を問わず変更することができます、 これを変更するには、後順位抵当権者の承諾が「必要」です。

 

 

 

3. 根抵当権の元本の確定

①  根抵当権は、設定のときに元本の確定期日を定めることができます。 その期日は約定の日より「5年以内」と定められています。

② 元本の確定期日を定めない場合でも、根抵当権設定者は設定の日から「3年」を経過すると元本の確定請求ができ、請求すると2週間後に元本は確定します。また、根抵当権者は「いつでも」元本の確定を請求でき、請求時に元本は確定します。

・ 元本が確定すると、その時点の元本だけが根抵当権によって担保されることになる。つまり、普通の抵当権とほぼ同じものとなる。

 

 

[根抵当権の特徴]

「一定の範囲に属する」とは何か?
根抵当権は、あらゆる債権を対象とする

根抵当権 (=包括根抵当という)は認められない。

①  債務者との特定の継続的取引によって生じる債権

②  債務者との一定の種類の取引によって生じる債権

③  特定の原因に基づいて債務者との間で

継続的に生じる債権

不特定の債権とは何か?
普通の抵当権は債権が特定されるが、

「根抵当権」の場合は特定しないので、

普通の抵当権とは異なり、

「付従性」や「随伴性」がない

ポイント① 債権が発生しなくても根抵当権は設定でき、

逆に債権が消滅しても、根抵当権は消滅しない

② 根抵当権によって担保される債権が譲渡され、

元本確定前に債権が移転しても、

それに伴って根抵当権は移転しないので、

債権取得者は根抵当権を行使できない

 

 

極度額とは何か?
 「極度額」とは、言い換えれば限度額のことである。

一定の範囲に属する不特定の債権をどこまで担保

するのかという額のこと

ポイント・普通の抵当権の優先弁済の範囲

→元本と最後の2年分の利息

・根抵当権の優先弁済の範囲

→極度額 (元本や利息などすべて含めて

極度額まで優先弁済が受けられる)

 

 

 

 

 

 

 

担保物権 ⑦質権・留置権・先取特権

 

チェック項目

「質権」「留置権」とは、どのような権利?

 

1. 質権

「質権」とは、「質権者が債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を占有し、弁済があるまでその物を「留置」することができ、そして、弁済がない場合には、その物から優先弁済を受けることができる「約定担保物権」」の1つです。

①     質権には、「動産質」・「不動産質」・「債権質」の3種類があります。

② 質権は抵当権とは異なり、質権者に担保目的物の占有を移転しなければならない「要物契約」です(諾成契約ではない)。

③    不動産質権の特則

不動産質権も優先弁済権を有するが、下記のような特徴があります。

  1. 抵当権とは異なり、原則として、利息は請求できない。
  2.  存続期間には制限があり、10年以内とされる。 (10年を超える定めをしても10年に短縮される)

 

2. 法定担保物権

 留置権

「留置権」とは、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる権利です。

①  留置権を行使していても、消滅時効は更新しないので、放っておくと債権は時効により消滅します。

② 試験対策としては、「留置権が主張できるか否か?」などについて、 下項の成立要件を押さえておきましょう。

 

先取特権

「先取特権」とは、法律の定めた一定の債権を有する債権者が、債務者の財産から優先的に弁済を受けることができる権利です。

①  債務者の全財産から優先弁済を受けることができる「一般の先取特権」のほか、「不動産の先取特権」「動産の先取特権」があります。

② 試験対策としては、動産の先取特権である「不動産賃貸の先取特権」について覚えておけばよいでしょう。つまり、借家人が家賃を滞納した場合、家財や転貸料に対して、先取特権を有するというものです(下頁)。

 

[質権の特徴]

質権も抵当権と同じく約定担保物権であるが、下記のような「相遠点」がある
「抵当権」との相違

 

占有質権は抵当権とは異なり、

質権者に担保目的物の占有を

移転しなければならない

要物契約である

(=諾成契約ではない。)

対象質権は抵当権とは異なり、

担保目的物は不動産だけではない

流質(りゅうしち)抵当権は流抵当(ながれていとう)WikiPedia

担保の取得(流質、流抵当)契約

(抵当直流れ)(ていとうじきながれ)は許されるが、

質権は流質契約が禁止されており、

弁済されない場合、

その目的物を取得することはできない

 

 

 

 

 

[留置権を主張できるか否か?]

  債権が「その物に関して生じた」ものでなければ留置権は行使できない
「留置権」の成立要件

 

① 借家人が「必要費・有益費」を支出した場合、

借家人はその家屋を留置できる

② ①とは異なり、借家人が賃借家屋に「造作」を

施した場合、造作買取請求権に基づいて家屋を

留置することはできない

占有が「不法行為によって始まった場合」、

留置権は行使できない

①  借家人が賃貸借契約解除後も家屋を占有し、

その間に有益費を支出した場合は、

借家人は留置権を行使することはできない

② 建物の買主が売買契約解除後に必要費、

有益費を支出した場合も、買主は留置権を

行使することはできない

 

 

[不動産賃貸の先取特権]

 

建物の賃貸借において、賃料滞納があれば、

下記のような先取特権がある

ポイント① 貸主はその「建物内」に備え付けられた

「動産」(エアコンなど)に先取特権を有する

② その建物が転貸されていた場合、

転借人の動産や「転貸料」についても

先取特権を行使することができる

・ただし、その動産が第三取得者に引き渡された場合、

先取特権を行使することはできない

 

物権 ① 総則

チェック項目

「債権」と「物権」はどこが違う?

 

 

1. 債権と物件の相違

「債権」とは、特定の人が「特定の人に対してする権利」であり「物権」とは、「物を直接支配する排他的な権利」です。

簡単に言えば、「金を返せ!」「その物を引き渡せ!」など人の行為を目的とするものであり、物権は所有権のように人の行為を介さなくても、他人の意思や行為に拘束されないで、物の所有者は、その物を自由に使うことができるのです。

 

 

2.物権の種類

①  物権は、債権とは異なる強い権利であり、「法律で定められたもの以外に創設することはできません。これを「物権法定主義」といいます。

②   物権の代表として「所有」があり、この所有権を制限する物権として「制限物権」があります。制限物権には、所有権の使用収益を制限する「用益物権」と、主に処分権を制限する「担保物権」に分かれます (後述)。その他、物を所持することによって認められる「占有権」があ ります。

 

 

 

3. 所有権

所有権とは、物を「使用」「収益」「処分」できる権利です。

例えば、土地に所有権があるということは、「その土地を自由に使い (使用)、自由に他人に貸し(収益)、自由に売却(処分)することができる」ということです。 所有権は、1つの物に対して1つしかありません。これを「一物一権主義」といいます。所有権では、下記の「2点」について押さえよう!

 

(1)    相隣関係

所有権は絶対的な権利であり、何人も犯すことができません。しかし、所有者がその絶対的権利を主張すれば、隣地とのトラブルが生じる場合もあります。これを調整する規定が「相隣関係」です。

 

(2)   共有

1つの物を複数人で持った場合、この物を各人は「どのように使用し」 「どのように収益し」「どのように処分するのか?」などの問題が生じます。

この問題について規定しているのが「共有」です。

→所有権

→本権

物権                            →用益物権(・地上権・永小作権・地役権・入会権)

→制限物権

→担保物権(・留置権・先取特権・抵当権・質権)

 

→占有権

 

 

 

 

[所有権の問題(相隣関係)]

具体例
公道に至るための他の土地の通行権「袋地」の所有者は、公道に出るため、

その土地を囲んでいる他の土地(囲繞地)を通行することができる

①  通行する場合には、囲続地にとって

損害の最も少ない方法で通行しなければならない

 

②  通行の損害に対しては償金支払義務がある

 

③ 「分割」によってできた袋地の所有者は、他の分割された土地のみ通行でき、この場合は償金支払義務はない

 

隣地使用権「隣地」の境界で建物の「修繕」などを行う場合、必要な範囲で、隣地の使用請求ができる

・ 「隣家」に立ち入るには、隣人の「承諾」が必要となる

竹木の切除等①   竹木の「枝」が境界線を越えてきたときは、竹木の所有者にその枝を切除するように「請求」できる

②  竹木の「根」が境界線を越えてきたときは、その根を自ら切り取ることができる

境界線の設置権①  境界標の設置などの費用は双方が半分ずつ負担する

②  測量の費用は面積に応じて負担する

目隠しの設置権境界線から「1m未満」の距離において、他人の宅地を見通すことのできる窓、縁側などは

目隠しを付けなくてはならない

自然水流の妨害防止隣地から水が「自然」に流れてくるのを妨げてはならない

 

 

物権 ② 共有

 

チェック項目

共有物の「使用」「収益」「処分」とは、どのようなものか?

 

 

 

1. 共有

「共有」とは、「1つの所有権を数人が共同して所有する権利」をいいます。 そして、その物に対して共有者それぞれが持つ権利を「持分権」といい、この権利も所有権の一種といえます。

①  この持分権は当事者で定めたり、法律の規定で定められたりしますが、持分が不明な場合は「均等」と推定されます。

② 「持分権」は、原則として、自由に処分することができます。

 

2.共有物の使用・管理等

①  共有物は、各共有者が「持分の割合」に応じて、その共有物「全部」を「使用」することができます。したがって、共有者の協議がなく、共有物を単独使用している共有者(またはその承継者)であっても、その 者の持分権についての使用はできます。したがって、他の共有者は、その共有者に対して「明渡請求」をすることはできません。

②  共有物の「保存」「管理」や、共有者の「死亡」「放棄」については特に重要なので、下頁を見ながら具体的に覚えてください。

 

 

 

3.共有物の費用・分割等

①   共有物に関する「費用」

各共有者は、その「持分に応じて」管理の費用を支払い共有物に関する負担をしなければなりません。

②   共有物についての「債権」

共有者が他の共有者に対して有する債権は、その者の特定承継人(=共有持分を譲り受けた者)に対してもその権利を行使することができます。

 

 

③  共有物の「分割請求」

a 分割方法には現物分割・代金分割・価格賠償の3つがあります。

b 各共有者は、「いつでも」共有物の分割請求ができます。また、「5 年以内であれば、不分割特約をすることができます。 (更新の期間も5年以内です)

・分割協議が調わない場合には、裁判所に分割請求ができる。このとき、裁判所は、競売を命ずることもできる。

 

 

[共有物の保存・管理・変更・処分行為]

ポイント具体例
保存保存行為は、共有物の現状を維持する行為であり、各共有者の共通の利益になるので、各共有者が不法占拠者に対しての「単独」で行える・共有建物の修繕

・保存行為

・不法占拠者に対しての

妨害排除請求など

 

 

・損害賠償請求は「単独」で

行えるが、その「請求額」に

ついては持分について

だけである

管理共有者の利用・改良行為は、各共有者の持分の価格の「過半数」で決する

(人数の過半数ではない!)

・賃貸借契約の締結・解除
変更・処分 共有物の処分や変更には

「全員」の「同意」が必要

・共有物の全部売却

・増築・改築等など

 

 

 

[共有者が「死亡」や「放棄」した場合]

原則相続人もなく、特別縁故者などが存在しない場合、

その財産は「国庫」に帰属するのが原則であるが共有の場合は下記のようなる (相続/法定相続分後述)

共有①  共有物については、「相続人」や「特別縁故者」が存在しない場合、死亡した者の共有持分は国庫に帰属せず、「他の共有者」に帰属する

②  共有者の1人が自己の持分を「放棄」した場合も、

他の共有者に帰属する

 

 

 

 

[共有物の分割方法]

共有物の分割方法には、下記の「3つの方法」がある
①   現物分割・・・共有物そのものを分割する

②   代金分割・・・共有物を売却し、その代金を分ける

③   価格賠償・・・共有者の1人が他の共有者の持分を

金銭を支払って取得する

(つまり、共有物ではなくなり、持分を取得した者のものになる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物 権  ③ 用益物権

 

チェック項目

「用益物権」には、どのような種類がある?

 

1. 用益物権の特徴と種類

「所有権」を制限する物権には「用益物権」と「担保物権」がありますが、ここでは用益物権について学習します。

 

「用益物権」とは、一定の目的のために「他人の土地を使える」という権利であり、所有権の使用・収益を制限する物権をいいます。これには、地上権・永小作権・地役権・入会権があります。(入会権は出題されないため、省略)。

 

①  地上権

「地上権」とは、工作物または竹木を所有するため、他人の土地を使用することができる物権です。他人の土地を使う権利として賃借権もあります。

賃借権は債権であるため、下頁のような違いが生じます。

 

 

②  永小作権

永小作権とは、小作料を支払って他人の土地を耕作または牧畜を行うための物権です。永小作権は小作料の支払が前提なので、必ず有償契約です。

 

③  地役権

「地役権」とは、他人の土地を自己の土地の便益のために用いる物権です。したがって、地役権には2つの土地が必要となりますが、他人の土地を必要とする土地を 「要役地」(下頁の乙地)といい、必要とされている土地を「承役地」(下頁の甲地)といいます。

地役権については、まれに問われることがあるので下頁の内容は押さえておきましょう。

 

 

 

2. 占有権

物権には、所有権や制限物権(本権)のほかに、占有権があります。

 

「占有権」とは、自己のためにする意思をもって、物を所持することにより取得できる権利です。したがって、所有権に基づいて物を所持している場合は、その物に対して所有権と占有権を同時に持っていることになります。

 

<「占有権」による訴えは、下記の「3つ」ある!>

 

・  占有権を奪われた場合 →占有回収の訴え

 

・  占有権を妨害された場合→ 占有保持の訴え

 

・  占有を妨害されるおそれがある場合→占有保全の訴え

 

 

 

[地上権と賃借権の相違]

地上権賃借権
有償・無償無償であってもよい有償
譲渡・転貸地主の承諾は「不要」地主の承諾が「必要」
登記地主に登記協力義務あり地主に登記協力義務なし

 

 

 

 

[地役権の特徴]

<通行地役権>

 

 

・Aが地役権を取得すれば、BもCの甲地を通行できる 

・甲地・・・・・承役地

・乙地・・・・・要役地kotobank

・A・B・Cは 所有者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 道路  

 

  C 甲地

 

   地役権
  A・B      乙地

(共有)

 

 

(地役権の成立)
地役権は必ず要役地と承役地を必要とするが、

この両地は隣接する必要はなく、また、1つの土地に複数の地役権を設定することもできる

(地役権の付従性)
要役地の所有権が移れば、地役権もそれに伴って移る。そのため、要役地から分離して、地役権だけを譲渡したり担保目的にすることはできない
(地役権の不可分性)
要役地や承役地が分割されたり一部譲渡されても、地役権はその各部分に存続する。

つまり、土地が分割されても地役権は残り、

その土地を今までどおり使用できる

(地役権と共有)
要役地が共有の場合、共有者は自己の持分についてのみ地役権を消滅させることはできない。承役地についても同じ。

したがって、以下のような 「効果が生じる

a.  要役地の共有者の1人が時効により地役権を取得すると、他の共有者も地役権を取得する

b.  要役地の共有者の1人に生じた消滅時効の更新の効力は、他の共有者にもその効力が及ぶ

 

 

 

担保制度等  ① 保証契約とは?

