民法改正宅建 宅建試験平成28年度(2016年度)ここが変わった!
こんにちは。きりん(@kirinaccount)です。
民法改正宅建
宅建試験 平成28年度(2016年度)過去問解いてみました。
民法改正後にどのような
解釈ができるのか
綴りました。
宅建資格を取得するにあたり過去問(たっけんかこもん)
を解いたところ
「解答を読んでもわかりにくい」
平成28年度(2016年度)、宅建過去問正解肢(せいかいし)がわからない、わかりにくい場面に
初学者の方でも役立ちそうな解説を
少し混じえています。
に続き
・正解問題肢
・改正民法肢
・民法改正後
を用いて解説しています。
宅建試験合格、受験対策の一助になれば幸いです。
目次
民法改正 問1・問2
4 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する旨(正解肢)
こちらの肢は正解です。
なぜなら
(旧537条1項)
要約者と諾約者との間で、第三者のためにする契約の効力が生じること
でした。
たとえば
新法によると第三者のためにする契約は、その成立時に
・「第三者が現に存しない場合」
または
・「第三者が特定していない場合」であっても、その効力を妨げられない(新537条2項)
これは旧法下の判例法理を明文化したものです。
つぎに新法は、通説に従い
受益者の権利が生じた後に要約者が契約を解除するには「第三者の承諾」を得る必要があるとしました。(新538条2項)
2 被保佐人が不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。
肢2
新法において法定代理人として代理することが可能になりました。
なぜなら
新法第十三条 十
前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び
第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)
の法定代理人としてすること。
が挙げられます。
たとえば不動産の権利の得喪、贈与の申込みの拒絶です。
民法改正 問3・問5
4 AB間の売買契約が、Bの意思表示の動機に錯誤があって締結されたものである場合、Bが所有権移転登記を備えていても、AはBの錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
こちら
動機の錯誤は
無効から取り消すことができる
に変わりました。
なぜなら
新法は、動機の錯誤に関して、新95条1項2号および2項に明文の規定を置いたからです。
そして、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであると認められる
場合の効果を、無効から「取り消すことができる」と改めました。(新95条1項柱書)
たとえば、Aに重過失があったときは取り消すことができません。
1 AのBに対する債権に譲渡禁止の特約があり、Cがその特約の存在を知りながら債権の譲渡を受けていれば、Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dがその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がない場合でも、BはDに対して特約の存在を対抗することができる。
2 AがBに債権譲渡の通知を発送し、その通知がBに到達していなかった場合には、Bが異議をとどめない承諾をしても、BはCに対して当該債権に係る債務の弁済を拒否することができる。
3 AのBに対する債権に譲渡禁止の特約がなく、Cに譲渡された時点ではまだ発生していない将来の取引に関する債権であった場合、その取引の種類、金額、期間などにより当該債権が特定されていたときは、特段の事情がない限り、AからCへの債権譲渡は有効である。(正解肢)
4 Aに対し弁済期が到来した貸金債権を有していたBは、Aから債権譲渡の通知を受けるまでに、異議をとどめない承諾をせず、相殺の意思表示もしていなかった。その後、Bは、Cから支払い請求を受けた際に、Aに対する貸金債権との相殺の意思表示をしたとしても、Cに対抗することはできない。
・肢1は新法においては譲渡禁止の特約があった場合でもCに対する譲渡は有効です。
(新466条2項)譲渡禁止特約に違反する譲渡であっても債権は有効に譲渡人に移転する
Cが悪意・重過失であればAはCに対してその債務の履行を拒むことができます。
なぜなら
債務者は悪意・重過失の譲受人に対して抗弁を主張できるからです。
たとえばBはAに対する相殺行為をもって免責を得られ、Cに主張することができます。
民法改正 問6・問7
3 誤り・(正解肢) Bが、A所有の甲土地が抵当の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い損害を受けたとしても、BはAに対して、損害賠償を請求することができない。
旧法では権利の瑕疵について画一的で明快な法律は存在しませんでした。
なぜなら説が分かれていたからです。
たとえば売買の目的物に「隠れた瑕疵」があった場合には、売主はその瑕疵につき過失の有無を問わず担保責任を負います。こちらの法的性質について法定責任説と契約責任説の対立がありました。
新法では物の瑕疵に関する規定を準用し買主が売主に請求できるようになりました。なぜなら新法では種々の法律が画一的な取り扱いとなったからです。
たとえば
B→Aの場合は
・追完請求権(新562条)
・代金減額請求権(新563条)
・解除権(新541、542条)
・損害賠償請求権(新415条)
を設けました。
AがBから賃借する甲建物に、運送会社Cに雇用されているDが居眠り運転するトラックが突っ込んで甲建物の一部が損壊した場合(以下「本件事故」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。なお、DはCの業務として運転をしていたものとする。
ア AはBに対し、甲建物の滅失した部分の割合に応じ、賃料の減額を請求することができる。
イ Aは、甲建物の残りの部分だけでは賃借した目的を達することができない場合、Bとの賃貸借契約を解除することができる。
問7 全て正解肢です。
ア 減額を請求することができる→
減額される
と解釈できるのではないでしょうか。
なぜなら(新法第六百十一条)
賃借物の一部が滅失その他事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて減額される。
たとえば(旧法第六百十一条)では
賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
となります。
肢イ 新第六百十一条2においては
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、
残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除
をすることができる。
民法改正 問8
AがBに甲建物を月額30万円で賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物にCに適法に月額40万円で転貸している場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料不払いの催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。
2 BがAに対して甲建物の賃料を支払期日になっても支払わない場合、AはCに対して、賃料30万円をAに直接支払うよう請求することができる。
3 AがBに債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。
4 AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して、Bとの合意解除に基づいて、当然には甲建物の明渡しを求めることはできない。
1.誤り・( 正解肢)
2.新613条1項前段によりAはCに対し限度額30万円の限度で請求できます。
3.新613条3項ただし書が前提とする判例法理よりAからCに明け渡すように請求することができます。
4.新613条3項本文により、賃借人Bと転借人Cの間に特別な関係があるなど「特段の事情」がない限り、AはCに対し合意解除を対抗できず、甲建物を明け渡すように請求できない。
こちらの問8においては旧法と新法において変わりがないといった解釈ができるのではないでしょうか。
なぜなら旧法においては判例が用いられていましたが新法により明文化されました。
たとえば肢4です。新法613条3項本文が挙げられます。
民法改正 問9
(判決文)
契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結する
か否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、
相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による損害賠償を負うことがある
のは格別、当該契約上の債務の不履行による損害責任を負うことはないというべきである。(中略)
上記のような場合の損害賠償責任は不法行為により発生したものである。(略)
② 誤り・信義則上説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求は、損害を被っていることを買主が知らない場合でも、売買契約から10年間行使しないときは、時効により消滅する。(正解肢)
問9
解答は同じです。
肢2 10年が誤りでしょうか。
なぜなら
新法は旧法の判例を変更し
改正後も不法行為に基づく損害賠償請求権は損害および加害者を知ってから3年の短期消滅時効と
それらを知らなくても「不法行為の時」から20年の権利行使期間であるという二重の期間制限は
変わらず、起算点も同じです。
さらに新法は「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権」についての
短期消滅時効期間を被害者が損害および加害者を知った時から5年とする。
と定めました。(新724条の2)
たとえば旧法は
不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者をしってから3年で短期の消滅時効にかかります。
参考文献
;民法改正Before/After
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