宅地建物取引士 試験 免除科目
目次
1.固定資産税 基本事項
2.固定資産税 計算方法
3.固定資産税 特例
4.固定資産税 価格の決定
固定資産税の基本事項
チェック項目
・固定資産税は「誰が」「誰から」徴収するのか?
・固定資産税は「誰が」支払う?
不動産は、取得する段階で様々な税金を支払わなければなりません。 しかし、これで終わりではありません。不動産を「保有」している段階でも、毎年税金を支払わなければなりません。
その代表が固定資産税です。
この税金も不動産取得税と同様に、まず下頁の基本事項を押さえてください。 この税金については、特に「納税義務者」が重要です。
① 課税主体「誰が」課す税金か?
固定資産税の課税主体は、固定資産の所在する市町村です。 不動産の所在する市町村であり、所有者の住所地ではない。
② 課税客体「どんな場合」に支払う?
固定資産税は固定資産を保有している場合に税金が課せられるのです。 ここでいう固定資産とは、「土地、家屋、償却資産」をいいます。
③ 納税義務者「誰から」徴収する?
a. 納税義務者は個人・法人を問わず、原則として、毎年1月1日(=賦課期日)に登記簿等に所有者として登記されている者です。
・年の途中で不動産を売っても、その年度の納税義務者は当初の所有者であり、月割計算で納税するのではありません。
b. 1月1日(=賦課期日)において登記されていなかった場合、所有者 が「死亡」や行方不明の場合には、納税義務者は下表のようになります。
c. 共有物は、共有者が連帯して納付する義務があります。
区分所有建物(=マンション)の場合、各区分所有者は「家屋」の部分については、持分割合で按分した分を納付すればよく、また、「敷地」についても、原則として、持分割合で按分した分だけ納付すれば問題ありません。
[固定資産税の基本事項表]
これだけは覚えておこう! |
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課税主体 |
・不動産の所在する市町村 (道府県ではなく、所有者の住所地でもないので注意) |
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課税客体 |
・土地・家屋・償却資産 ・土地・建物の種類は問わない ・償却資産を除き不動産取得税と同じ |
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納税義務者
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賦課期日(1月1日)において、登記簿に登記されている所有者が納税義務者となるが、下記の場合には注意! |
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未登記の場合 |
・土地補充課税台帳に登録されている者 |
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登記簿上の所有者が賦課期日に死亡している場合 |
賦課期日において現に所有している者 (相続人とは限らない) |
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災害などにより所有者が行方不明の場合 |
その不動産を使用している者を所有者とみなす
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質権、地上権(100年より長いものに限る)が 設定されている土地の場合
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質権者、地上権者 (固定資産税は所有者以外の者が納税義 務者となる場合があるということ) |
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ポイント
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1月1日においてA所有の土地を、 4月1日においてBに売却しても、その年分の固定資産税の納税義務者はAである。
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① 賦課期日にAが死亡していた場合・・・所有している者が納税義務者 ② 賦課期日にAが行方不明の場合・・・使用している者が納税義務者 ③ 質権・地上権が設定されていた場合・・・質権者・地上権者が納税義務者 |
チェック項目
固定資産税はどのように計算するのか?
固定資産税の計算
固定資産税も不動産取得税と同じように「課税標準×税率」で計算します。
① 課税標準「何の金額」?
固定資産税の課税標準は、当然ですが固定資産課税台帳の登録価格です。
この価格は原則として3年間据え置かれますが、 地目変更や家屋の改築等が行われた場合には、価格の見直しが行われます。
② 税率「何%」支払う?
固定資産税も不動産取得税と同様に、標準税率が定められています。
・課税標準は1.4%、制限税率はありません。
③ 徴収方法など「どのように」納める?
固定資産税の徴収方法は、不動産取得税と同じく普通徴収により行います。 なお、「納期」や「免税点」については、具体的な「数字」を覚えておきましょう。
・語呂合わせで大丈夫です!
④ 非課税「税金が不要な場合」とは?
a. 国、地方公共団体等が保有する固定資産の場合 (独立行政法人に対しては、課税することができます)
b. 宗教法人、学校法人等の事業に供する固定資産の場合など
⑤ 免税点は?
固定資産の免税点は、同一市町村内(都の特別区内では特別区)の区域内において所有する固定資産の課税標準となるべき価格が、下表の金額に満たないときは課税されません。
⑥ 納期
固定資産税の納期は、4月、7月、12月、翌年の2月中において、市町村の条例で定めます。
なお、市町村は、特別事情がある場合には、異なる納期で定めることができます。
[固定資産税基本事項表/計算]・参考表
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これだけは覚えておこう! |
課税標準 |
・固定資産課税台帳の登録価格 ・原則として、3年間据え置かれる(3年ごとに評価替え) |
税率 |
・標準税率は1.4/100 ・制限税率なし |
徴収方法 |
普通徴収(申告納税ではない!) |
非課税 |
・ 国、地方公共団体などが保有する固定資産 ・ 独立行政法人に対しては、固定資産税を課すことができる ・ 宗教法人、学校法人、墓地など |
納期 |
・ 納期は4月、7月、12月および翌年の2月中において、条例で定める。 |
通知書 |
納税通知書は納期限前10日までに納税者に交付される |
免税点 |
・土地30万円 ・家屋20万円 語呂合わせで大丈夫です。 |
<免税点は金額だけでなく、下記の点も注意!>
・固定資産税の「免税点」は、土地は30万円である。この30万円は市町村の区域内における同一の者に対しての額である。
・ 一筆ごとに、30万円未満であっても、当該市町村における30万円以上であれば、固定資産税は必要となる。
固定資産税の特例
チェック項目
・固定資産税の「特例要件」を押さえよう!