チェック項目

・保証人には「誰」がなれる?

・「どこまで」保証するのか?

 

 

1.  保証契約

「保証契約」とは、「本来の債務者が債務の履行ができない場合、保証人が代わって、その債務を履行する」という契約です。

この場合、本来の債務のことを「主たる債務」といい、この債務者を主たる債務者といいます。

 

 

2. 保証契約の特徴

保証人が負う債務を「保証債務」といいます。この保証契約は、債権者保証人との間でなされる契約です(債務者との契約ではありません)。保証契約には、下記のような特徴があります。

 

① 主たる債務者の「意思に反する」保証契約もすることができます。

②    保証契約についてだけ「違約金」をつけることができます。

③ 保証債務の範囲は元本だけではなく、「利息」や「違約金」、さらに損害賠償など主たる債務に関するすべてを「含み」ます。

・ただし、主たる債務より重くなることはありません

 

④ 保証契約は、「書面」かその内容を記録した「電磁的記録」でしなければ、その効力は生じません(保証契約は口頭では効力が生じない)。

 

 

 

 

3. 保証人の資格

保証人の「資格」について制限はなく、未成年者(ただし親の同意が必要)が保証人になることもできます。したがって、保証人が未成年者であることを理由に、契約を取消しすることはできません(ただし、主たる債務者が保証人を立てる義務がある場合は下頁参照)。

 

 

4. 分別の利益

「分別の利益」とは、主たる債務について保証人が「複数人」いる場合、各保証人は保証人の「頭数」で割った額のみ責任を負います。

 

 

5. 求償権

債務は債務者が支払わなければなりません。しかし、保証人(または連帯保証人が支払った場合、 その債務に対しては 「全額」の返還を請求できます。また、他に保証人がいる場合(共同保証)、その保証人に対しても、「負担部分」について請求することができます。この権利を「求償権」といいます。

 

 

 

 

【保証】  

事例Bが債務者となり1,000万円をAから借金をする際にCとDが 保証人になり、Cが1,000万円を弁済した場合
保証人の資格保証人は誰でもよいが、主たる債務者が保証人を立てる義務がある場合には、

下記の「2つ」の要件を満たす者でなければならない

①   行為能力者であること(=未成年者等でないこと)

②   弁済資力があること

・債権者が保証人を指名したときは上記の資格は不要である

保証契約保証契約は「債権者」Aと

「保証人」CおよびAとDとの間で行われる

① 債務者Bの意思に反して行うことができる

②   保証契約は書面や電磁的記録で行う(口頭はダメ)

分別の利益Cのほかに保証人Dがいた場合、Cは500万円しか責任を負わない

(つまり、頭割りにした分しか責任を負わない)

求償権CがBに代わって1,000万円を弁済した場合、Cは債務者Bや他の保証人Dに求償することができる(求償権)求償の範囲

① 主たる債務者に対しては「全額」請求できる

② 共同保証の場合、自己の負担部分を超えて弁済した保証人は、他の保証人に対して

各自の「負担部分」について求償することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

担保制度等 ②   保証債務の性質

 

チェック項目

保証債務の「付従性」「補充性」とは何か?

 

保証債務には、下記のような「付従性」「補充性」の性質があります。この性質を理解しなければ、保証関係の問題を解くことはできません。

 

  •   付従性

①  「付従性」とは、「主たる債務に生じた事由は保証債務にも効力を及ぼす」ことをいいます。つまり、主たる債務と、 保証債務にはそのまま同じことが生じます。「主たる債務が消えれば、保証債務も消える」ということであるので、下頁の①~④の具体例を押さえてください。

この付従性を応用をすれば、下頁の⑤⑥のようなことも保証人は主張することができます。

 

  •  「保証人」に生じたことは、主たる債務者に影響しない

 

付従性とは「主たる債務者に生じたことは保証人にも影響する」ということです。逆に、弁済や相殺などを除いて、「保証人」に生じたことは、「主たる債務者」には影響はしないということです。 (例)

 

・「債務者」に請求→主たる債務者だけでなく保証人の時効も更新する

・「保証人」に請求→債務者の時効は更新しない

 

 

 

 

  •  補充性

保証債務は主たる債務が履行されないときに履行されるのであり、主たる債務者が履行できるのであれば、保証人は履行する必要はありません。この性質を「補充性」といい、保証人には下記の権利が認められます。

 

①  催告の抗弁権

保証人への直接請求に対して、まず「主たる債務者に請求せよ」と主張 できる権利です。ただし、債務者が破産手続開始の決定を受けたときや行方不明の場合は主張できません。

②  検索の抗弁権

保証人は、主たる債務者に「弁済資力」があることと、その「執行が容易であること」を証明すれば、「まず主たる債務者の財産を差し押さえよ」と主張できる権利です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【保証債務の性質】

事例・AがBから借金1、000万円借金をするときに、Cが保証人となった場合
 

1、000万円

(債権者) A――――――→B(主たる債務者)

\ 主たる債務

保証債務       \

C  (保証人)

 

 

 

付従性

 

① A・B間の債務が詐欺・強迫などで

取り消されて無効になった場合、A・C間の保証契約も無効となる

② A・B間の債務が弁済などで消滅すれば、A・C間の保証債務も消滅する
③ A・B間の債務が減額されば保証債務も減額

(ただし、増額されても、保証債務は増額されない)

重要④ A・B間の債務が「請求」などにより時効が更新すれば、A・C間の保証債務の時効も更新する
応用

(付従性については、下記の応用例も重要!)

⑤  Bに、Aに対する「反対債権」があった場合、Cは、 その相殺権の行使によって債務を免れる限度において、債務の履行を拒むことができる

応用

⑥  BがAに対して同時履行の抗弁権を主張できるのであれば、Cも同時履行の抗弁権を主張することができる

補充性

 

①  催告の抗弁権

AがCに1、000万円の支払い請求をしてきた場合、CはAに「まずB に催告せよ」と主張できる

 

・Bが「破産手続開始の決定」を受けたときや「行方不明」の場合は主張できない

 

② 検索の抗弁権

AがCの財産に強制執行してきたときに、CはAに「Bの財産に強制執行せよ」と主張できる

・ただし、CはBに弁済資力があること執行が容易であることを証明しなければならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

担保制度等  ③ 連帯保証

 

チェック項目

「通常の保証」「連帯保証」はどこが異なる?

 

 

1.  連帯保証

連帯保証とは、「保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負うこと」を約する保証です。簡単にいえば、 連帯保証人は、主たる債務者が負っている債務を、主たる債務者と同様に「全額」を負わされるのです。

2. 「保証」と「連帯保証」の相違

保証と連帯保証の相違は、下記の「3つ」です。

 

 

 

①  連帯保証には補充性がない

連帯保証には「補充性」がありません。これを言い換えると、「連帯保証には「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」がない」ということになります。

したがって、債権者が「支払え!」と言ってきたときに、「まず主たる債務者に請求せよ」と言い返すことなどができなくなるのです。

 

 

② 連帯保証には「分別の利益」がない!

連帯保証には「分別の利益がない」ので、連帯保証人は、他に保証人が複数いる場合でも、その保証額は頭割りとはならず「全額」請求されます。

 

② 連帯保証人に生じた「弁済、更改、相殺、混同」は、債務者に影響する!!

「連帯保証」の場合には、「更改」「相殺」や「混同」については、主たる債務者について効力を及ぼします。 具体的に説明すると、下項のようなことがいえます。

 

 

 

 

【試験の落とし穴】

<「連帯保証」の特徴を押さえよう! >
① 連帯保証には、「補充性」と「分別の利益」はない。

 

 

② 連帯保証も保証である以上、「付従性」はある。

 

(主たる債務が消滅すれば、連帯保証債務も消滅する)

 

 

 

 

 

 

 

 

[保証と連帯保証の相違(基本)]

事例AからBが借金1,000万円をするときに、

Cが保証人となった場合

 

1、000万円

(債権者)A――――――→B(主たる債務者)

\ 主たる債務

保証債務    ↘

C(保証人)

 

 

保証連帯保証
「付従性」はあるのか?
「補充性」はあるのか?×
「分別の利益」はあるのか?×

 

・付従性成立・・・移転・変更・消滅

・補充性・・・催告の抗弁権・検索の抗弁権

 

  ↓

[保証と連帯保証の相違(応用)]

債権者から「請求」があった場合保証連帯保証
 「主たる債務者」にした「請求」 →保証債務に影響するのか?
「保証人」にした「請求」 →主たる債務者に影響するのか?××
解説 「保証人」に「請求」して保証債務の時効が更新した場合 →主たる債務者の時効は更新しない
「連帯保証人」に「請求」し、連帯保証人の時効が更新した場合 →主たる債務者の時効は更新しない

 

 

 

 

 

担保制度等 ④ 連帯債務

 

チェック項目

連帯債務の「相対的効力」「絶対的効力」とは何か?

 

 

  1.   「分割債務」と「連帯債務」

①     私たちの日常生活においても、複数人で債務を負う場合があります。

例えば、「共同で物を購入する」ような場合、自分が支払う金額は、自分の分だけです。これを「分割債務」といいます。

(下項の例では、B・C·DはAに対して各自500万円の支払債務を負う)。

 

 

 

 

②   これに対して「連帯債務」とは、数人の債務者が「同一内容」の債務を「各自」が「独立」して「全額負担」する債務をいいます。

・下項の例では、B・C・DがAに対して、それぞれ別々に1,500万円 の代金全額の支払債務を負うことになる。 なお、連帯債務者の1人が「弁済等」をすると、その額が消滅し、その弁済等した者は「求償」することができる。

 

 

 

 

 

  1.  連帯債務の「相対効」と「絶対効」

連帯債務については、下記のような特徴があります。

①  相対的効力

連帯債務は、各個人が独立した債務を負うので、連帯債務者の1人に生じた事由が、他の連帯債務者に効力が及ばないのが原則です。

例)

  1.   連帯債務者の1人が「破産手続開始の決定」を受けても、他の連帯債務者の債務金額が変わることはありません。
  2.  連帯債務者の1人が債務を「承認」し時効が更新したとしても、他の連帯債務者の時効は更新しません。

 

 

 

 

② 絶対的効力

例外的に、連帯債務者の1人に生じた事由が、他の連帯債務者に効力が及ぶこともあります。この内容については、下頁の「4つ」の事例を覚えてください。

 

 [試験の落とし穴)]

<「絶対的効力」を有する「4つ」の事由以外は「相対的効力」である>

 

・絶対的効力(4つの事由)→他の債務者に影響する

 

・相対的効力(4つ以外の事由) → 他の債務者に影響しない

 

 

 

 

 

 

[連帯債務の絶対的効力]

事例         B500万円(連帯債務者)(各自負担)

1、500万円   ↗

A ―――――――――→C500万円(連帯債務者)(各自負担)

(債権者)  \

D500万円(連帯債務者)(各自負担)

絶対的効力を有する「4つ」の事由
(1)弁済 Bが債務を弁済すると、その額だけ他の連帯債務者の債務も消滅する
(2)更改   1,500万円の債務を負担する代わりに、Dが、 D所有の土地をAに引き渡す更改契約をすれば、B・CのAに対する債務は「消滅」する

・更改とは、旧債務を消滅して契約内容を変更することをいう

(3)混同 DがAを相続した場合、Dが弁済したものとみなされ、B・C のAに対する債務は「消滅」する

・混同とは、同一人に、債権者の立場と債務者の立場が帰属することをいう

(4)相殺DがAに対して1,500万円の反対債権を有する場合、DがAに対してその反対債権で相殺すると、弁済したのと同じなので、B・CのAに対する債務も「消滅」する
 ・反対債権を有するDが、相殺をしない場合でも、ほかの連帯債務者B・Cは、Dの「負担部分」の500万円を限度として相殺を援用することができる

 

 

 

 

[更改とは]

更改とは、債権者と債務者が同一になること

 

(債権者)             (債務者)

(死亡)   1.000万円     (相続人)

A―――――――――――――――→B

B―――――――――――――――→B

債権は消滅する

 

 

債 権  ① 債権譲渡

 

チェック項目

債権譲渡を「債務者」や「第三者」にどのように対抗する?

 

 

1. 債権譲渡

債権譲渡とは、「債権の同一性を保ったまま、債権の譲渡人(旧債権者) と譲受人(新債権者)との契約により債権が移転すること」をいいます。 債権譲渡の契約は譲渡人と譲受人で行い、債務者の「同意」は不要です。

法改正

譲渡禁止の「特約」をすることもでき、これに反する譲渡も「有効」。

しかし、債権の「譲受人」がその特約について「悪意」又は「重過失」の場合、債務者は履行を拒むことができる。

 

 

 

2.「債務者」に対する対抗要件

債権が譲渡された場合、債務者に対して「自分が新債権者だ!」と言うためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

①  譲渡人から債務者に対する通知

(譲受人からの通知ではダメ!)

