こんにちは。きりん(@kirinaccount)です。
民法改正宅建
宅建試験 平成25年度(2013年度)過去問解いてみました。
民法改正後にどのような
解釈ができるのか
綴りました。
宅建資格を取得するにあたり過去問(たっけんかこもん)
を解いたところ
「解答を読んでもわかりにくい」
平成25年度(2013年度)、宅建過去問正解肢(せいかいし)がわからない、わかりにくい場面に
初学者の方でも役立ちそうな解説を
少し混じえています。
ここが変わった!民法改正 平成26年度(2014年度) 宅建試験
に続き
・正解問題肢
・改正民法肢
・民法改正後
を用いて解説しています。
宅建試験合格・受験対策の一助になれば幸いです。
目次
1.民法改正 問1
1-1 民法の条文
2. 民法改正 問2
2-1 未成年・法定代理人
3. 民法改正 問6
3-1 連帯保証人・物上保証人
4. 問7・判決文
民法改正 問題1
1 意思表示に法律行為の要素の瑕疵があった場合は、表意者は、その意志表示を取り消すことができる旨
こちらの肢は新法においては正解です。
しかし旧民法においては不正解です。
なぜなら旧民法95条(錯誤)
において表意者に重過失がなければ「無効」の主張をすることができるとされていたからです。
たとえば新法においては意思表示に対応する意思を欠く錯誤は「取り消すことができる」と改正されました。
2 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかった場合は、その物又は権利の瑕疵又は不存在の責任を負う旨
こちらの肢は新法において不正解です。
旧法においては正解です。
なぜなら旧民法551条(贈与者の担保責任)は削除されたからです。
たとえば、新法551条においては(贈与者の引渡し義務等) 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。と改正されました。
3 売買契約の目的物に隠れた瑕疵がある場合には、買主は、その程度に応じて代金の減額を請求することができる旨
こちらの肢は改正民法において正解です。
旧民法においては不正解でした。
なぜなら瑕疵において法律が画一的ではなかったからです。
たとえば旧法においては売買契約の瑕疵があった場合に代金減額請求権は認められていませんでした。
また売買契約の瑕疵・契約不適合の瑕疵にわかれていました。
新法563条は売買契約について買主が代金減額請求権をすることができることを規定しました。
4 多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって、それらの契約の内容を画一的に定めることを目的とするものを約款と定義する旨
こちらの肢は新法が設けられ、正解です。
旧民法においては不正解です。
なぜなら
肢4にある民法規定はなかったからです。
たとえば肢4は
新法548条の2第1項において定型約款とは、定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう旨が民法の条文に定められました。
民法改正 問題2
1 父母とまだ意思疎通することができない乳児は、不動産を所有することができない。
肢1は民法改正がありません。
こちらの肢は不正解です。
なぜなら民法3条1項「私権の享有は、出生に始まる」
に規定されているからです。
たとえば肢にあります乳児でも不動産を所有することができます。
2 営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。
こちらの肢は不正解です。
なぜなら旧法・新法かわらず民法に規定されているからです。
たとえば
民法6条1項においては”営業を許可された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。”とされておりその営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには父母の同意は不要です。
3 男は18歳に、女は16歳になれば婚姻することができるが、父母双方がいる場合には、必ず双方の同意が必要である。
こちらの肢は不正解です。
なぜなら新法・旧法ともに民法(731条・732条1項・2項)に規定されているからです。
たとえば
父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足ります。(民法737条1項)
4 Aが死亡し、Aの妻Bと嫡出でない未成年の子CとDが相続人となった場合に、CとDの親権者である母EがCとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行っても、有効な追認がない限り無効である。
こちらの肢は判例・正解です。
なぜなら親権者が共同相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議は、追認のない限り無効だからです。(最判昭48.4.24)
民法改正 問題6
問題6
A銀行のBに対する貸付債権1,500万円につき、CがBの委託を受けて全額について連帯保証をし、D及びEは物上保証人として自己の所有する不動産にそれぞれ抵当権を設定していた場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 CがA銀行に対して債権全額について保証債務を履行した場合、Cは、D及びEの各不動産に対する抵当権を実行して1,500万円を回収することができる。
こちらの肢は不正解です。なぜなら物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位するからです。
たとえばC(1,500万円の保証債務を履行)した場合、D及びEの各不動産の抵当権を実行して1,000万円について回収することができます。
2 A銀行がDの不動産の抵当権を実行して債権全額を回収した場合、DはCに対して、1,000万円を限度として求償することができる。
こちらの肢は誤りです。
なぜなら肢においては500万円を限度として求償することができるからです。
たとえば保証人と物上保証人が5人であれば300万円まで求償することができます。
3 第三者がDの所有する担保不動産を買い受けた後、CがA銀行に対して債権全額を弁済した場合、Cは代位の付記登記をしなければ、当該第三者に対してA銀行に代位することができない。
民法501条は改正され「代位の付記登記」は不要になりました。
なぜなら一般的な解釈を明文化したからです。
こちらの肢は新法においても誤りです。
なぜならCは付記登記をしなくても代位することができるからです。
たとえば新法においては物上保証人から譲り受けた第三者(第三取得者)も代位することができます。
4 Eの担保不動産を買い受けた第三者がA銀行に対して債権全額を弁済した場合、当該第三者は、Cに対して、弁済した額の一部を求償することができる。
こちらの肢は旧法においては明文化されておらず「物上保証人からの第三取得者」は
画一的な法規がなされていませんでした。
しかし新法において
「第三取得者からの譲受人」は「第三取得者とみなす」
「物上保証人からの譲受人は物上保証人とみなす」と明文化されました。
肢4は正解です。
なぜならEは物上保証人とみなすことができるからです。
たとえばEは弁済の一部(500万円)を求償することができます。
問題7・判決文
(判決文)
期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである。
3 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う場合、更新後の未払賃料について保証人の責任は及ぶものの、更新後に賃借人が賃借している建物を故意又は過失によって損傷させた場合の損害賠償債務には保証人の責任は及ばない。
こちらの肢は誤り・正解肢です。
なぜなら判例により
更新後に賃借人が賃借している建物を故意又は過失によって損傷させた場合の損害賠償債務も「更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務」に該当するからです。
たとえば、肢においては
保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う場合には、当該損害賠償債務にも保証人の責任が及びます。
参考文献
;民法改正Before/After