固定資産税も不動産取得税と同様に、ある一定の要件を満たせば税金が控除されます。
ここでも、「どのような要件」を満たせば 「どこから」「どれたけ」控除されるのかを覚えてください。
固定資産税の特例・参考
① 「どのような要件」を満たせば特例を受けることができるのか?
土地の場合・・・住宅用地であること
家屋の場合
・50㎡以上280㎡以下の新築住宅であること。
・総床面積の1/2以上が居住用であること。
・戸建て住宅以外の貸家は、40㎡以上280㎡以下であること。
② 「どこから」控除されるのか?
土地の場合.・・・「課税標準」を軽減する。
家屋の場合・・・「税額」から控除する。
③ 「どれだけ」控除されるのか?
土地の場合は200㎡以下の小規模住宅用地は固定資産評価額を1/6 に軽減。
200㎡を超える部分は固定資産評価額を1/3に軽減。
例)300㎡の場合、200㎡が1/6に、100㎡が1/3となる。
家屋の場合
・税額の1/2が控除されるのは、 床面積120㎡まで 軽減
・地上階数が3以上の中高層耐火建築物等の「新築住宅」は5年間、それ以外の「新築住宅」は3年間、「1/2」が控除される。
<「都市計画税」も不動産の保有に関する税金 >
① 都市計画税とは、原則として、市街化区域内に所在する土地・家屋の所有者に対して、固定資産税と併せて徴収される税金である。
② 税率は条例により定められるが、制限税率は0.3/100(0.3%)
チェック項目
固定資産税の価格は、「どのように決められる」のか?
1. 固定資産の評価方法
固定資産税の価格は、 「どのように決まるのでしょうか?」これは下表のような流れで決まります。
2. 固定資産台帳の「縦覧」と「閲覧」
①「縦覧」について
「総覧」とは、自分の土地・家屋と他の者の土地・家屋の評価額を比較し、自分の土地・家屋の評価額が公平・適正であるかを確認する制度です。
このため「納税者」 であれば誰でも、すべての土地・家屋を記載した「縦覧台帳」を期間内であれば見ることができます。
②「閲覧」について
「閲覧」も台帳などを「見る」ということには変わりませんが、「閲覧」は 自分の土地・家屋の評価額などを記載した固定資産課税台帳を見ることをいい、これはいつでも見ることができます。また、借地人や借家人も、その借りている物件の評価額を確認するため見ることができます。
③ 固定資産税の閲覧「誰が閲覧」できる?
市町村長は、納税義務者・借地権者・借家権者等の求めに応じ、これらの者に関係がある固定資産として一定のものに関する事項が記載されている部分またはその写しをこれらの者の閲覧に供しなければなりません。
④ 証明書の交付「誰が証明書の交付」を受けることができる?
納税義務者・借地権者・借家権者等は、固定資産課税台帳に記載されている事項の証明書の交付を受けることができます。
⑤ 審査の申出「審査の申出」ができる場合とは?
固定資産税の納税者は、登録価格に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査の申出ができます。 (登録事項のすべてについて審査の申出ができるわけではありません)
①
誰が実施方法・手続を定める? |
固定資産の評価の基準ならびに評価の実施方法および手続(=固定資産評価規準)は、総務大臣が定めることとされている。 |
↓
②
誰が実地調査し、評価する? |
① 市町村長は、市町村に設置された固定資産評価員または固定資産評価補助員に少なくとも毎年1回は、固定資産の実地調査をさせなければならない。 ② そして、市町村長が毎年3月31日までに価格決定し、直ちに固定資産課税台帳に登録する。 |
↓
③
誰が縦覧帳簿を作成する? |
市町村長は、固定資産課税台帳等に登録された土地や家屋の所在・価格等の帳薄を毎年3月31日までに作成しなければならない。 |
↓
④
誰が縦覧帳簿を縦覧できる? |
市町村長は、毎年4月1日から4月20日または最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間、「縦覧帳簿」またはその写しを「納税者」の縦覧に供しなければならない。 |
[縦覧と閲覧の比較表]
縦覧 |
閲覧 |
|
「いつ」みれる? |
一定期間内 |
いつでも見ることができる。 |
「誰が」みれる? |
固定資産税の「納税者」 |
・自分の土地や家屋 ・借地人や借家人も借りている物件について見ることができる。
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「何が」みれる? |
土地・建物の評価額 ・縦覧台帳には住所、氏名などは記載されていない。
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土地・建物の評価額など記載事項は省略されていない。
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