②  債務者の承諾(承諾は譲渡、譲受人のいずれに対してでもよい)

 

 

3.通知・承諾の効力(事例(1)) 法改正 

上記2.の「通知」または「承諾」がなされれば、債権の譲受人は債務者に対して「自分が新債権者である」ことを主張することができ、逆に「債務者」も債権の譲受人に対して下頁事例(1)の権利を主張できます。

 

 

 

4. 債務者以外の「第三者」に対する対抗要件(事例(2)) 

下頁事例(2)の二重に債権を譲渡された場合、下記のようになります。

①    C・Dいずれが優先するかは、先に通知(または承諾)が到達したほうではなく、「確定日付のある証書による通知(または承諾)」があるほうが優先します。

 

② 両方とも確定日付があれば、通知が債務者に「到達した先後」で決します(承諾は承諾日時の早いほう)。

 

③ 「同時に到達した場合、各譲受人C・Dは債務者Bに対して全額の弁済を請求することができ、これに対して、債務者Bは債務の消滅事由がない限り、弁済を拒絶することができません。この場合の債務者は請求してきた譲受人に弁済することになります。

 

 

 

 

 

[債権譲渡]

 

 

(AがCに「債権を譲渡」する場合)

事例()

 

 

 

→通知

←承諾

(譲渡人)A―――――― B(債権者)

←―――――

↙承諾

(譲受人)C

 

 

[債務者への通知・承諾の効力]
効力債務者Bは下記の場合であっても、その通知を受けるまでに譲渡人A ができる に対して生じた下表のような事由をもって、その譲受人Cに対抗することができる

 

 

①    譲渡人Aが債務者Bに「通知」して債権を譲渡した場合

② 債務者Bが債権者A又はCに「承諾」した場合

 

 

 

 

 

 

【通知・承諾の効力】

①  通知前に、すでに弁済により債権が「消滅」していた場合、債務者Bは譲受人Cに、その消滅を主張できる。

 

②   通知前に、譲渡人Aに対してもっている「同時履行の抗弁権」は、債務者Bは譲受人Cに対しても主張できる。

 

③  通知前に、債務者Bが譲渡人Aに対して反対債権を取得していた場合、債務者Bは、譲受人Cに対して相殺を主張できる。

 

 

 

[第三者に対する対抗要件]

事例().

 

(譲渡人)A――――――――→B(債務者)

↙ ↘

C     D ――→ (C・D間の対抗は、確定日付のある証書を有する者が優先する)

 

 

 

債権 ② 債権の消滅(弁済)

 

チェック項目

弁済は「誰が」「誰に対して」「どのように」する?

 

1.弁済

弁済とは、「債務の内容を実現して債権を消滅させること」をいいます。 例えば、10万円借りて、10万円返せば債権を消滅させることになります。 弁済する場合の問題点は、下頁の「弁済の基本的事項」を覚えてください。

 

2. 代物弁済

借金を金銭ではなく、他のもの(例えば時計など)で返済することもでます。

これを「代物弁済」といいます。この代物弁済は、「債権者の承諾」を得てしなければなりません。

 

3. 一部弁済

債務者が弁済する場合、「全額弁済」すれば債務は消滅します。しかし、「一部を弁済」した場合、その弁済は何に充当されるのでしょうか?

ここでは一部弁済の充当について、下記の「2つ」を覚えておきましょう。

① 「一部弁済」した場合、その弁済金額は、

「費用」→「利息」→「元 本」の順で充当されます。

②  債務者が、「同一」の債権者に対して「複数の債務を負担している場合、「債務者」が一部弁済するときは、「どの債務」について弁済するかを指定できます。

・「債務者」が指定するのであり、「債権者」が指定するのではない!

 

4. 弁済による代位

① 「代位」とは、簡単に言えば弁済した第三者が「新しい債権者になる」ことをいいます。

例えば、債務者の代わりに保証人が債権者に弁済した 場合、その保証人が求償権を確保するため、債権者の地位につくのです。

 

 

 

[試験の落とし穴]

<「同時履行」の関係となる?>

①  受取証書(=領収書など)の交付と弁済は同時履行の関係となる

② 債権証書(=借用書など)の返還と弁済は同時履行の関係にならない

 

 

 

[弁済の基本的事項]

①  弁済者=「誰が」弁済するのか?
・債務者はもちろんのこと、「第三者」も弁済することができる

・債務者の意思に反しても弁済することができるか

否かは、下記のようになる

a.   利害関係のある第三者は、債務者の意思に反しても弁済できる

b.  利害関係のない第三者は債務者の意思に反してまでは弁済できない

 

・債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは弁済可能

・利害関係のあるものとは、親、兄弟のことではなく、物上保証人や担保不動産の取得者などをいう

債務者は、「弁済の提供」を行えば、債務不履行責任を負わない。

また、相手 方の同時履行の抗弁権を失わせる

②  弁済受領者=「誰に」弁済するのか? 法改正
下記の場合、受領権限のない者に弁済しても「有効」となる

 

・ 受領権者としての外観を有する者(例えば、印鑑と通帳を持っている者)へ弁済した場合、弁済者が「善意無過失」であれば、その弁済は「有効」となる

③ 弁済場所=「どこで」弁済するのか?
特別の定めがなければ、債権者の現在の住所地で弁済する

・不動産などの特定物は、その物が存在している場所となる

④ 弁済の費用=弁済の費用は「誰が負担」するのか?
弁済の費用は債務者が負担する

・弁済の費用は債務者負担

・契約の費用は特約がない限り平分する

⑤ 不動産の代物弁済
仮に不動産で代物弁済をする場合には、登記の移転などをして相手方に対抗要件を備えさせなければ弁済したことにはならない。

 

 

 

 

 

 

債 権 ③ 債権の消滅(相殺)

チェック項目

相殺は「どのように行う」のか?

 

1.  相殺とは何か?

「相段」とは、「当事者が互いに同種の債権を有する場合、一方的な意思表示により、その債権と債務を対当額において消滅させること」をいいます。

この場合、先に「相殺をしよう!」と言った者の債権を 自働債権」といい、その相手方の債権を受働債権」といいます。

 

2. 相殺する場合の問題点

相殺するには、相殺できる状態でなければなりません。これを「相殺適状」といいます。

ここでは相殺できるための要件を下頁の事例を見ながら、相殺適状の要件を押さえてください。

3. 相殺の特徴

相殺するためには、要件(=相殺適状)を満たさなければなりませんが、この場合、下記の点に注意してください。

①   相殺は「履行地」が異なる債務でもすることができます。

②  相殺には、「条件や期限」を付けることはできません。

③  相殺の効果は、その相殺適状を生じた当時において対当額で消滅します。

④  消滅時効が完成した債権であっても、時効消滅する以前に相殺適状にあったときは、相殺することができます。

 

 

[試験の落とし穴]

<消滅時効によって消滅した債権は、もはや相殺を主張できなくなるのか?>

事例

Aの債権が時効により消滅しており、Bの債権はまだ時効になっていない場合「Aは相殺を主張」できるのか?

Aは、自分の債権が消滅する「前」に相殺適状できる期間  があったので、②の期間でも相殺することができる

 

 

 

 

 

Aの債権 ―――――――――― →    |(消滅時効)                                          |

| 相殺適状      |                                                                                   |

Bの債権  |―――――――――  |―――――――――――――→ (時効消滅)  |

(弁済期) ① | (この期間もOK!)                                       |

 

 

 

 

[相殺]

事例 AまたはBが相殺を行う場合
         貸金債権

―――――――――――――→

A                                      B

←―――――――――――――

代金債権

解説①  Aが相殺の意思表示をすれば、Aの貸金債権を自働債権、

Bの代金債権を受働債権と呼ぶ 。

② Bが相殺の意思表示をすれば、Bの代金債権を自働債権、

Aの貸金債権を受働債権と呼ぶ

 

 

 

 

 [相殺の要件(相殺適状)]

 当事者の債権の対立があること
双方の債権が同種の目的をもつこと
双方の債権がともに弁済期にあること
判例)

a.   「自働債権」は常に弁済期にあることが必要である

b. 「受働債権」は弁済期が到来していなくても

相殺することができる

双方の債権が有効に存在すること

・ 一方の債権が無効であれば、相殺も無効である

債権の性質が相殺を許さないものでないこと
判例)

a.    不法行為による損害賠償債権は「自働債権」として相殺できる

 

b.    悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務または

人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務を

「受働債権」としては相殺できない

a.    不法行為の損害を「自働債権」→相殺できる

b.    不法行為の損害を「受働債権」→相殺できない

判例)

a.  自働債権を受働債権の差押え後に取得した場合、相殺できない

b.  自働債権を受働債権の差押えに取得した場合は相殺できる

a.  自働債権を受働債権の差押え前に取得→相殺できる

b.  自働債権を受働債権の差押え後に取得→相殺できない

 

 

 

契約各論    ① 売買契約(契約不適合責任) その1

チェック項目
契約不適合の種類は?

  •   売主・買主の義務
    ①    売主の義務
    売主は売った物を「引き渡す」義務があります。不動産の場合、この義務は買主に対して、下記のようにしなければ、義務をはたしたことにはなりません。

a.  登記や登録などの対抗要件を備えさせること
b. 他人の権利(全部・一部が他人のもの)の場合、その他人から権利を取得し、買主に移転すること

  •    ② 買主の義務
    買主は、買った物に対して、代金を支払う義務があります。 (買った物が契約した内容に適合しない場合、契約不適合の責任追及ができます)

 

 

 

  •  契約不適合責任の概要 法改正
    ①   売買契約で問題となるのは、買った目的物に「キズ」があった場合、売主は「どのような場合」責任を負うのか?ということです。

旧民法では、「隠れたる瑕疵(キズ)」であれば、売主は一定の責任を負うとしていました。 しかし、今回の法改正により、以前は「瑕疵」といっていた目的物のキズを「契約不適合」とし、債務不履行の1種として扱われるようになりました。

 

 

②   この契約不適合は、下頁のように契約した「目的物に関する不適合」と契約した「権利に関する不適合」に大別することができます。

 

 

 

 

  •  買主が契約不適合責任を追求する手段

「買主」は、売主が「種類・品質・数量」について契約内容に適合しない目的物を引渡した場合、あるいは買主に移転した「権利」が契約内容に適合しない場合 には、下記のような手段をとることができます。

①  追完請求権
②  代金減額請求権
③  損害賠償請求権
④  契約解除権 ⇒「隠れたキズ」の要件は「不要」となり、売主は常に上記の責任を負います。

 

※令和元年までは瑕疵担保責任(次項その2と合わせて)

 

 

[契約不適合の「種類」]

目的物に関する不具合
 ・「種類」に関する不適合
ポイント
引渡しを受けた目的物が別の種類だった場合 「種類」例)同じジャンルの商品であるがAではなくBという商品であった

 

・「品質」に関する不適合

ポイント

引き渡しを受けた目的物が別の品物だった場合

例)電化製品を買ったが、契約に示されている 性能が備わっていなかった
例)不動産の場合、物質的な欠点だけでなく、事故物件などで契約内容に明記されていなかったものも含まれる

 

・「数量」や移転した「権利」が契約内容に不適合の場合

ポイント
引きわたれた物の数量が異なっていた場合や移転した
・(=旧法の数量不足)
例)契約で100㎡としていたが、実測すると90 ㎡であった場合

 

 

 

権利に関する不適合
・移転した「権利」に不適合があった場合
目的物に地上権や地役権、対抗力のある賃借権などがない(又はある) として契約したにもかかわらず、それらの権利が存在していた(又は存在していなかった)場合

 

・権利の「一部」が移転できない場合
契約で100 ㎡としていたが、20㎡は他人の物であり、その部分を移転できなかった場合

 

 

 

 

契約各論  ② 売買契約(契約不適合責任)その2

チェック項目
契約不適合は「いつまで追及」できる?

  1.   買主が契約不適合責任を追求する手段   法改正
    買主が契約不適合責任を追求する手段は、下頁の表を覚えてください。

①  「種類」又は「品質」に関して契約内容が不適合の場合
a . 「売主」が「種類又は品質」に関して契約の「内容」に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から「1 年以内」に不適合(種類・品質)の旨を「売主」に「通知」しないときは、「買主」は、その不適合を理由として、売主に責任を追及することができなくなります。

b .  ただし、「売主」が引渡しの時にその不適合を「知り」、又は「重大な過失」によって知らなかったときは、上記の期間制限はなくなります。

 

② 「数量」や移転した「権利」が契約内容に不適合の場合
「数量」や移転した「権利」が契約内容に不適合の場合、上記①とは異なり、 消滅時効の規定が準用され、下記のようになります

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅します。

a.   債権者が権利を行使することができることを知った時から「5年間」行使しないとき
b. 権利を行使することができる時から「10年間」行使しないとき

 

 

 

3. 契約不適合責任を負わない特約

当事者間で担保責任を負わない特約も「有効」です。下記の場合、売主は担保責任を負わなければなりません。

① 売主が契約不適合であることを知っていたのに、買主に告げなかった場合
② 売主が自ら第三者のために権利を設定していた場合

 

 

 

4. 「競売物」の担保責任
①  「競売」における買受人は、債務者に対し、契約の解除又は代金の減額を請求することができます。
② ただし、競売の目的物の「種類」又は「品質」に関する不適合については、適用されません。

 

 

 

 

[契約不適合の買主の「4つ」の権利]

買主の「4つ」の権利
追完請求権 引き渡された目的物が「種類」、「品質」又は「数量」に関して契約の内容に適合しないときは、買主は、売主に対し、目的物の 修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる

①  売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と「異なる方法」による履行の追完をすることができる

(例えば、売主は代替物の引渡しではなく収保による対応でもよい。)

② 不適合が「買主」の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、履行の追完の請求をすることができない

 

代金減額請求権 引き渡された目的物が「種類」、「品質」又は「数量」に関して契約の内容に適合しないときは、「買主」は相当の期間を定めて履行の追完を「催告」し、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて「代金の減額」を請求することができる

① 次に掲げる場合、買主は、「催告」をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる

a.  履行の追完が不能であるとき

b.  売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき

c. 売主が履行の追完をしないで一定時期を経過したとき

② 不適合が「買主」の責めに帰すべき事由

によるものであるときは、買主は、代金の減額の請求することができない

 

契約解除権 売買契約の目的物が契約の内容に適合しない場合、特定物売買か否かを問わず、売主に帰責事由があれば、「契約解除」することができる。「買主」の「善意」や「善意無過失」は問わない
損害賠償請求権

 

 売買契約の目的物が契約の内容に適合しない場合、特定物売買か損害賠償か否かを問わず、売主に帰責事由があれば、「損害賠償」の請求をすることができる

・「買主」の「善意」や「善意無過失」は問わない

 

 

 

 

契約各論  ③ 贈与契約

チェック項目 「贈与契約」は解除できる?

