意思表示~取消または無効と第三者との対抗関係 宅建 民法

宅地建物取引士 試験 民法

 

          みだし
          1.意思の不存在
          2.意思の不存在事例
          3.瑕疵ある意思表示
          4.取消しまたは無効
          5.第三者との対抗関係まとめ

 

意思表示 ①意思の不存在

チェック項目
「意思の不存在」による契約はどうなる?

1.  意思表示
  契約は「申込み」と「承諾」によって成立します。この申込みや承諾は「意思表示」です。つまり、意思表示とは、内心の「意思」を外部に「表示」することをいいます。ここでは、意思の不存在と瑕疵ある意思表示について学習します。

 

 

 

2. 意思の不存在
 「意思の不存在」とは、売るつもりはないのに、「売ります」と言って契約する場合などをいいます。つまり、意思表示の「意思」が欠けているということです。 意思の不存在は、「心裡留保」「虚偽表示」「錯誤」の3つがあります。それぞれ下記の事例を用いて説明します。

事例

A所有する建物をAからB、さらにBからCに転売した後に、AB間の売買契約に「意思の不存在」があった場合

ポイント

<下記の「2点」に重点を置いて、下項に当てはめながら理解してください>

① AB間の契約は「無効か有効か」又は「取消しできるか否か」(=当事者間の問題)

② AB間の契約無効取消しの場合、「第三者C」 に対抗できるか否か

 

 

 

①   心裡留保
  心裡留保とは、表意者が自己の「真意ではない」ということを知りながら行う意思表示です(下頁事例(1))
例)売るつもりもないのに冗談で売るといったような場合です。


② 虚偽表示
  虚偽表示とは、真意と違う内容を相手方と「通じて」行う意思表示です。
例) Aが債権者からの差押えを免れるために、Bと示し合わせてAB間で仮装売買を行うような場合です(下頁事例 (2))


③ 錯誤
 錯誤とは、「勘違い」のことですが、上記の①②とは異なり、本人は意思が欠けていることを知らずに行う行為です(下頁事例 (3))

[心裡留保の場合]   事例(1)


    (無効)
A―――――――――→B――――――――→C
     売買       売買

 

当事者間
・Bが普意無過失の場合は「有効」となる。
・Bが悪意または善意であっても有過失の場合は「無効」となる。

 
第三取得者
・AB 間が無効となった場合、Cが善意であればAはC に対抗できない。

 

 

[虚偽表示の場合]   事例 (2)

 


   (無効)
①A―――――――→B―――――――→C――――――――→D(転得者)
    売買   売買 (善意)  売買        (悪意)

 

 

   (無効)
②A―――――――→B―――――――→C――――――――→D(転得者)

    売買   売買 (悪意)  売買        (善意)


当事者間
上記①、②ともにAB間の契約は「無効」となる。

 

 


第三取得者
・ Cが善意であれば、AはCに対抗できない
・ Cが善意であれば、たとえCに過失があっても、また、登記や引渡しがなくても、AはCに対抗できない 

 


転得者
・上記①の場合、Cが善意なので、AはDが悪意であっても対抗できない
・上記②の場合、転得者Dは善意なので、やはりAはDに対抗出来ない

 

 

[錯誤の場合]   事例(3)

    (取消し)
 A―――――――――――→B―――――――――――→C
     売買          売買     (善意)

当事者間
 表意者A(=勘違いした者)は、下記①、②の要件を満たせば、錯誤による取消しができる


① 「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものの錯誤」であれば取消しできる
②「動機の錯誤」の場合、法律行為の基礎とされた事情が表示されていたときに限り取消しできる

 

 

 

下記の場合、錯誤による「取消し」はできない
①  表意者に重大な過失があれば「取消し」できない
② 相手方が表意者と「同一の錯誤」に陥っていれば「取消し」できない

 

第三取得者
AB 間の契約が錯誤により取り消された場合、AはCが善意無過失であれば、この取り消しをCに対抗できない

 

 

 

 


意思表示  ② 瑕疵ある意思表示

チェック項目
「第三者による」詐欺・強迫とは?

1.  瑕疵ある意思表示 法改正
  瑕疵ある意思表示とは、下項図1のように、Aが自己所有する建物の契約が、相手方Bの「詐欺」「強迫」によりなされた場合です。この詐欺・強迫については、下記の「2点」について押さえてください


①   当事者間(AB)の契約はどうなる? (下項図1まで移動)
    民法では「詐欺」または「強迫」でなされた契約は「取り消す」ことができるとしています(無効ではない点に注意)

② 契約が取り消された場合、「第三者」(C)はどうなる?(下項図2まで移動)


A.   契約が取り消された場合、その目的物が第三者Cにすでに転売されていたときは、第三者が「悪意」であれば、詐欺・強迫のいずれであっても、第三者に対抗することができます。

B.  第三者Cが「善意かつ過失がない」とき、「強迫」は第三者Cに対抗できますが、「詐欺」のときは第三者Cに対抗することはできません。

 

