不動産鑑定評価基準 資料 ①不動産とその価格 ~ ③ 地域分析と個別分析 宅建
宅地建物取引士 試験 免除科目
不動産鑑定評価基準
不動産鑑定評価基準
①不動産とその価格
チェック項目
・不動産の価格は「どのように」決まる?
・不動産の価格を形成する「3つの要因」とは?
1. 不動産の土地の価格
① 不動産とは、「土地とその定着物」と定義されています。 土地はそれ自体が不動産ですが、 建物は土地の定着物なので不動産になります。また、不動産の価格には特殊性があります。 この特殊性は 「土地」の特殊性から来ています。
② 特殊性を持つ土地等の価格を決めるには、 一定のルールが必要です。
これを定めているのは不動産鑑定基準であり、この基準に基づいて不動産鑑定士は不動産の価格を判定します。
・「価格の種類」について押さえてください。
不動産鑑定評価基準は以降、鑑定評価基準という。
2. 不動産の価格形成
不動産の価格については、鑑定評価基準では以下のように定めています。
不動産の価格は、一般に、
① その不動産に対してわれわれが認める「効用」 (=何に役立つのか、住宅地としてか、商業地としてかなど)
② その不動産の「相対的稀少性」 (=例えば、30分圏内の住宅地はどれくらいあるかということ)
③ その不動産に対する「有効需要」 (=その不動産を買える者で、買おうとする者がどれだけいるのか)
上記①②③の「3つ」の相関結合によって生ずる不動産の経済価値を、貨幣額をもって表示したものです。
3. 土地の価格を形成する要因
不動産の価格は、上記2.で述べたように、「不動産の効用」、「相対的稀少性」「有効需要」の3つの相関結合の結果として決まります。
この3つの要素はいつも一定なわけではなく、自然条件や経済の状態などの変化によって変動します。価格を形成する要因には、一般的要因・地域要因・個別要因の「3つ」の要因があり、これを価格形成要因といいます。
[不動産の価格を形成する要因]
価格形成の流れ
<価格形成する要因)>
・一般的要因
・地域要因
・個別的要因
↓影響
<価格形成する要因>
・効用
・相対的稀少性
・有効需要
↓
<不動産の価格>
価格形成
不動産に対して認める「効用」「相対的稀少性」「有効需要」の3つに影響を及ぼす要因を「価格形成要因」という。この要因の変化がその不動産の価格の変化となる。
[価格形成要因は下記の3つ]
・一般的要因
一般的要因とは、一般経済社会における不動産のあり方およびその価格の水準に影響を与える要因をいう。一般的要因はさらに下記の4種類に分けられる。
「一般的」要因である下記の「4種類」の名称を覚えよう。
① 自然的要因(=気象状態や地盤などの状態等)
② 社会的要因(=人口の動向、家族構成、世帯分離など)
③ 経済的要因(=財政や金融の状態、雇用等の状態など)
④ 行政的要因(=土地利用に関する計画や税制など)
・地域的要因
地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格形成い全般的な影響を与える要因をいう。
・個別的要因
個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいう。
不動產經定評備基準 ②鑑定評価の原則・価格の種類
チェック項目
「正常価格」「特定価格」等の定義を覚えよう!
対象確定条件
不動産を鑑定するに当たっては、 「どのような不動産」の「どのような種類の価格」を鑑定するのか? また「いつの価格か?」 などを確定しなければ鑑定評価をすることはできません。このような条件を対象確定条件といいます。
① 対象不動産の確定
不動産の鑑定評価を行うにあたっては、まず、鑑定評価の対象となる土地または建物等を物理的に確定するのみならず、鑑定評価の対象となる所有権および所有権以外の権利を確定する必要があります。
② 価格時点の確定
価格形成要因は、時の経過により変動するものですから、不動産の価格はその判定の基準日となった日においてのみ妥当(だとう)するものです。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を限定する必要があり、この日を「価格時点」といいます。また、賃料の価格時点はその期間の「期首」となります。
価格時点は鑑定評価を行った年月日を基準として、「現在時点」「過去時点」「将来時点」に分けられます。
③ 価格または賃料の確定
不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には「正常価格」ですが、鑑定評価の依頼目的および条件に応じて「限定価格」「特定価格」「特殊価格」を求めることができます(下表)。
[試験の落とし穴]
対象確定条件により確定された対象不動産について、依頼目的に応じて「想定上の条件」を付すことができる。 この場合、この想定上の条件が実現性や合法性などの観点から妥当なものでなければならない。
【価格の種類】
不動産の鑑定評価によって求める価格には、正常価格・限定価格・特定価格・特殊価格がある。ここでは、それぞれの「価格の定義」を覚えよう! |
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正常価格
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正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう |
実際の取引価格ではなく、理論上の価格 |
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限定価格 |
限定価格とは、市場性を有する不動産について、市場が限定される場合の価格のことである(=買主が限定される場合の価格) 例) 借地権者が底地の併合を目的として売買する場合など |
特定価格
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特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう |
例) 証券化不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合 |
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特殊価格
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特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう |
例) お寺や文化財など通常は売買しない不動産の価格 |
不動産鑑定評価基準 ③ 地域分析と個別分析
チェック項目
・地域分析、個別分析とは「どのような分析」?
・地域分析における用途的地域とは 「どのような地域」?
1. 地域分析と個別分析
不動産鑑定評価をしようとする不動産およびその条件が定まれば、いよいよ不動産鑑定評価を行います。この場合、鑑定評価の手法を用いる前に、「地域分析」および「個別分析」を行う必要があります。
2. 地域分析
① 地域分析とは、下記の内容を分析判定することをいいます。
A. 対象不動産が「どのような地域」に存するのか?
B. その地域は「どのような特性」を有するのか?
C. 対象不動産に係る市場はどのような特性を有するのか?
D. それらの特性は、 その地域内の不動産利用形態と価格形成について、全般的に「どのような影響力」を持っているのか?
② 地域分析をするに当たって、特に重要な地域には、「同一需給圏」と「用途的観点」から区分される地域があり、これを「用途的地域」といいます。用途的地域は、近隣地域と類似地域に分類されます。
3. 個別分析
個別分析とは、対象不動産の個別的要因が対象不動産の利用形態と価格形成についてどのような影響力を持っているかを分析して、その「最有効使用」を判定することをいいます。・下表。
個別分析をするに当たっては、特に近隣地域に存する不動産の標準的使用との相互関係を明らかにし、判定することが必要です。
<用途的地域とは、都市計画法に定める用途地域ではない!>
用途的地域とは、地域分析をするうえで重要な地域
→用途的地域→近隣地域
→類似地域
→同一需要圏
地域分析まとめ
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地域分析を行う地域とは |
近隣地域 |
近隣地域とは、対象不動産の属する用途的地域で、ある特定の用 途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域をいう |
類似地域 |
類似地域とは、近隣地域の地域の特性と類似する特性を有する地域をいう |
同一需給圏 |
同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう |
個別分析では「最有効使用の原則」は押さえておこう!
鑑定評価基準書では、不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(最有効使用)を前提として把握される価格を標準として形成される。
この場合の最有効使用とは、現実の社会経済情勢の下で、客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。
・ 要するに、不動産の持ち主がどのように使用しているかは関係なく、客観的にみて、その不動産が「何に適しているのか」を判断するのである。(解説)
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