 

  1.  贈与契約
    ①  「贈与契約」とは、「贈与者が相手方に無償である財産権を与えることを約束し、相手方がこれを受諾することによって成立する契約」です。

この契約は、無償片務契約ですが、当事者の合意のみで成立します。 つまり、目的物の引渡しは要件とはならない、諾成契約です。

②   贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定します。

③ 「負担付贈与」の場合、その負担の限度において担保責任を負います

 

 

 

 

  1.  贈与契約の解除
    ①   贈与契約は書面の作成を要件としません。したがって、書面によらない(=口約束)契約であっても贈与契約は成立します。

② 「書面により」行った贈与契約は解除することはできません。しかし、書面によらないで贈与契約をしたときには、各当事者は、履行が終了した部分については解除することはできません。
ここで問題となるのは、「何をもって履行が終了」したことになるのか? ということです。この履行の終了とは、不動産の場合、下記「2 つの判例」を覚えてください。

a.  「引渡し」があれば、移転登記がなくても履行の終了となります。
b. 「移転登記」があれば、引渡しがなくても履行の終了となります。

 

 

 

  •  定期贈与・死因贈与
    贈与契約については、贈与契約の解除のほか、「定期贈与」や「死因贈与」 について、下頁「その他の贈与」の結論を押さえておきましょう。

[試験の落とし穴]
<何をもって「履行の終了」となるのか?>

不動産の「贈与」では、「登記の移転」または「物件の引渡し」のどちらかがなされていれば履行の終了となり、もはや解除はできない。

 

 

[贈与契約を解除できるのか?]
贈与契約を「解除」できるか否かの判断は、下記の「手順」で行う

第一段階

書面による贈与解除できない

第二段階

書面によらない贈与(=口頭で行った)

判例
「履行が終了」している場合→ 解除することはできない
「履行が終了」していない場合→ 解除することができる

 

 

[その他の贈与の問題]

定期贈与
問題点
「定期贈与」とは、例えば毎月、学生の間は一定の金銭を与えるというような契約である。
ここで問題となるのが、当事者の一方または双方が死亡したとき、「相続人はその権利義務を承継するのか?」ということである
結論
無償で金銭などを与えるということは、当事者間で特殊な事情があるのが前提と考えてよいだろう。逆にいえば、その事情は、当事者以外には関係のないことである。
したがって、当事者の一方または双方が死亡したときは、その贈与契約は効力が失われ、権利義務は承継されない

 

 

 

死因贈与
問題点
「死因贈与」とは、 贈与者の死亡によって効力が生ずる贈与のことである。 ここの問題点は、 「死因贈与の契約は解除できるのか?」ということである
結論
死因贈与は契約であり、遺贈(相続を参照)と異なり、一方的な意思表示では成立しない。しかし、その内容は遺贈と同じである。したがって、死因贈与は遺贈に関する規定が準用される (遺贈の規定では、遺言を撤回することができるとされているので、死因贈与の場合も、書面口頭を問わず、解除することができる

 

 

 

 

契約各論 ④委任契約

チェック項目
委任契約には「どのような特徴」があるのか?

 

  1.   委任契約
    「委任契約」とは、「当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、相手方がこれを受諾することによって成立する諾成契約」です。
    「委任者」と「受任者」には下頁のような義務があります。

 

  1.  委任契約の特徴
    ① 報酬の支払
    委任契約は「無償」が原則です。ただし、受任者は、特約があれば報酬を受け取ることができます。この場合、原則として「後払い」になります。なお、有償の委任契約をし、途中で委任契約が終了した場合、受任者はすでに履行した割合に応じて報酬を請求することができます。

② 善管注意義務
有償の委任契約だけでなく、無償の委任契約であっても、受任者は「自己の財産におけるのと同一の注意義務」ではなく、「善管注意義務」が課せられます。 自己の財産におけるのと同一の注意義務は、「無償の寄託契約」と「相続放棄」をした場合の財産管理の場合のみ。

③ 終了原因
委任契約の終了原因(下記 a. b) は任意代理と同じ事由です。

a.    委任者の死亡、破産手続開始の決定
b.  受任者の死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判
委任の終了は遡及せず、「将来に向かってのみ」契約は消滅する。

④ 無理由解除
上記③の終了原因がなくても、委任は、「理由がなくても」「どちらからでも」「いつでも」解除することができます。
a.   委任契約が「終了」した場合でも、急迫の事情があるときは、受任者は委任者等が委任事務を処理することができるようになるまで、必要な処分をする義務を負います。
b.  当事者の一方が相手方に「不利な時期」に委任の解除をしたときは、相手方に損害を賠償しなければなりません。

 

 

 

 

【委任者の義務と受任者の義務】

委任者の義務費用前払義務

 

報酬ではなく、委任事務を処理する場合の費用については、委任契約の有償、無償を問わず、受任者の請求があれば、その費用を「前払い」しなければならない

 

立替費用償還義務
受任者(依頼された者)が費用を立て替えた場合には、その支払日以後の利息も含めて返還しなければならない

 

受任者の損害賠償に対する義務
 受任者が委任事務を処理するにあたって、自己に過失がないのに損害を受けた場合、委任者に対して損害賠償を請求することができる。したがって、委任者はこの損害を賠償する義務がある

 

受任者の義務

 

 

善管注意義務
 委任契約は「無償」が原則であるが、たとえ「無償」の契約であっても、受任者は「善管注意義務」をもって、

事務処理を行わなければならない

自己服務義務
受任者は委任者に信頼されて委任されたのだから、最後まで自分自身が行わなければならない。

ただし、下記の場合は復受任者を選任することができる

① 委任者本人の承諾

② やむを得ない事由がある場合

 

報告義務
①  受任者は委任者の「請求」があれば、いつでも事務処理の状況を「報告しなければならない

・定期的な報告義務はない点に注意!

②  委任事務終了後は、遅滞なく、その「経過」および「結果」を報告しなければならない

受領物等の引渡義務
①  事務処理にあたり受領した金銭等があれば、その金銭等を引き渡さなければならない

②  受任者は、委任者に引き渡すべき金銭を自己のために使ってしまった場合、その使った日以後の利息も支払わなければならない。また、損害があれば、その損害賠償責任も負う

 

 

 

 

 

契約各論 ⑤請負契約

 

チェック項目 請負契約には「どのような特徴」があるのか?

 

1.  請負契約

「請負契約」とは、「請負人が仕事を完成することを約束し、注文者が、その完成した仕事に対して報酬を支払うことを約束する契約」です。

この請負 契約は委任契約と同じく労務を目的とする契約であり、当事者の合意だけで 成立する諾成契約です(書面の作成を要件とはしない)。

 

 

 

 

 

2. 請負契約の特徴

① 報酬

対価を支払うことを約束しているので、請負契約は必ず有償契約となり、報酬の支払は「後払い」が原則となります。

「注文者の報酬支払」と「請負人の引渡し」は同時履行の関係となる。

 

②  解除

請負契約には、下記のように特有な解除事由があります。

 

  • 「請負人」からの解除権

注文者が「破産手続開始の決定」を受けた場合、「請負人」は報酬を受け取ることができない危険性があるので、請負人は契約を解除することができます。

  • 「注文者」からの解除権

「注文者」は、請負人が仕事を完成する「前」であれば、いつでも損害を賠償して解除することができます。

 

③ 仕事の完成

  •    請負契約は委任契約とは異なり、請負人は必ず仕事を完成させる義務があります。いくら労力を費やしても、仕事を完成させなければ報酬を受領することができません。逆にいえば、「下請負人」が仕事を完成させても報酬を受領することができます。

 

  •  ここで問題となるのは、建物が完成した場合、その完成物件の所有権は「誰に帰属するのか?」ということです。

(1)  請負人に帰属し、後に注文者に所有権が移るという考え方

(2)  完成時点で注文者に帰属するという考え方

 

 

 

 

ここでは下項の判例を覚えておきましょう。

 

 

 

 

[委任契約と請負契約の相違]

 

委任契約請負契約
委任者・報酬の支払義務なし

・報酬を特約により支払う場合には、後払いが原則

 

注文者・報酬の支払義務あり

・支払は目的物の引渡しと同時に行う(金銭以外でもよい)

 

受任者・復受任者の選任は原則できない

・報告義務

・取得権利の移転義務

・無償でも善管注意義務あり

 

請負人・下請負人にさせることができる

・請負契約の担保責任は、下記の内容法改正

ア.  履行の追完請求権

イ.  損害賠償請求権

ウ.  契約解除権 ・ 法改正

エ.  報酬減額請求権

 

終了・無理由の解除 (効果は将来に向かってのみ)

・委任者の死亡、破産手続開始の決定

・受任者の死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判

 

終了・通常の解除

 

注文者は完成前であれば「いつでも」解除することができる

 

 

 

 

 

[完成物件は「誰の」もの?)]

<所有権の帰属の問題には下記の「2つ」の考え方がある>
「誰に」帰属① 材料の全部

· 主要な部分を注文者が提供した

・・・注文者のものになる

 

②材料の全部

· 主要な部分を請負人が提供した

・・・請負人のものになる

ポイント要するに、材料を提供した者に

所有権が帰属するのである。

ただし、請負人が完成前に請負代金を

受け取っていれば、「注文者」に帰属する。

 

 

 

 

契約各論    ⑥ 請負人の「担保責任」

 

チェック項目

・ 担保責任の「追及方法」は?

・「いつまで」責任追及できる?

 

 

1.  請負人の担保責任 法改正

「請負人」が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(引渡しを要しない場合、仕事が終了した時に仕事の目的物 が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、「注文者」は、下記のような権利を請求できます。

 

 

a. 追完請求権

b. 損害賠償請求権

c. 契約解除権

d.   報酬減額請求権

 

2. 担保責任の追及期間

①  担保責任の「追及期間」は、引き渡された目的物の種類又は品質が契約内容に適合しないことを知った時から「1年以内」に、その旨を請負人に「通知」する必要があります。

② 「注文者」がその不適合を知った時から「1年以内」にその旨を請負人に「通知」しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができません。

③  仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合、仕事が終了した時)において、請負人が不適合を知り(悪意)、又は重大な過失によって知らなかった(重過失がある)ときは、②の規定は適用しません。

 

 

3. 不利な特約

請負契約の担保責任は任意規定であり、担保責任を負わない特約も「有効」です。しかし、特約については、下記の点に注意してください。

①  請負人が瑕疵を知りながら告げなければ、特約は「無効」となります。

② 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したときは、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、請負人に担保責任を追及することはできません。

・ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、請負人は担保責任を負います

 

 

 

[請負人の担保責任]ポイント

追及手段

・追完請求権

・報酬減額請求権

・損害賠償請求権

・契約解除権

 

注文者が追及できない場合

原則) 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない

 

 

仕事の目的物を注文者に引き渡したときで、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合の場合

 

例外) 請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、請負人は担保責任を負う

 

 

追及できる期間

原則)  注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に「通知」しないときは、注文者は担保責任を追及できない

 

 

例外)仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、追求できる

 

 

 

 

 

[請負人の担保責任を追及できる者]

請負人の担保責任は「請負人」と「注文者」との問題

 

事例

請負人     請負     注文者   売買    第三者

―――――――→     ―――――――→

A               B           C

←―――――――     ←―――――――

(請負人の担保責任)  (売主の担保責任)

↑_________×____________|

(契約の当事者ではないので追及できない)

 

 

解説

注文者Bが第三者Cにその目的物を売却し、その目的物に契約不適合があった場合でも、第三者(=買主)が請負人Aに対して担保責任を追及することはできない。あくまで請負契約は AB間の契約であり、AC間の契約ではないからである。

 

契約総論 ① 契約の基本的事項

チェック項目
同時履行の関係に「なる」それとも「ならない」?

1. 契約の分類

 

典型契約と非典型契約
民法では典型的な契約を「13種類」(下頁)規定しています。これを「典型契約」(=有名契約ともいう)といい、この13種類以外の契約を「非典型契約」といいます。また、このほかにも下記のように契約を分類することができます。

① 有償契約と無償契約
売買や賃貸借のように、契約当事者双方が互いに経済的対価を支払う契約を「有償契約」といい、贈与や使用貸借のように一方だけが経済的対価を支払う契約を「無償契約」といいます。
② 双務契約と片務契約
契約当事者の双方が義務を負うのか、片方だけが義務を負うのかという面からみると、「双務契約」と「片務契約」に分類できます。
③ 諾成契約と要物契約
当事者の合意だけで成立するのか、物や金銭を引き渡すことで成立するのかという面から、「諾成契約」と「要物契約」に分類できます。

 

 

 

 

2. 同時履行の抗弁権
「同時履行の抗弁権」 とは、「双務契約」の当事者の一方は、相手方が債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができるという権利です(下降参照)。また、一見すると「同時履行の関係になる」ように思える内容であっても、「同時履行の関係にならない」ものもあります。

 

 

「同時履行の抗弁権」については、同時履行の関係に「なるのか?」「ならないのか?」が問われるので、下頁の表の「判例」を覚えてください。

 

 

 

[試験の落とし穴]・民法の「13種類」の契約のうち、受験対策としては下図の①③④⑤⑦⑨の契約だけを押さえればよい。
・賃貸借契約は、借地借家法と合わせて学習する。

 

 

 

 

 

[宅建試験でよく出る契約]民法に規定する契約は下記の「13種類」がある

①売買契約  ②交換契約  ③贈与契約 ④賃貸借契約  ⑤使用貸借契約  ⑥消費貸借契約  ⑦委任契約  ⑧寄託契約  ⑨請負契約  ⑩雇用契約 ⑪組合契約 ⑫終身定期金契約     ⑬和解契約

 

 

 

 

 

[同時履行の抗弁権]
事例
物件の引き渡し
―――――――――――→
A     同時履行       B
←―――――――――――
代金の支払

 

 

解説
① AとBがA所有の家屋の売買契約を行った場合、Aは家屋を引き渡す義務があり、Bは代金を支払う義務が生じる。
② Aが家屋を引き渡さないのであれば、Bも代金の支払を拒むことができる権利を有する (このような権利を「同時履行の抗弁権」という)

 

 

 

 

 

 

 

[同時履行に「なる」?「ならない」?]