2. 第三者による詐欺・強迫
 詐欺や強迫によってなされた契約は、その当事者間において「取り消す」ことができます。しかし、その「詐欺」や「強迫」が取引の相手方によるものではなく、「第三者」による「詐欺」や「強迫」であった場合、その「契約は取り消すことができるのか?」という問題が生じます。これが第三者による「詐欺」「強迫」の問題です。この場合、下記のようになります。(下頁図3まで移動)

 


①   第三者による「詐欺」の場合、相手方Bが悪意又は有過失であれば、Aは取り消すことができますが、善意無過失のときはできません。

②  第三者による「強迫」の場合、相手方Bが善意・悪意を問わずAは契約を取り消すことができます。

 

 

 

<制限行為能力者・詐欺・強迫などの取消権には時効がある!!>
「取消権」には時効が適用され、追認可能となってから「5年」、または行為の時より「20年」経過すると消滅する。

[詐欺・強迫による契約]

図1


①  

   詐欺
  ―――→
A       B
  ←―――
   契約
・Aは契約を取りすことができる

   強迫
  ―――→
A       B
  ←―――
   契約
・Aは契約を取りすことができる

 

 

[善意の第三者との関係]
図2


①  詐欺
  ―――→    転売   
A       B ――――→ C 善意無過失
  ←―――
   契約
|______________↑
    所有権の返還×
Cが善意かつ無過失であれば、AはCに所有権の返還の主張はできない



   強迫
  ―――→    転売   
A       B ――――→ C 善意無過失
  ←―――
   契約
|______________↑
   所有権の返還〇
Cの善意・悪意を問わず、Aは所有権の返還の主張ができる

 

 


[第三者による詐欺・強迫]


図3

① C
  |詐欺
  ↓
  A――――→B
    契約
<第三者による詐欺>
・Bが悪意又は過失があれば、Aは契約を取り消すことができる
・Bが善意無過失であれば、Aは契約を取り消すことができない!

 

<第三者による強迫>
  C
  |強迫
  ↓
  A――――→B
    契約


Bの善意・悪意を問わず、Aは契約を取り消すことができる

 

 

 

 

 

 

意思表示 ③取消しまたは無効と第三者との対抗関係

チェック項目
「第三者との関係」について理解しておこう!

1.   公序良俗に反する契約
  公序良俗に反する契約とは「公の秩序、善良の風俗に反する契約」であり、賭博行為や談合などの社会的に妥当性が認められない契約のことです。このような契約は「無効」となります。
・公序良俗違反の無効は「善意の第三者」にも対抗することができます。

 


2. 契約の当事者間のまとめ
 契約に様々な法律事由が生じた場合、「無効・有効」あるいは「取消し」という効力が生じます。ここでは、「どの理由」が「どのような効果」に結びつくのかについて「下頁」の事例にまとめているので押さえておこう。
・第三者が「善意」であれば、「対抗できる」場合と、「対抗できない」場合に分かれる。

 

3.善意の第三者との対抗関係のまとめ
   契約の当事者間に「無効」や「取消し」がなされた場合、 その目的物がすでに転売されていれば、その者(第三者)に対して対抗できるのか?については、下頁の事例でまとめて覚えておきましょう。
・第三者が「善意」であれば、「対抗できる」場合と、「対抗できない」場合に分かれる。下項まで移動

 

 

 

4. 「虚偽表示」における「第三者」とは
 相手方と通じてなした「虚偽表示」は、「善意の第三者」には対抗できません。この第三者とは、当事者や相続人以外のすべての者ではなく、虚偽の当事者以外のものであり、「その目的について法律上利害関係を有するに至った者」をいいます(判例)。ここでは、下記の判例を覚えよう。

 


 事例.
  Aが所有する甲地を、AとBが仮装売買し、Bに移転登記した場合

(第三者に該当する者)
・ Bから売買契約で甲地を取得したC
・ Bの債権者で甲地を差し押さえたC
(第三者に該当しない者)
・ Bの土地と信じて、Bに金銭を貸し付けたC
・ Bが甲地に建物を建て、その建物を借りているC

 

 

 

 

 


[第三者の対抗関係のまとめ]
事例
A―――――×―――→B―――→C善意
       ↑取消しまたは無効

[第三者の対抗関係まとめ表]

理由

契約の当事者間

善意の第三者

制限行為能力者

取消しができる

対抗できる

錯誤

取消しができる

・善意かつ無過失

(対抗できない)

詐欺

取消しができる

・善意かつ無過失

(対抗できない)

強迫

取消しができる

対抗できる

心裡留保

有効(例外で無効)

対抗できない

虚偽表示

無効

対抗できない

公序良俗違反

無効

対抗できる

債務不履行(下記)

解除

対抗できない

 

<「第三者に対抗できない」=「第三者は対抗できる」ということ!>

事例.

     対抗できる  (②)
↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

           詐欺   
A  ――×―→ B ―→ C善意無過失
 
       契約
|________________↑
    対抗できない(①)

上図①  AB間の契約を詐欺を理由として取り消した場合、それを「A」は 善意無過失の第三者である「C」に対抗することができない。
上図②  これを逆にいえば、善意無過失の第三者である「C」は、取消しを主張する者「A」に対して対抗することができる。

 

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