 

 

なる①請負契約の目的物の引渡しと、報酬の支払は同時履行となる
②契約の取消し後の当事者双方の原状回復義務は同時履行となる
③受取証書(=領収書など)の交付と弁済は同時履行となる
ならない① 敷金の返還と家屋の明渡しは同時履行ではない→(明渡しが先)
②抵当権抹消請求と代金の弁済は同時履行ではない→(弁済が先)
③債権証書(=借用書)の返還と弁済は同時履行ではない→(弁済が先)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

契約総論 ② 条件と期限

チェック項目
・「条件」と「期限」の相違は?
・「停止条件」の重要ポイントは何?

 

 

1. 「条件」と「期限」

契約が成立すれば、その効力は契約と「同時に発生」するのが原則です。 しかし、下記のような場合、効力は遅れて発生します

①「転勤になれば、この家屋を売ります」
②「来年の4月1日になれば、この土地を売ります」 ①を「条件」のついた契約といい、②を「期限」のついた契約といいます。 この条件や期限を「契約の附款(ふかん)」といいます。

 

 

 

2. 「停止条件」と「解除条件」
「条件」とは、法律行為の効力の発生または消滅を将来の「不確実」な事実にかからしめるものをいいますが、条件には、下記の2種類があります。

 

①「試験に合格すれば車を買ってやろう!」というような法律行為の効力が発生するもの。これを「停止条件」といいます。

②「試験に落ちたら援助しない!」というような法律行為の効力が消滅するもの。これを「解除条件」といいます。

 

 

 

・    不能の停止条件を付した契約は「無効」となる。
・「停止条件」については、「下頁」のポイントを押さえよう。

 

 

 

3. 「確定期限」と「不確定期限」

「期限」とは、法律行為の効力の発生または消滅を将来の「確実」な事実にかからしめるものをいいますが、期限にも下記の2種類があります。

①  将来的に到来することは確実であり、「来年の4月1日」といった “いつ到来するか確定”しているものを「確定期限」といいます。
②「父が死んだら」というような確実に来るには違いないが、“いつ到来するか不明”なものを「不確定期限」といいます。

 

 

 

 

 

 

[試験の落とし穴]
<契約に「実現不可能」な条件をつけたらどうなる?> 実現不可能(不能)な停止条件をつけた法律行為は「無効」となり、実現不可能な解除条件をつけた法律行為は「無条件」の法律行為となる。

 

 

 

[停止条件の事例]
事例
AがBに対して、「今年宅建試験に合格すれば甲地をやろう!」と贈与契約を書面で行った場合
(停止条件付き)
甲地/A―――――――――――――B
(贈与する)

解説
① Bが宅建試験に合格した→Bは甲地を取得することができる
② Bが宅建試験に合格しなかった→Bは甲地を取得することができない

 

 

 

 

 

 

[停止条件のポイント]

 

 

<停止条件付契約であっても「契約」は成立している>
「停止条件付契約」でも契約は成立しているので、ABは条件が成就する前(=が宅建試験に合格する前)でも、解除の事由がなければ一方的に契約を解除することはできない

 

条件が成就する前でも、通常の権利と同様に、その権利を「処分」「相続」「保存」またはそのために「担保の提供」をすることができるのでB は、他の者に甲地を譲渡する契約や、担保にしたりすることができる
条件が成就することにより、不利益を受ける当事者が「故意」により条件成就を妨げれば、その条件が成就したものとみなされる

(逆に、条件の成就によって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、条件が成就しなかったものとみなされる)。

もし、Bが、試験場に行けないようにAが「故意」に邪魔をした場合、Bはその条件が成就したものとみなし、Aから甲地の引渡しを求めることができる

 

<停止条件付契約は、条件が成就するまでは「効力」は生じていない>
ポイント①停止条件付契約は、契約は成立していても、その「効力」は条件が「成就」してからとなる

② 停止条件付契約の効力は、条件が成就してから生じるので、条件が成就する前は、たとえBが甲地の引渡しを要求

しても、A は引き渡さなくてよい

 

 

 

 

 

 

契約総論 ③ 債務不履行

チェック項目
「債務不履行」の「成立要件」と「その効果」は?

 

1. 債務不履行の成立要件と「効果」

①  債務者が正当な理由もなく、債務を履行しない場合があります。これを債務不履行といいます。債務不履行には、「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」の3種類があり、いずれも債務者の責めに帰すべき事に により、債務を履行しない場合に認められます。

 

② この債務者の責めに帰すべき事由は、契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして判断します。

③ 「債務者」が債務不履行の責任を免れるためには、その不履行が自己の責めに帰すべき事由でないことを立証しなければなりません。

④ 債務不履行があった場合、契約を「解除」したり、「損害賠償」の請求をすることができます。

 

 

 

 

 

2. 「債務不履行」による解除の方法
債務不履行による契約解除は、一方的に契約が初めからなかった状態にする行為です。この解除については、下記のポイントを押さえておきましょう。

①  この解除権の行使は、相手方に対する一方的意思表示によって行い、 相手方に「到達」したときに「効力」が生じます。

②  契約の当事者の一方または双方が数人いる場合には、その「全員」から、または「全員」に対して解除の意思表示をしなければなりません。

③ いったんなされた解除の意思表示は「撤回」することができません。 また、解除がなされると、契約は遡及的に(=さかのぼって)なくなります。つまり、白紙状態になるのです。最初から契約がなかった状態に なるのですから、互いに「原状回復」する義務を負うことになります。

④  返還すべきものが「金銭」の場合には、受領の時からの「利息」を付けて返還しなければなりません(解除の時からではない)。

⑤ 契約の当事者が契約を解除しても、目的物がすでに第三者に移転している場合、その「第三者」に対してその返還を求めることはできません (この「第三者」には、「善意」・「悪意」は関係なく、対抗できません)。

・「不動産」の場合には、第三者の善意・悪意を問わないが、対抗するためには「登記」が必要となります。

 

 

 

 

[債務不履行の形態]

 

 

履行遅滞内容「履行遅滞」とは、履行期に履行が可能であるにもかかわらず、債務者の責めに

帰すべき事由により、履行期にその履行がなされない場合である

・「債務者」に「同時履行の抗弁権」がないことも要件となる

 

ポイント履行遅滞の時期 法改正
① 確定期限の債権の場合は、期限の到来した時より

遅滞となる (12月8日が期限とすれば、12月8日を過ぎれば遅滞となる)

②   不確定期限の債権の場合は、債務者が期限到来後、履行の請求を受けた時、または期限の到来を債務者が知った時のいずれか早い時より遅滞となる

(Aが死亡したときに借金を返済するとした場合は、Aの死亡を債務者が知った時より遅滞となる)

③ 期限の定めのない債権の場合は、債権者が履行を催告した時より遅滞となる

 

効果・相当な期間を定めて催告し、その期間内に履行されなければ解除することができる。

なお、定期行為は催告をしないで解除できる

・解除するときでも、損害があれば損害賠償請求もできる

・解除するためには、自らの履行も「現実に提供」しなければならない

履行不能内容「履行不能」とは、債務者の責めに帰すべき事由により履行期に履行が不能となる場合
効果・催告なしに解除ができる

・損害があれば、解除と併せて損害賠償の請求もできる

 

 

 

 

 

 

 

[履行遅滞と履行不能の相違]

 

「履行遅滞」と「履行不能」は、ともに解除権が発生するが、下記の点に注意!
相違① 履行遅滞により解除するときは、催告して解除しなければならない

②  履行不能の場合は、直ちに解除することができる

ポイント債務不履行・履行遅滞

損害賠償

・履行不能

 

 

 

 

 

契約総論  ④ 手付

チェック 「手付」による解除は「どのように行う」?

 

1. 解除の種類
解除事由には、「債務不履行」などにより発生する「法定解除」のほかに、「手付金を放棄」することによる解除や、買戻しするときの解除など、契約の当事者の間で定める「約定解除」があります(その他、「合意解除」もある)。

 

 

 

2. 「手付」による解除
通常、売買契約時に買主が売上に「手付金」を交付します。この金銭の交付目的は、「証約手付」「違約手付」「解約手付」の3つといわれています。
「どの内容」にするかは当事者で定めますが、何も当事者間で定めなければ、民法では「解約手付」と推定されます。

 

① 「解約手付」とは、「買主」は「手付さえ放棄」すれば相手方に債務不履行がなくても、契約を解除することができるというものです。したがって、債務不履行とは異なり、損害があっても損害賠償はできません。

 

②「売主」も受領した手付の「倍返し」をすれば、やはり、契約を解除することができます。なお、手付を倍返しする場合、その金額を現実に提供しなければなりません。

 

3. 手付による解除は「いつまで」することができるのか?
「解約手付」による契約の解除は、いつまでもできるわけではありません。手付が交付された場合、当事者の一方は「相手方が契約の履行に着手するまで」に行 う必要があり、相手方が履行に着手した後は手付による契約の解除はできません。 ここでは、下記の2点に注意してください。

① 「相手方」が履行に着手した後は「自分」から解除できなくなります。

「自分」が履行に着手していても、「相手方」が履行に着手していなければ、 「自分」からは解除することができます。 この具体的な内容は、下頁の事例を見て押さえましょう!

 

 

 

 

 

[試験の落とし穴]
(手付の内容を定めず「不明」な場合は、「解約手付」と推定される)

①  契約締結の証拠として、授受される証約手付

②  債務不履行の場合に没収されるという趣旨で交付される違約手付

③ 解除権を留保する目的で交付される解約手付

 

 

 

 

[手付による解除]
<AまたはBが「手付」による「解除」を行う場合>

事例1.

売買契約
・「手付」の倍返しによる解除ができる
――――――――→
(売主)A          B(買主)
価格1.000万円
←――――――――手付金・200万円
・「手付」の倍返しによる解除ができる

解説
①    Bが契約を解除したいときは、Bは手付金200万円を放棄すれば解除できる。またAが契約を解除したいときは、手付金の「倍額」400万円を支払えば解除
できる
②   「手付による解除」を行う場合、手付を放棄してもまだ損害が残るときであっても、損害賠償を請求することはできない

 

 

 

 

[いつまで「手付による解除」ができる?]

事例2.
売買契約
・手付による倍返しによる解除ができない
(売主)A ―――――――――――→ B(買主)
価格1.000万円
①←―――――手付金・200万円
②←―――――中間金・500万円

解説

(売主Aから解除できる?)
①  Bが契約後さらに中間金500万円を支払った場合(=Bが履行に着手したことになる)には、Aは、もはや倍返しの400万円を支払っても解除はできない

(買主Bから解除できる?)
② Bが履行に着手した場合でも、Aから登記の移転などをしてもらっていなければ(=Aが履行に着手していない場合)、Bからは、まだ手付を放棄すれば 解除することができる 「自分」が履行に着手していても、「相手方が履行に着手していなければ、自分からはまだ解除することができるので「ひっかけ」に注意!

 

 

 

 

 

 

契約総論 ⑤ 損害賠償

チェック項目
「損害賠償額の予定」とは?

1. 損害賠償

「債務不履行」となった場合、その責任追及手段として、前述の契約に解除のほかに、損害賠償の請求をすることができます。しかし、仮に損害賠償の請求ができるとしても、一体どれだけの請求ができるのでしょうか?
①  損害賠償の「範囲」は、債務不履行により通常生じるであろう損害と定めています。しかし、「特別の損害」でも、当事者がその事情を予見すべきであった場合には、その損害の賠償請求もできます。

② 「金銭債務」については特別の規定があるので、下頁のポイントの内容を押さえてください。

 

 

損害賠償額の予定
①  債務不履行により損害賠償請求をする場合、「損害が発生したかどうか」「いくらの損害が発生したか」 ということを債権者が立証しなければなりません。しかし、債務不履行があれば、損害の発生や損害額を証 明しなくても最初に決めた損害額を請求できる制度があります。これが 「損害賠償額の予定」です。

 

②  この損害賠償額の予定と似たものとして違約金があります。この「違約金」は損害賠償額の予定と推定され、「損害賠償の範囲」は、違約金の額となります。 ③ 損害賠償額を予定すれば、実際の損害がその予定額より多くても少なくても変えることはできず、いくら実損額を証明しても、合意する場合を除いて、裁判所でも損害賠償予定額を「増減」することはできません。

 

 

 

 

過失相殺
①   過失相殺とは、債務不履行があった場合、債権者にも不注意があった (=過失があった)ため損害が発生したり、または損害の範囲が拡大したときには、裁判所は、これを考慮して、損害賠償額を減額したり、場 合によってはゼロにすることもできるというものです。
②  「債務不履行」の場合、この過失相殺は、債務者の主張がなくても、裁判所は「職権」ですることができます。

[金銭債務の特則]
原則
債務不履行が成立するためには、債務者に「故意・過失」が必要であり、不可抗力については責任を負わないのが原則

金銭債務の例外
①  「金銭債務」については、債務者に故意過失がなくても、債務者は損害賠償責任を負う

②  これは不動産の売買のような場合には、その物が滅失すると、その目的物の引渡しが不能になるが、金銭の場合には履行不能となることはなく、単に「遅れた」という履行遅滞となるだけになる

ポイント

<「金銭債務の不履行」については、下記のように規定されている>
①  金銭債務の不履行は、不可抗力をもって対抗することができない (=債務者の故意または過失はいらない)
②  金銭債務の場合は、債権者は損害を証明しなくても、単に履行遅滞となり、債権者は法定利息年3%の請求ができる

結論
要するに、金銭債務には言い訳は許されず、遅滞があった場合は、その分の利息を支払わなければならないということ

[試験の落とし穴]
<「損害賠償金の額」と「違約金」は民法と宅建業法では異なる>
①    民法では、損害賠償金の額に制限はない
②   宅建業法では、宅建業者が自ら売主8種制限となる場合、 「損害賠償の予定額」 と 「違約金」との合算額は代金の2/10が限度となる。

 

 

 

 

 

 

契約総論 ⑥ 危険負担

チェック項目 「危険負担」とは?

1. 原始的不能
① 「原始的不能」とは、例えば、家屋の売買契約の「前日」において、すでに目的の家屋が焼失していた場合、売主は契約当初から家屋を買主に引き渡せません。これを「原始的不能」といいます。

 

② 原始的不能となった場合、売主の債務は履行できないので、買主は履行不能による契約解除、損害賠償請求ができます。

 

2.  履行不能

「履行不能」とは、債務不履行の一種であり、債務者の責めに帰すべき事由により履行ができない場合です。
契約の相手方は、その債務が履行できないのであれば、「契約解除」や「損害賠償の請求」をすることができます。

 

 

3. 危険負担 
① 「危険負担」とは、双務契約において、「契約成立後その履行完了前」に、一方の債務が「債務者の責めに帰すことのできない事由」によって履行不能となった場合、残った一方の債務を「誰が危険負担するのか?」ということです。

②  危険負担の場合。「売主」(債務者)が負担します。つまり、買主(債権者)は、売買代金(反対給付)の支払いを拒むことができます。

 

 

[試験の落とし穴]
<原始的不能・債務不履行・危険負担>
例)・建物が滅失したときの、滅失時期

(債務不履行・売主に過失あり)
(契約)      (引渡し)
―――――――|―――――――|――――――→
(原始的不能) (危険負担・売主に過失なし)

 

 

 

 

 

[原始的不能・履行不能(債務不履行)・危険負担の関係)]

A所有の家屋を2,000万円でBに売却する契約をし、家屋が焼失したら「どうなる」 ?
「原始的不能」「履行不能」「危険負担」について考えてみよう。

事例
売主               買主
A   ―――――――――――→ B
2.000万円

 

 

① 原始的不能

(契約の前日にAの家屋が焼失していた場合)

(効果) →履行不能による損害賠償が可能

上図のように、Aが所有する家屋をBが2,000万円で購入する売買契約を締結した場合、もし、「契約成立時」にすでに家屋が消失していた場合

家屋を渡せず「原始的不能」となり、Bは契約解除、損害賠償請求が可能となる

 

 

 

 

 

② 債務不履行
(契約後、引渡し前にAの過失で焼失した場合)

(効果) → A は債務不履行責任を負う

契約成立後、Aの寝タバコ等(過失)により焼失した場合

Aは債務不履行責任(=履行不能)を負い、BはAに「契約解除」、「損害賠償の請求」ができる

 

 

 

③ 危険負担
(契約後、引渡し前に AB 双方の過失なく焼失した場合)
(効果) →Bは売主 A に対して代金の支払いを拒絶できる

契約成立後、Aの過失なく焼失した場合

危険負担の問題となる。この例ではBがAに対して代金の支払いを拒絶することができる (履行不能を理由とする解除も可能)

 

 

 

代理 ① 代理の基本的事項

チェック項目
・ 代理人は「誰が」なれる?

・「どのような権限」がある?

 

1.  代理
①  契約などの法律行為は自分自身が行い(行為)、その結果(効果)も自分自身に返ってきます。しかし、下記のような場合には、その法律行為を他の者に依頼することになります。

a.  未成年者など、法律的に行為が制限されている者に代わって行う
b . 専門家が本人に代わって行う(不動産の売却など)

 

 

このように代理とは、「代理人が本人のためにすることを示して相手方に意思表示(行為)をし、または意思表示を受けることによって、その「効果」を直接本人に帰属させる制度」をいいます。 上記 a を「法定代理」、b を「任意代理」という。

 

 

 

2. 代理人
代理人は「誰が」なれるのでしょうか?

任意代理であれば、「未成年者」 でもなることができます。つまり、不利な契約をしてもその効果は本人に帰属し、代理人である未成年者は何ら損害を被らないからです。 未成年者の代理行為について、「本人」は代理人が未成年者であることを理由に、契約を取り消すことはできない。

 

3. 代理人の権限と消滅

①  代理人の権限
代理権は与えられているが、「代理権の範囲を定めていなかった」または「不明」なとき、代理人には「どこまで」の代理権限があるのでしょうか?
この場合、代理権の範囲は下頁のように定められています。

②  代理権の消滅

任意代理の場合は、「委任の終了」によって代理権は消滅しますが、下記の事由によっても当然に消滅します。

本人の事由|死亡、破産手続開始の決定
代理人の事由|死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判
・「本人」が、後見開始の審判を受けても代理権は消滅しない!

[代理の流れ]

「代理」とは

(本人)
A
① ↓  ↖③
B ―――→C(相手方)
(代理人)  ②

 

代理権の授与行為(上図①)
AがBに委任状等を交付するなどして代理権を与えること (この代理権がなければ無権代理行為となり、効果は本人に帰属しない)

 

代理行為(上図②)

BはCに対して「自分はAの代理人B」である旨を表示(=顕名) (この意思表示がなければ、原則として、本人Aに契約の効果は及ばない)

代理効果(上図③)

代理行為の効果は、代理人Bではなく、本人であるAに直接帰属する

 

 

 

 

[代理人には「どのような権限」があるのか?]

内容具体例
保存行為財産の現状を維持する行為家屋を修繕するための契約など
利用制限財産について収益を図る行為土地や建物の貸付けや現金を預金するなど
改良行為代理の目的物や権利の価値を増加させる行為電気・ガス設備の取付けなど
注意「利用行為」「改良行為」については、代理の目的物や権利の性質を変えない範囲で認められている

 

 

 

 

 

代理 ② 代理の「行為」と「効果」

チェック項目
代理の「瑕疵」とは何か?

①  顕名主義(行為の問題)
代理人が「代理行為」を行う場合、 代理人は「本人」 のためにすることを示して行わなければなりません。簡単にいえば、「私は○○の代理人として来ました」と示すのです。

 

代理人が「本人の代理人」であることを示さなかった場合、「相手方」が知っていたか(悪意)、または知り得る状態であったとき(有過失) 外は、代理の効果は本人には帰属せず、 代理人自身の行為とみなされます 。

  •  「相手方」が本人の代理人であることについて、知っていた場合 (悪意)または知り得る状態であった場合(有過失)
    →「本人」との契約となる(下事例では、ACの契約となる)
  • 「相手方」が本人の代理人であることについて、「善意無過失」の場合 「代理人」との契約となる(下事例では、BCの契約となる)

 

②  代理行為の瑕疵(効果の問題)
「代理」とは、「行為」は代理人が行い、「効果」は本人に帰属する制度です。

したがって、代理行為に瑕疵があった場合、下記のようになります。

  1. 代理行為に詐欺や強迫等があったか否かは、「行為」に関することなので、「代理人」について判断します。
  2. 代理行為の結果として、その「効果」は「本人に帰属」します。

・取消権や解除権等の「効果」は「本人に帰属」する(=本人が取消し等ができるのであって、代理人ができるのではない)。

③  代理行為の瑕疵の具体例
代理行為の具体例として、下頁の事例・代理行為の瑕疵を見ながら説明しましょう。

もし、代理人BがCに欺さ(だまさ)れて契約した場合、詐欺があったか否かは、代理人Bについて判断します(行為の問題)。

その結果、詐欺であれば、 本人Aが契約を取り消すことができるのです(効果の問題)。

 

ただし、特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人自身が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人が悪意や有過失であれば、「代理人」が知らなかったことを主張できません。

[顕名主義]

事例(1)

(本人) A
|   (顕名)
(代理人)B ―――――→ C(相手方)

解説
顕名主義
Bが代理行為を行う場合、BはCに対して「Aの代理人B」である旨を示さなければならない

問題点
代理人Bが本人Aの代理人であることを名乗らずに相手方Cと契約した場合(=顕名しなかった)、相手方CがBに代理権があることに「善意無過失かどうか?」により、下記のように効果が異なる

・相手方Cが善意無過失の場合
BとCの契約となる(=代理人との契約)

・相手方Cが悪意、または有過失の場合
AとCの契約となる(=本人との契約)

 

 

 

 

 

[代理行為の瑕疵]

事例(2)

(取消権はAにある) →      A(本人)


(詐欺か否かはBで判断する) B←――×―――C(相手方)

(詐欺)

解説
①    相手方Cが代理人Bと契約した場合、「詐欺があったか否か?」については「行為」に関する問題であり、「代理人Bについて判断する」

② 詐欺であることが判明したときは、詐欺に基づく取消権は代理人Bではなく、取り消すか否かは「効果」に関する問題であり、「本人Aが主張することができる」ことになる

 

 

 

 

 

 

 

代理 ③ 復代理

チェック項目
代理人は「どのような場合」に選任できるのか?

1. 自己契約・双方代理
「自己契約」とは、代理人が相手方になることをいい、「双方代理」とは双方の代理人であることをいいます。

 

どちらも原則として「無権代理」
となり、その契約の効果は本人に帰属しません。しかし、「本人の許諾」がある場合、単なる 「債務の履行」は許されます。

 

 

2. 復代理人の立場
「代理」とは、代理人が他の者をさらに代理人として「選任し、代理人の権限の範囲内で代理行為を行わせることをいいます。この選任された者を「復代理人」といい、下記のような立場となります。

①  復代理人は代理人の代理ではなく「本人の代理人」です。したがって復代理人の行為は直接「本人」に帰属します。

② 代理人が復代理人を選任しても、代理人の代理権は「消滅」しません。

③ 復代理人の権限は代理人の代理権の範囲内であり、復代理人は代理人以上の権限はありません。
・代理人の代理権が「消滅」すれば復代理人の代理権も「消滅」する。

 

3. 復代理人の「選任」
復代理人はどのような場合に「選任」できるのか?

①   法定代理の場合、法定代理人は常に復代理人を選任できます。

② 任意代理の場合は、下記の「いずれか」であれば、復代理人を選任できます。
a.   「本人の許諾」を得たとき
b.   「やむを得ない事由」があるとき

 

 

4. 代理人の責任       法改正

復代理人の行為について、代理人は「どのような責任」を負うのか?

① 「法定代理」の場合、復代理人を常に選任できる代わりに、復代理人の行為 について全責任を負います。ただし、やむを得ない事由で選任した場合、 責任は選任と監督だけ負います。

② 「任意代理」の場合も、復代理人の行為について「全責任」を負います。また、法定代理とは異なり、やむを得ない事由で復代理人を選任しても、「全責任」を負います。

この内容については「下項」の事例を用いて覚えてください。

 

 

[自己契約・双方代理とは]

自己契約
A (本人)

B(代理人)ー-C(相手方)

 双方代理

契約
A―――――C
\  /
B
(・A の代理人
・C の代理人)

 

 

 

原則
① 「自己契約」や「双方代理」は、原則として「禁止」されている

② 違反した場合は、「無権代理」となり、契約の効果は本人に帰属しない
例外
自己契約や双方代理は、下記の場合は許される(有効な代理行為)
a   本人があらかじめ許諾している場合
b  本人に不利益を生じさせない単なる債務の履行(移転登記の申請など)

 

 

 

 

[任意代理人の責任]

事例

A(本人)
| ↓
|(責任追及)
↓        代理行為
B(代理人)――――――→C(相手方)
|   ↓
|(復任権) ↗
D (復代理人)

 

 

責任

 

法定代理・法定代理人は、復代理人についての

「全責任」を負う

・やむを得ない事由により復代理人を選任

したときは、「選任・監督」 だけ責任を負う

 

任意代理・任意代理人は、復代理人についての

「全責任」を負う

(=債務不履行の要件を満たす場合に責任を負う)

 

 

 

 

 

 

 

 

代理 無権代理

チェック項目
無権代理人が行った行為はどうなる?

  1.  無権代理
    追認
    ①  無権代理とは、代理権がないのに代理人と称して代理行為を行うことをいいます。
    本人が知らない間になされた代理行為、つまり無権代理人が行った行為は無効(効果の不帰属)となります。

② 無権代理行為について、本人が「それでもよい」 と言えば有効な代理行為となります。この行為を「追認」といいます。無権代理人の行為を本人が追認すれば最初から通常の代理行為となります (遡及効)。

 

③「追認」は「無権代理人」でも「相手方」でも、「どちらに対しても」することができます。

④ 「本人」は「追認」することも、追認を「拒絶」することもできますが、「下頁」の事例のように、追認を拒絶できなくなることもあります (下頁の事例は、重要な「判例」なので覚えておこう!)。

 

 

  1. 無権代理(相手方の保護)

「無権代理人」と取引した「相手方」はどうなるのでしょう? 民法では、 無権代理人の相手方に対し、下記のような権利を認めています。
①   催告権
相手方は「本人」に対し、相当な期間を定めて追認するかどうかについて「催告」することができます(相手方が「悪意」でもできる)。
期間内に確答がない場合は、追認を拒絶したことになる。

 

 

②   取消権
相手方が「善意」であれば契約を「取り消す」ことができます。ただし、これは本人が追認する「前」にしなければなりません。
本人が無権代理人に対して追認の意思表示を行っても、相手方が 「善意」であれば、相手方はまだ取消権を主張することができる。

 

③ 履行の請求または損害賠償請求
相手方が「善意無過失」であり、かつ、無権代理人が本人から追認を得られなかった場合、無権代理人に対して「履行の請求」または「損害賠償の請求」をすることができます。 無権代理人が制限行為能力者のときには、この請求はできない。

 

[追認?それとも追認拒絶?]
事例
(本人)
(親)A       ①A(親)が死亡した場合(=本人が死亡)
|     ②B(子)が死亡した場合(=無権代理人が死亡)


(子)B
(無権代理人)―――――→C(相手方)

 

①Aが死亡

(親が死亡)

 

 

a  無権代理人Bが本人Aを「単独」で相続すれば、

「追認」したことになる。

つまり、自分(=無権代理人)のしたことは、拒絶できないということ。

 

・「無権代理人」が本人を単独で相続→追認となる

b 「無権代理人」Bが本人Aを他の共同相続人

とともに「共同」で相続するときは、

無権代理行為の追認は「共同相続人全員」が

行わなければならない

・他の共同相続人全員が追認しない限り、

無権代理人の相続分 についても当然に有効とはならない(判例)

②Bが死亡

(子が死亡)

 

 

a 「本人」 Aが無権代理人Bを「単独」で相続した場合、

追認を「拒絶」することができる。

つまり、子の行為を追認しなくてもよいということ

・「本人」が無権代理人を単独で相続→拒絶できる

b上記の場合でも、本人が無権代理人の地位を

相続したことになるので、相手方は無権代理人を相続し

た本人に対して、無権代理人の責任を追及することができる

 

 

[無権代理人の相手方に対する、保護規定]・参考資料

相手方が悪意相手方は善意相手方が善意無過失
催告権
取消権×
履行の請求または損害賠償請求××

 

 

 

 

 

代理 ⑤表見代理

チェック項目
・本人の「帰責事由」+相手方が「善意無過失」=表見代理

1.  表見代理と無権代理
「表見代理」とは、相手方に対して「表向き」は代理権があるようにみえるが、実際には代理権がないという 「無権代理」の一種です。

 

 

2. 表見代理の「効果」
「表見代理」は、通常の無権代理と異なり、本人にも代理権があると思わせたという責任(帰責事由) があるので、「本人」にも責任が及びます。したがって、表見代理が「成立」すると、通常の無権代理とは異なり、有権代理と同じように「有効」な契約となります。

 

 

3. 表見代理の「成立」する要件
表見代理には下記の「3パターン」があります(具体例は下項目を参照)。

①     代理権代理権授与表示による表見代理(下頁パターン1)
代理権を与える旨の表示はしたが、実際には表示した代理権を与えていなかった場合、相手方は「善意無過失」(正当な理由がある)であれば、 表見代理を主張することができます。

② 代理権限外の行為の表見代理(下頁パターン2)
何らかの代理権を与えられているが、その代理権の範囲を越えて代理行為を行った場合、相手方は「善意無過失」であれば、表見代理を主張することができます。

③ 代理権消滅後の表見代理(下頁パターン3)
いままであった代理権が消滅したにもかかわらず、代理権消滅後もその者が代理行為を行った場合、相手方は「善意無過失」であれば、表見代理 を主張することができます。
<表見代理が「成立」した場合> 表見代理が成立する場合でも、相手方は通常の無権代理を主張することもできる。つまり、「選択適用」できる(判例)。

[表見代理の「3つ」のパターン]
事例

A(本人)


|   売買契約
B――――――――――→C(相手方)
(無権代理)

 

解説
(パターン1)     代理権授与表示の例

AはCに対して、A所有の建物の売却についてBに代理権を与える旨の表示をしたが、実際は与えていなかった
→Cは、そのことを知らされず、また、過失なくBと売買契約を行った

(パターン2)    代理権限外の例
AはBに建物を担保として抵当権を設定することの代理権を与えていたが、BはCと、この建物の売買契約を行った
→Cはそのことを知らず、また知らないことに過失もなかった(正当な理由がある)

(パターン3)    代理権消滅後の例
Aは法人であり、BはA社の代表取締役であったが、すでに辞任していた。
その後、BはCとA社の建物の売買契約を行った。CはBがA社を辞めたことについて知らされていなかった。
→CはBがA社の代表取締役であると過失なく信じていた

 

 

 

 

[表見代理権の成立する「公式」]

要件①   代理権授与の表示を行った場合

②   代理権限外の行為を行った場合

③   代理権消滅後に行為を行った場合

 

+相手方が善意無過失=表見代理

 

効果・表見代理を主張する(本人に対して引渡し等を主張)

・表見代理を主張せず、無権代理の権利を主張

 

 

 

 

 

意思表示 ①意思の不存在

チェック項目
「意思の不存在」による契約はどうなる?

1.  意思表示
契約は「申込み」と「承諾」によって成立します。この申込みや承諾は「意思表示」です。つまり、意思表示とは、内心の「意思」を外部に「表示」することをいいます。ここでは、意思の不存在と瑕疵ある意思表示について学習します。

 

 

 

2. 意思の不存在
「意思の不存在」とは、売るつもりはないのに、「売ります」と言って契約する場合などをいいます。つまり、意思表示の「意思」が欠けているということです。 意思の不存在は、「心裡留保」「虚偽表示」「錯誤」の3つがあります。それぞれ下記の事例を用いて説明します。

事例A所有する建物をAからB、さらにBからCに転売した後に、

AB間の売買契約に「意思の不存在」があった場合

ポイント<下記の「2点」に重点を置いて、下項に当てはめながら理解してください>

① AB間の契約は「無効か有効か」又は「取消しできるか否か」(=当事者間の問題)

② AB間の契約無効取消しの場合、「第三者C」 に対抗できるか否か

 

 

 

①  心裡留保
心裡留保とは、表意者が自己の「真意ではない」ということを知りながら行う意思表示です(下頁事例(1))。
例)売るつもりもないのに冗談で売るといったような場合です。

② 虚偽表示
虚偽表示とは、真意と違う内容を相手方と「通じて」行う意思表示です。
例) Aが債権者からの差押えを免れるために、Bと示し合わせてAB間で仮装売買を行うような場合です(下頁事例 (2))。

③ 錯誤
錯誤とは、「勘違い」のことですが、上記の①②とは異なり、本人は意思が欠けていることを知らずに行う行為です(下頁事例 (3))。

[心裡留保の場合]   事例(1)

(無効)
A―――――――→B―――――――→C
売買       売買

 

当事者間
・Bが普意無過失の場合は「有効」となる。
・Bが悪意または善意であっても有過失の場合は「無効」となる。

第三取得者
・AB 間が無効となった場合、Cが善意であればAはC に対抗できない。

 

 

[虚偽表示の場合]   事例 (2)

 

(無効)
①A――――――→B――――→C―――――→D(転得者)
売買  売買      (善意)  売買  (悪意)

 

 

(無効)
②A――――――→B―――――→C―――――→D(転得者)

売買  売買      (悪意)  売買   (善意)

当事者間
上記①、②ともにAB間の契約は「無効」となる。

 

 

第三取得者
・ Cが善意であれば、AはCに対抗できない
・ Cが善意であれば、たとえCに過失があっても、また、登記や引渡しがなくても、AはCに対抗できない

 

転得者
・上記①の場合、Cが善意なので、AはDが悪意であっても対抗できない
・上記②の場合、転得者Dは善意なので、やはりAはDに対抗出来ない

 

 

[錯誤の場合]   事例(3)

(取消し)
A――――――→B―――――――→C
売買    売買   (善意)

当事者間
表意者A(=勘違いした者)は、下記①、②の要件を満たせば、錯誤による取消しができる

① 「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものの錯誤」であれば取消しできる
②「動機の錯誤」の場合、法律行為の基礎とされた事情が表示されていたときに限り取消しできる

 

 

 

下記の場合、錯誤による「取消し」はできない
①  表意者に重大な過失があれば「取消し」できない
② 相手方が表意者と「同一の錯誤」に陥っていれば「取消し」できない

 

第三取得者
AB 間の契約が錯誤により取り消された場合、AはCが善意無過失であれば、この取り消しをCに対抗できない

 

 

 

 

意思表示  ② 瑕疵ある意思表示

チェック項目
「第三者による」詐欺・強迫とは?

1.  瑕疵ある意思表示 法改正
瑕疵ある意思表示とは、下項図1のように、Aが自己所有する建物の契約が、相手方Bの「詐欺」「強迫」によりなされた場合です。この詐欺・強迫については、下記の「2点」について押さえてください

①   当事者間(AB)の契約はどうなる? (下項図1)
民法では「詐欺」または「強迫」でなされた契約は「取り消す」ことができるとしています(無効ではない点に注意)

② 契約が取り消された場合、「第三者」(C)はどうなる?(下項図2)

  1. 契約が取り消された場合、その目的物が第三者Cにすでに転売されていたときは、第三者が「悪意」であれば、詐欺・強迫のいずれであっても、第三者に対抗することができます。
  2.  第三者Cが「善意かつ過失がない」とき、「強迫」は第三者Cに対抗できますが、「詐欺」のときは第三者Cに対抗することはできません。

 

2. 第三者による詐欺・強迫
詐欺や強迫によってなされた契約は、その当事者間において「取り消す」ことができます。しかし、その「詐欺」や「強迫」が取引の相手方によるものではなく、「第三者」による「詐欺」や「強迫」であった場合、その「契約は取り消すことができるのか?」という問題が生じます。これが第三者による「詐欺」「強迫」の問題です。この場合、下記のようになります。(下頁図3)

 

①   第三者による「詐欺」の場合、相手方Bが悪意又は有過失であれば、Aは取り消すことができますが、善意無過失のときはできません

②  第三者による「強迫」の場合、相手方Bが善意・悪意を問わずAは契約を取り消すことができます。

 

 

 

<制限行為能力者・詐欺・強迫などの取消権には時効がある!!>
「取消権」には時効が適用され、追認可能となってから「5年」、または行為の時より「20年」経過すると消滅する。

[詐欺・強迫による契約]

図1

詐欺
―――→
A       B
←―――
契約
・Aは契約を取りすことができる

強迫
―――→
A       B
←―――
契約
・Aは契約を取りすことができる

 

 

[善意の第三者との関係]
図2

①  詐欺
―――→    転売
A       B ――――→ C 善意無過失
←―――
契約
|______________↑
所有権の返還×
Cが善意かつ無過失であれば、AはCに所有権の返還の主張はできない


強迫
―――→    転売
A       B ――――→ C 善意無過失
←―――
契約
|______________↑
所有権の返還〇
Cの善意・悪意を問わず、Aは所有権の返還の主張ができる

 

 

[第三者による詐欺・強迫]

図3

① C
|詐欺

A――――→B
契約
<第三者による詐欺>
・Bが悪意又は過失があれば、Aは契約を取り消すことができる
・Bが善意無過失であれば、Aは契約を取り消すことができない!

 

<第三者による強迫>
C
|強迫

A――――→B
契約

Bの善意・悪意を問わず、Aは契約を取り消すことができる

 

 

 

 

 

 

意思表示 ③取消しまたは無効と第三者との対抗関係

チェック項目
「第三者との関係」について理解しておこう!

1.  公序良俗に反する契約
公序良俗に反する契約とは「公の秩序、善良の風俗に反する契約」であり、賭博行為や談合などの社会的に妥当性が認められない契約のことです。このような契約は「無効」となります。
・公序良俗違反の無効は「善意の第三者」にも対抗することができます。

 

2. 契約の当事者間のまとめ
契約に様々な法律事由が生じた場合、「無効・有効」あるいは「取消し」という効力が生じます。ここでは、「どの理由」が「どのような効果」に結びつくのかについて「下頁」の事例にまとめているので押さえておこう。
・第三者が「善意」であれば、「対抗できる」場合と、「対抗できない」場合に分かれる。

 

3.善意の第三者との対抗関係のまとめ
契約の当事者間に「無効」や「取消し」がなされた場合、 その目的物がすでに転売されていれば、その者(第三者)に対して対抗できるのか?については、下頁の事例でまとめて覚えておきましょう。
・第三者が「善意」であれば、「対抗できる」場合と、「対抗できない」場合に分かれる

 

4. 「虚偽表示」における「第三者」とは
相手方と通じてなした「虚偽表示」は、「善意の第三者」には対抗できません。この第三者とは、当事者や相続人以外のすべての者ではなく、虚偽の当事者以外のものであり、「その目的について法律上利害関係を有するに至った者」をいいます(判例)。ここでは、下記の判例を覚えよう。

 

 事例.
  Aが所有する甲地を、AとBが仮装売買し、Bに移転登記した場合

(第三者に該当する者)
・ Bから売買契約で甲地を取得したC
・ Bの債権者で甲地を差し押さえたC
(第三者に該当しない者)
・ Bの土地と信じて、Bに金銭を貸し付けたC
・ Bが甲地に建物を建て、その建物を借りているC

 

 

 

 

 

[第三者の対抗関係のまとめ]
事例
A――――×―――→B―――→C善意
↑取消しまたは無効

[第三者の対抗関係まとめ表]

理由契約の当事者間善意の第三者
制限行為能力者取消しができる対抗できる
錯誤取消しができる・善意かつ無過失

(対抗できない)

詐欺取消しができる・善意かつ無過失

(対抗できない)

強迫取消しができる対抗できる
心裡留保有効(例外で無効)対抗できない
虚偽表示無効対抗できない
公序良俗違反無効対抗できる
債務不履行(下記)解除対抗できない

 

<「第三者に対抗できない」=「第三者は対抗できる」ということ!>

事例.

対抗できる  (②)
↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

 詐欺
A  ――×―→ B ―→ C善意無過失

契約
|________________↑
対抗できない(①)

上図①  AB間の契約を詐欺を理由として取り消した場合、それを「A」は 善意無過失の第三者である「C」に対抗することができない。
上図②  これを逆にいえば、善意無過失の第三者である「C」は、取消しを主張する者「A」に対して対抗することができる。

 

 

民法とは

チェック項目
「基本的な用語」をまず押さえておこう!

  1.  宅建試験で出題される「権利関係」とは?
    宅建試験で出題される「権利関係」は、民法だけでなく、民法を補完する法律(特別法)も出題されます。宅建試験の特別法は「借地借家法」が2問(借地関係と借家関係各1問)、「区分所有法」が1問、「不動産登記法」 が1問が例年出題されています(民法10問 特別法4問)。

 

「任意規定」と「強行規定」

①  任意規定は、当事者間において法律と異なる取決めをすることができる規定を指しますが。強行規定は、その法律上の定めに従わなければならない規定を指します。

② 「民法」では、任意規定が多いので、「特約」を定めるものがありますが、特別法である借地借家法は強行規定なので、当事者間で「借主」に 不利な特約は「無効」となります。

 

 

 

 

  1.  民法の学習方法

①   法律の学習では、まず最初に基本的な「法律用語」を押さえる必要があります。条文や判例を覚える以前に、その言葉が「何を説明しているのか?」がわからなければ、条文を正しく理解することはできません。

②  法律の学習では、「何が問題なのか(論点)」を把握することが最も重要です。もし、何も問題がなければ法律が登場する余地はないのです。

③  法律上の問題が把握できれば、最後にその問題について、「条文」や 「判例」では「どのように」定めているのかを覚えればよいのです。

 

 

 

「用語」を理解する(下表の「重要用語」を説明できるようにする)

「問題点」を把握する(何が問題(論点)かを把握する)

「条文・判例」を覚える(条文や判例を理解し、覚える)

本年度の試験より「民法」が大幅に改正されています。特に重要な改正には法改正の印をつけています。

 

 

 

 

 

 

[重要用語]

善意と悪意・ 法律上の「善意」とは、ある事実や事情について「知らない」ということ

・「悪意」とは、ある事実や事情について「知っている」こと

・「善意の第三者とは、その事情などは知らない第三者のこと

 

故意と過失・ 「故意」とは「わざと」ということ

・「過失」とは「不注意で、落ち度で」という意味

 

・過失には「軽過失」と「重過失」がある

 

 

天然果実と法定果実・「天然果実」とは、米や麦などのように、その物の用法によって生み出される物

・「法定果実」とは、家賃や地代などのように、物の使用対価として受けるべき金銭などをいう

包括承継と特定承継・ 「包括承継」とは、相続や合併などにより、他人の権利義務を一括して引き継ぐ承継をいい、

「特定承継」とは、売買や贈与などにより他人の権利を個々に引き継ぐことをいう

嫡出子(ちゃくしゅつし)と非嫡出子・「嫡出子」とは、正式な婚姻関係にある男女から生まれた子をいう

・「非嫡出子」とは、嫡出子以外の子をいう

・  非嫡出子は一般的に認知された子のこと

 

推定するとみなす・ 「推定する」とは、法律により判断を下すが、反対の証拠があれば、その判断を覆すことができるという意味

・「みなす」とは、たとえ反対の証拠があっても、法律の判断を覆すことができないという意味

 

第三者契約の当事者および相続人等以外の者をいう

例) AがBから土地を購入し、それをCに転売した場合、ABの契約については、ABが当事者となりCが第三者となる

 

無効と取消し・「無効」とは、当初からその契約は無効となる

・「取消し」は、取り消すことにより、契約時にさかのぼって無効となる

・「無効」や「取消」のほかに契約を「解除」という用語も登場する。

この解除は、解除する事由にもよるが、原則として、解除することにより、契約はさかのぼってなくなる。

 

 

 

 

 

 

制限行為能力者制度  制限行為能力者/意思能力

1.  権利と義務
売買契約が成立すると、買主は 「その物を引き渡しなさい」と言える「権利」が発生します。しかし、それと同時に「お金を支払わなければならならない」という「義務」も発生します(商品を売った人は、その逆の権利と義務)。

 

2. 権利能力
「権利能力」とは、権利や義務の主体(資格)となることができる能力をいいます。この権利能力は「人について認められています。民法における 「人」には、自然人(人間)と法人があります。

① 「自然人」であれば、たとえ幼児であっても権利能力が認められます。
②「法人」の場合、外見上は法人に見えるような団体であっても、法律上の法人でなければ権利能力は認められません。
・権利能力のない団体を「権利能力のなき社団」という。

 

 

  •  意思能力
    「意思能力」とは、法律行為を行うために必要な「判断能力」をいいます。 前述したように、たとえ幼児であっても権利能力を有するので、契約の当事者となることはできます。しかし、このような判断能力のない人(幼児など)が、不利な契約を行った場合、その内容を履行しなければならないのであれば、不都合が生じます。そこで、この判断能力のない人を意思無能力者といい、この「意思無能力者」が行った契約は「無効」としています。

・意思無能力者が行った契約→「無効」

 

  •  行為能力
    「行為能力」とは、誰の承諾も得ずに「単独」で有効に「契約等」ができる能力をいいます。契約時において、いちいち意思無能力であったことを証明することは困難です。そこで、行為能力を制限され者を制限行為能力者と定め、この「制限行為能力者」が「単独」で行った契約は「取り消すことができます。
    ・制限行為能力者が「単独」で行った契約→「取消し」できる。

 

 

[権利能力・意思能力・行為能力]

権利能力
「権利能力」とは、権利や義務の「主体」となる能力、いわば、法律の舞台に立つことができる能力といえる。
・ 権利能力は「自然人」と「法人」について認められる
・「自然人」は出生によりこの権利能力を取得し、死亡によって失う

意思能力
「意思能力」とは、法律行為(契約など)を行うために必要な「判断能力」のことである
・幼児や泥酔者など、この能力が欠けている者(意思無能力者)が行った契約などの法律行為は「無効」となる

行為能力
「行為能力」とは、「単独」で「有効」に法律行為(契約など)を行うことができる能力のことである。
・ 制限行為能力者が単独で行った行為は、取り消すことができる (制限行為能力者制度は、この行為能力の問題である)

[権利能力・意思能力・行為能力の具体例]

事例. <Aが自己所有する家屋をBに3,000万円で売却する契約>
3.000万円
A――――――――→B

権利能力がない場合
(上記Aに「権利能力」がなければどうなる?)
権利能力が自然人(人間)であれば、たとえAが幼児であっても権利の主体となることはできる(=契約の当事者となることができる)
※Aが権利能力がない社団であれば、契約は有効に成立しない。

 

意思能力がない場合
(上記Aが幼児などの「意思無能力者」であればどうなる?)
幼児や泥酔者は「意思無能力者」である。したがって、Aは、この売買契約の「無効」を主張することができる。

 

 

 

制限行為能力者の場合
(上記Aが、「制限行為能力者」であればどうなる?)
未成年者は「制限行為能力者」に該当する。
したがって、Aはこの契約を「取り消す」ことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

制限行為能力者制度   制限行為能力者の取消権

チェック項目
制限行為能力者は、「どのような場合」「取消し」できる?

  1.   制限行為能力者
    制限行為能力者は、「未成年者」「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」の4つに分けられます。このうち、成年被後見人・被保佐人・被補助人は精神上の障害の事由により「事理を弁識」する能力の程度により判別され家庭裁判所の審判を受けます。

①  未成年者
未成年者とは、20歳未満の者をいいます。ただし、男は18歳、女16歳であれば婚姻することができ、婚姻すれば成年者とみなされ、この者が「単独」で行っても、その契約を取消しすることはできません。
・未成年者が「婚姻」をする場合、父母の「同意」を得なければならないが、父母一方が同意しないときは、他の一方の同意だけでよい。

 

②   成年被後見人
精神上の障害により事理を弁識する能力を「欠く」常況にあり、かつ、 家庭裁判所により「後見開始の審判」を受けた者をいいます。

③  被保佐人
精神上の障害により事理を弁識する能力が「著しく不十分」で、かつ、家庭裁判所から「保佐開始の審判」を受けた者をいいます。

④  被補助人
精神上の障害により、事理を弁識する能力が「不十分」な者で、かつ、家庭裁判所から「補助開始の審判」を受けた者をいいます。

 

 

  1.    制限行為能力者の「取消権」

①   制限行為能力者とは、上記1.のように、「行為能力」が制限された者です。これらの者が「単独」で一定の財産上の行為をした場合、その行為を「取り消す」ことができます(「無効」ではない点に注意!)。

②  各制限行為能力者には、「保護する者」がつきます。 そして、保護する者が「一定の行為」を行った場合、契約は完全に有効となります。

③ 制限行為能力者が行った契約が完全に有効になれば、その契約は、「取消し」することはできません。
ここでは、保護する者が「どのような行為」をすれば、契約を取消しできなくなるのか? 「下表」を見ながら押さえておこう。

[制限行為能力者が「取消し」できる場合とは?]

未成年者「未成年者」を保護する者として、親権者(父母)や後見人が法定代理人としてつけられる。法定代理人は未成年者が行う契約に「同意」したり「代理」して行うことができる。

・未成年者の行う契約について、法定代理人の「同意」や「代理」を得ないで行うとその契約を「取消し」できる。 ただし、未成年者が下記の「3つ」の行為については、「単独」で行っても、その行為を取り消すことができない

a.   もっぱら利益を得(贈与を受ける等)、または義務を免れるだけの行為

b. 法定代理人から許される財産の処分行為(こづかい等)

c.  法定代理人から許される営業範囲内での行為

 

成年被後見人「成年被後見人」には、保護する者として「成年後見人」が選任される。

この成年後見人は成年被後見人に代理して契約を行う。

・ 成年後見人の「同意」を得ても、その契約を取り消すことができる

・ ただし、成年被後見人は、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」に関することは「単独」ですることができる

・「成年後見人」が代理し、成年被後見人の「居住」の用に供する建物またはその敷地を売却、賃貸、抵当権の設定等をする場合、家庭裁判所の許可を得なければならない

・この成年後見人の「選任」は、「家庭裁判所」が後見開始の審判をするときに、「職権」で選任する

(保佐人や補助人も「家庭裁判所」が「職権」で選任する)

 

被保佐人「被保佐人」には、保護する者として「保佐人」が選任され、被保佐人は下記の行為を保佐人の「同意」を得て行う

・保佐人の同意を得ずに行うと、その行為を取り消すことができる

①  不動産の売買、不動産に抵当権を設定すること

②   借財又は保証をすること

③  相続を承認または放棄すること、遺産分割をすること

④  新築・増築・改築・大修繕のための請負契約

⑤ 長期の賃貸借契約(山林10年、その他の土地5年、建物3年を超える)

⑥ その他家庭裁判所が指定した行為など

・上記以外の行為を被保佐人が単独で行っても取り消すことはできない

 

被補助人「被補助人」に、保護する者として「補助人」が選任される。被補助人が一定の財産上の行為(=契約等)を補助人の同意を得ずに行うと、その行為を取り消すことができる

 

・一定の財産上の行為とは、被保佐人が制限されている行為の一部に限られる

 

 

 

 

 

 

 

制限行為能力者制度の取消しの効果

チェック項目
「誰が」取り消すことができる?

  1.   取消権者
    制限行為能力者が取り消すことができる行為を行った場合、「誰が」その法律行為を取り消せるのでしょうか?この取消権者は制限行為能力者である「本人」および「保護する者」です。例えば、未成年者の場合、未成年者とそのものの法定代理人(親権者等)となります。

要するに、制限行為能力者サイドからは常に取消しができるということです。

・制限行為能力者と契約した「相手方」には取消権がないので注意!

 

  1.  取消しの効果
    「取消し」をすれば、その法律行為ははじめにさかのぼって「無効」となり、契約の当事者は互いに「返還義務」を負います。ここで問題となるのは返還すべき物をすでに相手方が転売していた場合、その第三者にも「返してくれ!」と言えるのか?ということです。

通常、第三者が善意であれば保護される規定が多いのですが、「制限行為能力者」の場合、「第三者」が「善意」であっても対抗することができるとしています。

  1.  取引の相手方の保護
    制限行為能力者と契約した「相手方」には、下記の「2つ」の保護する規定を設けています。

 

①   制限行為能力者が、自分は行為能力者であると「詐術」を用いて行った行為は取り消すことができません。
②  制限行為能力者の相手方は、「1カ月以上」の期間を定めて、制限行為能力者サイドに「催告」することができます。そして、保護する者が 「追認」すれば、完全にその法律行為は「有効」となります。

<催告権については、下表を見ながら下記の「2点」を押さえてください>
(1)   相手方は「誰に」催告するのか
(2)   催告しても確答がなければ「どうなる」のか

 

[制限行為能力者制度のまとめ]

未成年者成年被後見人被保佐人被補助人
制限行為能力者20歳未満・弁識を欠く

・弁識を欠く状況

弁識が著しく不十分弁識が不十分
保護する人法定代理人(親権者等)法定代理人(成年後見人)保佐人補助人
保護する者の権利同意×
代理

・家庭裁判所において指定された行為のみ代理権あり

・家庭裁判所において指定された行為のみ代理権あり

取消し
追認
制限行為能力者が単独でできる行為法定代理人が許された営業範囲内での行為など日常行為に関する行為

 

・上記以外はなし

①日常生活に関する行為

②民法13条1項の行為以外

原則すべての行為

・特定の行為(民法13条1項の行為の一部以外)

 

 

 

 

 

[「誰に」催告をするのか]

「催告」する相手本人・未成年者

・成年被後見人

催告は「無効」となる

・被保佐人

・被補助人でもOK

確答がなければ「追認拒絶」となる

保護者・未成年者

・成年被後見人

の法定代理人に対する催告

確答がなければ「追認」となる

・保佐人

・補助人

に対する催告

確答がなければ「追認」となる

要注意「行為能力者」となった後に催告するのは、すべて「本人」に対して催告する

確答がなければ「追認」となる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令和2年 宅建過去問100問 1問1答 Kindle版出版しました(Kindleunlimited対応しています)

こんにちは。きりん(@kirinaccount)です。


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著者名: きりん(著)

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商品名: 宅建 100問 令和2年1問1答

商品紹介:

【問 35】 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 Aは、営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託したければならない。
正解 33 正しい。不足額の供託→免許権者から通知 を受けてから2週間以内に供託する。宅建業者は、営業保証金の還付があったため、営業保証金が不足することとなったときは、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければなりません。→28条1項、営業保証金規則5条
【問 35】 宅地建物取引業者Aが行う媒介業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、この問において「37条書面」とは、同法第37条の規定により交付すべき書面をいうものとする。
イ Aが建物の賃貸借契約を成立させた場合においては、契約の当事者が宅地建物取引業者であっても、37条書面には、引渡しの時期及び賃借権設定登記の申請の時期を記載しなければならない。
イ  誤り。建物の賃貸借契約において、引渡しの時期は37 条書面の必要的記載事項となるが(同法37条2項1号)、賃借権設定登記の申請の時期は、37 条書面の記載事項ではない。なお、37条の規定は、宅建業者間取引でも適用されること(同法78条2項)、および宅地また は建物の売買契約においては「移転登記の申請の時期」は必要的記載事項であること(同法37条1項5号)に注意。


 

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